前回の記事では、古代の天文シミュレーションとして、紀元前
181年3月4日にあった長安での皆既日食を計算しました。
今では、この日に日食が起こったことは多くの研究者が認めて
います。
今回はつい最近あった、金星食(金星が月に隠れる現象)の
推算を行います。
まずは、「天文年鑑2021」に掲載されています予報図を見て
みましょう。(下図)
実は九州では食とはならず、月の南側を金星が通過していま
す。
シミュレーションを分かり易くするため、今回は観測地を福岡
市と想定して推算します。
日時は、2021年11月8日の14:00(日本標準時)前後、
福岡市の位置を東経 130.40 北緯 33.59としています。
図の「福岡」のラインを見ますと、月の南端をかすめるように通
過しています。ほぼ「接食」に近い形です。
今回も3コマ表示でいきたいと思います。計算するのは、図の
赤丸数字の時点です。予報図から時刻(日本標準時)を読み
取りますと、
①・・・13:40
②・・・14:00
③・・・14:20
となります。
それに対して、『pnr_RYUSEIくん』でのシミュレーション結果は
下図のとおりです。
※金星は実視直径よりも大きく表示しています
月(青色)の下側の小さい点(黄色)が金星の位置です。
上図の赤丸①~③の時刻に黄丸①~③が対応しています。
(実際の月の見え方は、右側が光る三日月です。)
自分でも驚くほど、予報図にドンピシャ合っています!
上の図をみますと、金星が月をかすめるというよりは、月が金星
をかすめて通るという感じです。
この頃、金星は地球の方へ向かってくる動き(下の軌道図)の
ため、天球上の位置はあまり変わりません。一方、月はドンドン
西から東へと座標が変わっていきます。
残念ながら、我が郷土大分県では天候が悪く、観測は不可能
でしたが、晴れていれば、双眼鏡で白い点(金星)が白い三日
月の下(南)側を通過する様子が観測できたことでしょう。
前回と今回のシミュレーションで、斉藤国治氏が研究して組ん
だ数式が、古代でも現代でも正確な計算ができることが確認で
きました。
これで、これから取り組む「小惑星アポフィスの地球接近」シミュ
レーションにも弾みがつくというものです。
なぜかと言いますと、これまでのシミュレーションが正確というこ
とは、「太陽の計算」が正確だということです。
もちろん月や金星の計算もそうですが、まず太陽の軌道を正確
に推算されることが第一です。
「太陽を計算する」ことは、実は「地球を計算する」ことになります。
天体位置推算の基礎は太陽と地球の位置関係であり、地球の
軌道面と太陽からの距離(動径)で地球の座標が決まります。
地球の座標が曖昧ですと、推算しようとする天体の位置も曖昧
になってしまいます。
しばらくは、素晴らしい斉藤氏の数式を活用していきたいと思い
ます!
※このテーマの記事は、都合により
「です・ます調」で投稿しております。
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