何時もの寿司屋、墨田区の花柳界である向島の外れに有る。
左に人がいる二階建ての家は現在小さな席亭になっている、この日も前座や二つ目の噺家が席を設けていました。
おひさしぶりーと店へは入ればおお、〇〇君久しぶりだねーって。
そうここの親父とはもう30年以上の付き合いなので昔のように私の事を君付けで呼んでもらうのだ。
ほぼ月一で行く場所なのだがこの日は3ヶ月以上経っての事、なので堪能しますよー(夏場くそ暑かったですからね、おかげでシンコを食べそびれてます)。
先ず出てきた物は玉子焼きだ、直ぐに切って出せるからね。
ここは何時も言っていますが私は注文というのしない、親父がこちらの具合を見てその日のお勧め物を出してきます(勿論他のお客さんは普通に注文していますよ)。
行く時間は事前に連絡していますから玉子焼きもこの状態で出て来た。
湯気が立つ焼き立てを用意したてくれていました。
東京の玉子焼きは砂糖が入って甘い味付けになってる、といっても勘違いして欲しくないのは菓子のような甘さでは無い事。
とはいえ焦げ付きやすい事は確かで、私はこの焦げを付けながら巻いたちょっと甘味が有って香ばしさのある玉子焼きが大好きなのである。
ちょっと焼き過ぎな端っこをもらった、普通なら出さないような焼き加減ですが私はこれも好き。
ポンポンと刺身が出る、このタイミングもいい。
ホタテに中トロ、赤身に甲烏賊だ。
程よく熟成しててトロリとして味も深い、江戸前寿司では角が立つような活かったネタは使わないのです。
一緒に行った息子の分を先に握ってもらった、巻物のだらしなさが気になりますね。
大将も齢80を過ぎてるのでこの辺りは致し方ないのかなぁ、先が気になります。
ただ握りのシャリの具合は抜群で、手に持って口に運べばパラパラとほぐれる握り具合は流石ですね。
それは左下の煮烏賊の握りを見て判ると思う。
焼き物は銀鱈の西京漬け、これも豊洲市場の名店が漬けた物。
スーパーなどでは絶対に味わえない美味しさに埋もれたものです。
茶碗蒸しも登場、何度も言いますがこれ何も注文していないしコースメニューという事でもない。
何時もの通りにお店任せで出て来るメニューだ。
中には銀杏や百合根にウニも入っていました、このウニって熱を通すとまた違った美味しさが有るんですよね。
息子にはこのサイズです。
丼ぶりで出てきます、私もこちらへ来た当初にはこんなの平気で食べていたんですがねぇ。
具材もたっぷりだったようで満足していましたね。
真鯵です、4日熟成した物だそう。
なので鮮度の良い物を食べている方から見ればこのネタはだらしなく見えると思う。
しかし美味しさはグッと増して口中でシャリと溶け合うんですねー。
対して貝類は開けたそばから悪くなっていきますからね、赤貝です。
江戸前でも貝類は活けのその場で開けたものを使用します、鮮度の良い物を提供してくれますよー。
という事は。
私の大好物であるひもカッパだ。
これ作るのに赤貝が2~3個必要で、決して余り物で作る巻物では無いんですよ。
左に有るのは煮烏賊です。
ここは煮烏賊(ニイカ)や煮貝等(ニガイ)の冷蔵庫の無い昔からネタを生かすためのひと手間入れた江戸前のネタを作っているんですねー。
という事でそのひと手間かかった煮蛤(ニハマ)だ、ハマグリを煮占めて作るこれまた江戸前のネタです。
ただこの日の物は蛤が小さくてちょこんと乗った物になってる。
昨今の価格高騰でしょうがこれも良い時もあれはそうでない時も有るという事。
常連はそういった事も十分に承知していますから問題ないですがね。
お腹も落ち着きましたから後はお酒を楽しみましょう。
こちらは私の要望で秋田の銘酒高清水を入れてもらっている。
高清水は伝統的な蔵と近代的な工場とを持っている、勿論ここで提供されるのは工場生産の物です。
だか麹の薫り高いふくよかな酒で、軽く燗(人肌ですね)すると香りが立った美味しい酒です。
サザエを炙ってもらって肴にします。
他にも乾きものをちょっともらって良い感じてお銚子を頂きフィニッシュに。
最後は何時も通りの赤だしのシジミ汁です。
この赤味噌も名古屋の蔵から取り寄せたものでシジミとも良く合うんですよ。
寿司では江戸前を守っていながらこういった柔軟性もこの店のいい所でしょうかね。
やっぱりここは落ち着きます、何時もの席でゆっくりと堪能いたしました。
おやっさん、元気でいつまでもおいしいお寿司堪能させてくださいねー。
ごちそうさまでしたーーーーーーーーーー、、、、、。