「慚愧に堪えない」とは、自分と他者と天に恥じること。 a | barsoは自由に

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夏がとっても暑いから、こころ寒くなる参照亭バーソのハナシでもいかがでしょう。 

とまあ、暑中お見舞いを兼ねまして・・・ 

 

「おや、熊さんかい、お上がり。この暑い昼日中によく来たな」 

「あ~、よかった。安心した。ご隠居は、まだイカの一夜干しだわ」

 「なんだ、まだイカの一夜干しとは?」

 「へえ、まだスルメになってねえ」

 「なにかい、あたしゃ、生けるミイラかい?」 

「あははは、ご隠居。このハゲ―――ッの話、知ってますよね」

 「おい、ひとの頭を見ながら言うやつがいるか。それがどうした」

 「いえね、テレビを見ていたら、そのとき『残金が足りない』なんて言われてた 

んです」

 「うーむ、それは、たぶん『慚愧(ざんき)に堪えない』じゃないかい?」

「それそれ」

 

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「熊さんにも分かるよう、政治家の常套句について講釈しようかね」

 「よおよお、上等、特等のイケガミガミ アキラ!」 

「なんだ、禿頭のガミガミとは。よ~く聞きなさい、丁寧に説明するから」

 「へいへい」

 「この『慚愧に堪えない』とは、《残念だ》という意味と思っている人がいるが、 

そうじゃない。《自分のしたことを悔やんで恥ずかしいと思っている》という意 

味なんだな」

 「へい、残金を返せねえのが返す返すも残念だ、合わす顔がねえ、って意味なん 

ですかね」 

 

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「まあ、そんなとこだな。ただし、だ、誰かが亡くなったときに『慚愧に堪えま 

せん』なんて言うと、《残念だ、私のしたことを悔やんでいる、恥ずかしい》と 

いう意味だから、じつは亡くなるようにした下手人は私です、と言ってるように

聞こえるぞ。これは、元は仏教用語。涅槃経の一節で、現代語で言えばな・・・ 

 

  ざんは自ら罪を犯さないこと、は他者に罪を犯させないこと。

   慚は自らの罪を恥じること、愧は他者に対し罪を恥じること。

   慚は人に恥じること、愧は天に恥じること。 

  そうしたことを慚愧という。

   慚愧の思いの無い人間は、人とは呼ばず、畜生と呼ぶ。 

 

・・・と説かれているようだぞ、熊さん」

 「うわっ、政治家はケダモノですね。こん畜生め」

 「そんなに悪く言っちゃあいけない。立派な政治家だっているはずだ」  

 

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「そうですね。あっし、誤解を招くような発言をしたので撤回します」 

「失言してすぐ撤回をするような人間は謙虚とは少し違うぞ。その『誤解を招く 

ような』とは、こずるい言い方だ。というのは、自分は正しい発言をしたのに、 

それを失言だと誤解した人間のほうが問題だ、と言ってるわけだからな」

「うわっ、あやまってるんじゃねえんだ」

 

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「うむ、この涅槃経で大切な点は、悪行は誰かが見ているという意識だ。自分自 

身の目と世間の目と、そしてもうひとつ、天から見ている目もある、ということ 

も忘れたらいかんな」 

「はあ、お天道様も見てるんですか」 

「まあ、そう思ってもいい。お天道様も見ている。天に対しても恥ずかしくない 

ように正しく生きようという気持ちがあれば、あとで恥をかくことも少ないだろ 

うな」

 「なあるほど。あっしんとこは、お天道様より、おっかあのほうが怖くって」

 

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「うむ、いかんなあ、遺憾なことだ。熊さんは、この『慚愧ざんき 』という字はどう書 

くか、知らないだろう」

 「へえ、知るはずがありません、あっしは現金払い、その日暮らしですから」

 「まだ残金にこだわってるな。ここに大きく書くから、よく見なさい・・・ 

  慚愧 (または、慙愧) 

『慚愧』の二文字の左側にある部首ぶしゅ が分かるか。《忄》は立心偏と言って《心》 

を表すのだよ」 「はあ、ブシュの心。あっしはビジョの心のほうがいいです」

 「うむ、あたしもだ。この字は、カッコ内の字のように『慙愧』とも書くのだが、 

『慙』の字は《忄》が下に行って《心》になってるだろ」

 「へい、下心ってやつですね。うふふふ」 

「お前さんの頭は、金と女しかないのかい?」

 「あっし、自分自身を客観的に見ることが出来るんで。あなたとは違うんです」

 

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「馬鹿。お前さんは慚愧の思いが足りん。ったくもう。今度は『慚愧』の二文字 

の右側を見なさい。『慚』は刀で《斬る》という字、『愧』は《鬼》という字だ。 

つまり《心で鬼を斬るのが慚愧なり、慚愧とは恥ずかしきなり》と覚えたらいい。 

いいかい、熊さん。人は偉くなると思い上がる。その心の鬼は、自分で斬るんだ。 

そうすれば恥ずかしいと思う心が自然にわいてくる」

 「へい、ご指摘の件は真摯に受け止めたいと思います」

 「おや、またかい」

 「へい、粛々と前向きに善処して…」 

「そうだ。すぐシクシク泣いて落ち込むのがお前の悪いクセだ。もっと前向きに 

明るく陽気にシャンシャンと生きたほうがいいよ。でもな、熊さん。『慚愧』の 

意味と漢字をこれで覚えただろ」

 「ええー、その件につきましては記憶にないところでございます」

 

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※画像は次のサイトから拝借しています。

 ・『VIRALNOVR』http://www.viralnova.com/pets-vs-furniture/ ・『Reddit』https://www.reddit.com/r/funny/comments/1uxia3/found_my_dog_ like_

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