更新が遅くなり申し訳ございませんでした。
1月31日に行われた第29回大阪国際女子マラソン では、本当に沢山のご声援ありがとうございました。
テレビで観戦してくださった方、冷たい雨の降る中沿道から声をかけてくださった方、レース中、そしてレース後にも温かい言葉を沢山頂いております。
ご声援本当にありがとうございました。
レースをご覧になった方はご承知の通りですが、赤羽有紀子は38km過ぎ、途中棄権という結果に終わりました。
レース前日の記事でご報告した通り、様々な結末を想定した上で覚悟を決めての出場でした。
そして後悔しないと決めて臨んだレースです。
途中棄権という結果に終わりはしましたが、有紀子の口から悲観的な言葉は出ていません。
当然結果を出すことが出来なかったことに対しての反省はあります。
しかし、マラソン3戦目でまた新たに様々なことを学び、経験できたと、そう話しています。
多くの方が有紀子の足の心配をしてくださり、沢山のメールやコメントをくださっています。
ご心配をおかけし本当に申し訳ございません。
レース後、足の状態を確認し治療を行う為にすぐに会場を後にしましたが、公式のコメントとして途中棄権に至った経緯は下記の内容をお話しております。
故障した膝が最初に気になったのはスタートして3kmを過ぎた辺り。
最後まで持たないかも知れないという不安が頭を過ぎったが、その後自分のリズムのペースに上げるとその違和感は落ち着いた。
5km16分40秒というペース自体は心地よく、自分がリラックスできるペースと判断してのことだった。
また膝のことも考え、一定のペースで走るということは指示されていたことだった。
直接的に大きく失速した原因は、25kmを過ぎてからお尻に強い張りが出始め、大阪城の下りの後に左足のふくらはぎと、右足のもも裏が強く張り出してしまった為。
冷たい雨の影響もあり、強く張った部分両方が痙攣する感覚があった。
途中棄権した時も一番痛かったのは、痙攣してしまっている両足だった。
レース前、無理はしないと決めていました。
万が一、膝が痛んだ場合は必ず途中棄権をすると何度も確認していました。
私は30km付近で『痛みがあるならばやめろ』と声をかけましたが、その声はしっかり聞こえていたそうです。
有紀子がすぐにやめなかった理由は、失速した直接的な原因が膝でないと自分で判断していたから。
しかし、走る映像を見ている限り、これ以上無理をすれば3月、4月のスケジュールに影響が出ると私は判断しました。それが33kmの手前です。
『やめろ』と声をかけたくらいでは止まれない状況でした。恐らく多くのランナーが同じかと思います。
覚悟を決めて走り出した選手達は簡単には止まれない。今回そのことが良く分かりました。
止めるには、直接選手へ手を出して止めるしかないのです。
私は車で先行し、直接有紀子を止める為に動いていましたが、雨の影響で渋滞もあり、追いつくことができたのが38kmを過ぎた地点でした。
すぐに止めてやれなかったことは私の責任です。
事前に最悪の事態を想定し、様々な準備をしておく必要があったことは大きな反省点です。
レース後、そしてレース翌日の午前中一杯治療を行っていますが、膝の状態は大事には至っていません。
当然足のダメージはゼロではありませんが、2週間前に痛めてしまったようなダメージではありません。
レース2週間前に故障をしながらも今大会へ出場を決めたのは、フルマラソンを走り切れるという目算がしっかりあってのことです。
また、出場するからには勝負をしにいくつもりでした。
レースの内容に関しては、反省すべきところもありますが、それ以上に得たものが沢山あります。
ハーフの通過が1時間10分40秒台ですが、これは故障してしまう前の時点で目標タイムにしていたペースと大きな開きはありません。
失速させてしまっている人間が言う言葉に重みはないかも知れませんが、今後も狙っていきたい現実的なペースであると考えています。
失速の原因となった症状が出てしまった原因は大きく3つあったと考えています。
①最終調整の2週間でほとんど練習が行えず、筋肉の緊張が足りなかったこと
②低い気温の中、速いペースで先頭を走り続けた影響
③無意識の中で膝をかばって走った為、普段の走りではあまり使わない筈の部分の筋肉を使ってしまったこと
レース結果は途中棄権であり、表面的には何も残りません。
しかし、レースに出場し、あのレースをしたからこそ学べたこと、経験できたことがありました。
今大会において、レースに出場したこと、ハイペースでレースを牽引したこと、大きく失速したこと、途中棄権したこと、それぞれの決断に対して様々なご意見があることは重々承知しています。
真摯に受け止めなければならない部分もあります。
期待し応援してくださっている皆様には、結果で応えることができず申し訳ない気持ちがあります。
しかし、今回の決断は間違っていなかったとそう思っています。
出場するすべてのレースで良い結果を残せれば最高ですが、ことマラソンにおいては絶対的に経験値が足りないという現実があります。
生の経験値を積む為には、マラソンレースに出場する以外に方法はありません。
そしてこれらの考えをご理解頂くには、今後のレースでこれまでの不足部分を埋め、修正し、結果を出すしかありません。
絶対という答えがないからこそ面白い部分があるのだと思います。
沢山の失敗をしても、目指す最後の目標にその失敗がつながるならば、その失敗は失敗ではなくなります。
惨敗に終わったベルリンの世界陸上後と比べると、今回のレース後の有紀子は非常に冷静です。
今回のレースまでの取り組み、レースの内容、そして次なる目標への想い。
冷静に冷静に分析し、冷静に次への歩みを進めようとしています。
まずは体の状態をきっちり修正すること。
しっかりと体と心を休ませリフレッシュすること。
様々なご意見や憶測があるかも知れませんが、このブログを通じて応援してくださっている方々には、考えていること、その時の状況、なるべく真実を知って頂きたいと思い、記事にしました。
言い訳に聞こえる部分もあるかも知れませんが・・・
『みんな違ってみんないい』
私は自分の大切にしている言葉の通り、自分の考えと信念を貫きたいと、そう思います。
今大会の出場にあたり、大会関係者をはじめ、出場選手並びにスタッフの皆様、ホクレン関係者応援団の皆様にはご心配とご迷惑をおかけしてしまいました。
申し訳ございませんでした。
次レースは、今大会への取り組みの反省を生かし、万全で元気な姿でスタートラインに立てるよう努力したいと思います。
これからも温かく見守って頂けたら幸いです。
長文に最後までお付き合い頂きありがとうございました。
ホクレン女子陸上競技部
専任コーチ 赤羽周平