ショッキングなニュースが飛び込んできました。


陸上長距離界では、誰もがその名を知っている

ハイレ・ゲブレセラシェ選手。


トラック種目では、世界選手権、オリンピックで複数の金メダルを獲得。

主要な国際大会で100勝以上を上げている、長距離王国エチオピアが誇る現役最強の長距離ランナーです。


ロード(マラソン)転向後も、マラソンで世界新記録を樹立するなど、数々の輝かしい成績を残し、世界中の多くのランナーが目標とする偉大なアスリートです。



そんなハイレ・ゲブレセラシェ選手が、先日のニューショークシティーマラソンで途中棄権し(膝の痛みが原因と言われている)、その後の記者会見で引退を表明したと言うのです。



現在37歳のハイレ・ゲブレセラシェ選手。

確かに年齢的に考えれば、肉体的ピークは過ぎ、ゆるやかに身体能力は下降している状態ではあったかも知れません。

しかし、マラソン転向後34歳でマラソンの世界記録を樹立すると、その翌年には自身の世界記録を更新。

2時間3分59秒という凄まじい記録を打ち立てたのは、まだ2年前の話です。

2009年のドバイマラソンでも2時間5分29秒というタイムで優勝し、同年9月のベルリンマラソンも2時間6分8秒で大会4連覇を達成していました。

先日、2011東京マラソンへの出場も発表されたばかり。


正直

『まだまだ走れますよ!!』

『まだまだ若手に負けないで!!』

そんな想いがあります。


私は、北京オリンピックのスタジアムで、初めてハイレ・ゲブレセラシェ選手の走りを生で見ました。

『なんて小さくて、なんて大きな走りなんだ』

テレビで観ていたのとは一味違う、彼のエネルギッシュな走りに圧倒されました。



トップアスリートの引退については、様々な意見があると思います。


なんで今?

早すぎるんじゃない?

あの時に引退していれば良かったのに・・・


第三者の意見は様々でしょう。


すべての競技に当てはまるわけではないと思いますが、多くの場合引退の瞬間を自分で決めることができる選手は一握りだと思います。

プロアスリートにしても、実業団等の企業所属のアスリートにしても、肩をたたかれてしまうケースの方が圧倒的に多いでしょう。


ハイレ・ゲブレセラシェ選手に関しては、自分の意思で引退を決められたと思います。

彼に『もう終わりにしようよ』などと言える人間など居なかったのかも知れません。


会見でのハイレ・ゲブレセラシェ選手のコメントは、

「今まで引退を考えたことはなかったが、きょうがその日。若い選手にチャンスを与えたい」


彼が現役でいる限り、エチオピアの代表は一枠確約されていた状態だったと思います。

そのことも含めての発言・決断だったのかも知れません。

自分が引退することで、世界に挑戦できるランナーが一人増えると・・・


男子のマラソン界は、新しい時代を迎えようとしています。

北京オリンピックでのサムエル・ワンジル選手の優勝がその幕開けと言えます。

メジャーマラソン大会が終わるたびに、世界歴代記録が変動するような状況です。

名前を覚えられない程、新しい選手が次から次へと好記録を出しているのが現実です。


女子のマラソン界にも、新しい風が吹き始めようとしています。

その風に巻き込まれ消えてしまうのか、逆に風を巻き起こす張本人となれるのか・・・


赤羽有紀子は、今年をマラソンと向き合う年と決め、チャレンジ精神を持って意欲的にフルマラソンに挑戦しました。

2レースの結果は、途中棄権と自己ベスト更新。

4月のロンドンマラソンで記録した2時間24分55秒が、現時点では2010年の日本リスト1位です。

世界的ランクは、11月8日現在で21位です。


第三者が見れば『失敗』にしか映らないことでも、本人にとっては貴重な経験となる場合があります。

意味の無いことなど無いというのが、超プラス思考の私のモットーです。

例え人が『意味がないからやめた方が良い』と言っても、自分がそう思わなければやってみるのが私です。

すべてを前向きに受け止められる人間の真骨頂かも知れませんね(^_^)v



一時代を築いた偉大なランナーの引退ニュース。

ハイレ・ゲブレセラシェ選手には、引退後もどんな形でも良いので、陸上界に関わっていて欲しいと思います。

彼は実業家としての才能も高いと言われています。

是非とも世界の長距離界を更に盛り上げる、新しい風となってくれることを期待したいと思います(^_^)v