昨日は第58回全日本実業団対抗陸上競技選手権大会 レース初日、男女の10000mが行われました。
ホクレン所属の赤羽有紀子は、32分26秒25で6位という不本意な結果に終わりました。
アップではまずまずの動きで、31分20秒前後は十分に狙えると判断しました。
潰れても良いので、自己ベストを更新するペースで押してみようと。
強風の予報がありましたが、運も味方してくれたようで、レース時は微風で絶好のコンディションでした。
1周目の入りは有紀子が先頭で76”0。
『あれっ?』
という入りです。
どんなに遅くとも74秒台後半では来ると考えていました。本人もそのつもりで入った筈です。
しかし、実際は1秒以上の感覚的な誤差がありました。
この入りの誤差で本人が受けた精神的なダメージが予想以上のものだったようです。
1000mの通過は、3分13秒かかってしまいました。
苦しくないが、スピードが出ない。今ひとつキレがない。
スピードを出せないという言い方の方が正しいでしょうか。
自分でブレーキをかけてしまっていたような感じもありました。
5000mの通過は16分11秒。
この時点で32分を切ることすら難しい状況に。
しかしながら、この時点でもまだ赤羽が先頭を走ります。
1周のラップが80秒に落ちても、81秒に落ちても、まだ先頭を走っています。
不思議な光景でした。
絶好のグランドコンディションにも関わらず、完全にペースが落ちてきても、先頭が入れ替わらない・・・。
結局有紀子は、9200mまで先頭を走り続けました。
男子は9名の選手(内日本人選手3名)が28分を切っています。
比較的走り易いコンディションであったことは間違いありません。
女子は完全な勝負のレースだったと言えますが、どことなく緊張感に欠ける、まるでペースメーカーがレースを先導しているような光景にも見えました。
先頭が入れ替わりレースの流れが変われば、記録的にもレースの内容的にも一段階上がる可能性がありました。
終盤。
いつ抜かれてもおかしくない状況。
誰がどう見ても先頭を走る有紀子が最も余裕がありませんでした。
残り800mを切ったところ。
こうなることは分かっていましたが、福士選手の飛び出しに、一人まったく反応できず。
photo by ueken
女子10000mで優勝した木崎選手(ダイハツ)のラストスパートは見事でした。
アジア大会に向けても順調なようですね。
彼女のように『ラストにキレ』がある選手に勝つには、終盤までに勝負を挑まなければなりません。
最後のスピードがあるということは、大きなアドバンテージです。
少し話が逸れてしまいましたが・・・
有紀子にとって、トレーニングが順調に消化できていたにも関わらず、結果が出なかったということは非常に珍しいケースです。
レース前、32分を切れない内容で終わるとは想像もしていませんでした。
単純ですが、10000mという距離で力を出し切る走りができなかったのが敗因です。
『もう1回走りたい。もっと突っ込んでいけばよかった。』
という言葉が本人の口から出たのを聞いた時、もう彼女はトラックの選手では無くなってしまったのかな、という思いが頭をよぎりました。
高速化するマラソンで世界と対等に戦う為には『スピード』が重要。
この考えから、冬場のマラソン前にトラックで自己記録に近い、もしくはそれを越えるような結果を出すことを目標に今回のレースに臨みましたが、残念ながら目標は達成できませんでした。
今年2度のマラソンに挑戦した有紀子の今の状態(精神的な部分も含め)を私が完全には把握できていなかった、ということなのだと思います。
調子自体が悪いわけではありませんので、この後は冬のマラソンに向けての準備に入りたいと思います。
ご声援に応えることができなかったことが残念であり、申し訳ない気持ちです。
しかし、下を向いて歩みを止めてしまうような状況ではありませんので、また次なる目標へ向けて努力したいと思います。
皆様、今後ともご声援よろしくお願い致します。