今回お預かりしたリールですが…
「釣具店で糸巻きに出してから調子が悪くなってしまった」
－ということで、状態を診るためにＨ様よりご依頼いただきました
購入から整備に出されたことが無い機体なので…
「糸巻き前はとく不具合はなかった」
「不具合も寿命かもしれないので、納得できる原因究明をして欲しい」
とのリクエストです
さっそく整備開始です
S.O.Mのカスタムスプールです
グリスは劣化しており、、質感も変わっています
浸水は見られず、きれいに劣化している印象です
酷いものはスプールメタル周辺が腐食・固着していますが、、
きれいな状態です
これは”あるある事例”ですが、調子が良いリールでも長期間無整備だとこのように錆が進行していることが多いです
「錆びているのに調子が良い？」
と思われる方もいらっしゃると思いますが…
機械はこのような状態でもバランスが取れていていれば”調子が良いと感じてしまう”ので、不具合に気づけず非常に厄介です
当然のようにネジ部に塩が堆積しています…
油膜は大丈夫そうですが…
クラッチには…
フェルトワッシャも役割は果たしていますが、良くはない状態です
ボディカバー内の塩もたっぷり堆積しています
ここのボルトが固着していて、危険が危ない状態でした
グリスは劣化していますが、浸水もなくきれいな状態です
ゴロ感に繋がるようなものは見当たらず一安心
しかし、こちらがダメでした
ピニオンギアにベアリングの内壁が完全に固着してしまっています
しかもベアリングのゴロ感が異常に強く、内部のボールが割れていました
おそらく糸巻き時の負荷に錆びたベアリングが耐えられず、粉砕してゴロ感に繋がったのだと推察されます
ここも長期無整備だと錆・固着がある箇所ですがセーフでした
各部清掃していきます
劣化・変質したグリスを完全洗浄しました
ハンドルノブベアリングは再利用可でした
オイル・グリスまみれだったクラッチもきれいにします
Before
After
各ベアリングからも錆が大量に噴き出てきました
ゴロ感・ガタついたベアリングが計5個
念のためラインローラーも新品交換です
固着はベアリングを破壊して事なきを得ました
摩耗度合いは6割前後といった感じですが、まだまだ使えそうです
組み直して…
ベアリングやギアのクリアランスが激変したので、調整を何度か行い…
ローターも分解整備してたことで、不快なカチャカチャ音も消えました
画像は撮り忘れてしまいましたが(汗
完成です
ベアリング交換7個で済みました
糸巻きに出す前の状態は分かりませんが、シルキーな巻き心地に蘇りました
ギアが摩耗しているので、微かなギアノイズはありますが釣りには気にならないレベルです
今回のように調子が良くても、錆や不具合が進行しているケースがありますので
ぜひ定期的にメンテナンスにお出しいただければと思います
今回は運よく復活出来ましたが、運が悪いと修理代がとんでもないことになります
整備のご依頼お待ちしております
■ご注意■
ダイワ製リールの主要部品(ギア・クラッチ)のほとんどが修理対応品となっております
該当パーツを交換する場合は、メーカー様にお送りして交換作業を挟む必要があります
当店では洗浄・注油でなるべく再使用するスタンスですので仕上がりが十分でない場合がございます
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