何時もの寿司屋だ、もう30年近い付き合いになる。

なので行けば大将が私の具合を見ながら出してくる、そう何も頼まない。

 

 

先付けにマグロの山掛け。

大将は齢78になる、一昨年皮膚のガンになり一次休業していたのだが。

放射線治療がうまくいって今は半年ごとの検査だそうです。

 

キンキンの生を頂いていたらこれが出て来た。

 

 

アツアツの卵焼きだ。

江戸前の卵焼きは甘目の味付け、砂糖が入るので焦げやすい。

こちらはあえて焦げをつけながら巻いていく、これが香ばしさを少しだけ足して美味しい。

 

 

つまみはマグロとカンパチ、マグロは珍しく三陸産の本マグロだ。

どちらも程よい熟成具合でねっとりとしてうま味たっぷりです。

 

 

握りは端からコハダを出してきた、豊洲には全国から入るので通年あるネタだが。

ここは一尾づけの小型の物を使っている。

こちらも締め具合、馴れ具合ともよく手間と時をかけた美味しい寿司です。

もう一月もするとこの幼魚であるシンコが出ます。

初物はキロ5万位、10年ほど前に10万の値を付けた超高級ネタなんですねー。

でも1週間もたつと安定します、だがそれでもキロ5000円程と、これをコハダと同じ価格で出すんですからね。

シンコは寿司屋の意地で握る、なんて言われています(勿論それなりの値を取る店も有ります)。

 

 

煮イカだ、これも昔からの江戸前のネタです。

柔らかいが歯切れもある、先人の知恵ですねー。

これはスルメイカだ。

 

江戸前で扱う生のイカは甲イカだ、東京湾の入り口の方で採れる江戸前ネタです。

それ以外だと小型のヤリイカでしょうか、稀にアオリイカも握る。

でもスルメイカは握りには使わないんですね。

身が厚く身質がしっかりとしたスルメイカの生はシャリとの相性が良くないという事です、シャリと一緒に口の中でほぐれないと。

 

甲イカの幼生を新イカといってこれまた江戸前寿司の夏のネタなんですよ。

新イカは5センチほどの子供の甲イカでシャキッとした独特の食感で寿司好きにとってはシンコ同様堪らないネタなんですね。

シンコが名残を迎える頃新イカが出て来ます、どちらも旬は1か月ほどです。

私も今から楽しみですよー。

 

 

焼き物だ、マグロのつけ焼きです。

サク取りした端っこをこんな風に出してくれます、実は血合いの部分が美味しいんですねー。

 

 

アジ、これもしっとりしてて美味しー。

とれたてのパリっとしたものも美味しいですが、寿司にはやはりこういった少し置いたものの方がシャリと合いますよね。

 

 

ホタテ。

貝は新鮮じゃないとです、開けたてでないとどんどん劣ります。

 

 

トロです。

ホントにとろける~。

 

 

巻きエビ、クルマエビの若い小型の物。

ここは活けの物を串にさして茹で上げています、なのでエビを仕入れたときは生が有るんですよ。

 

 

煮ハマ、これまた古い江戸前の仕事。

かなり大きなものじゃないと握りには出来ません。

一つ一つ剥いて、開いて肩を整えて炊く、一手間も二手間もかかっています。

 

 

〆はかんぴょう巻き、いつもサビを利かせてもらう。

サビは巻いてくるのだがこんなふうに出て来た。

これも一興かな、、、。

 

 

シジミ汁でこの日は終了です。

 

大将と息子さんとのひと時はやはり落ち着きますねー、。

ごちそうさまでしたー。