ヘリアカル・ライジング-しし座 | ランニングとフライトシミュと・・・♌スフィンクスのホロスコープ☄

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星好きな市民ランナー 兼 バーチャル・パイロットの日記、フィクション、タワゴト、ちょこっとボランティア

これまで、主に太陽系内天体の位置推算について述べてき
ましたが、例えばグラフィックで地平線上の見え方を表示した
際に、惑星や彗星だけを表示しても、背景に目印となる星座
が無いと、まるで「目的地だけを示した地図」みたいなものに
なり、「全然場所がわからない?」と言うカンジになってしまい
ます。

 

そこで、『pnr_RYUSEIくん』では、主要な恒星246個の位置計
算をして背景に表示しています。

 

今回はオマケのようなテーマですが、古代の恒星の視位置
についてシミュしていきたいと思います。


●ヘリアカル・ライジング
テーマとしましては、古代の夜明け前の空に起きた現象’ヘ
リアカル・ライジング’について考察していきたいと思います。

 

’ヘリアカル・ライジング’という言葉は、もともとは「シリウスの
ヘリアカル・ライジング」を指しています。

 

これは、エジプトのピラミッド時代(紀元前2500年頃)の夏至
の日の夜明けに、おおいぬ座の1等級星シリウスが太陽とと
もに昇り、ちょうどその頃ナイル川の氾濫が起きていたことに
由来します。

 

これにより土地が肥沃になったことから、古代エジプト人は
このヘリアカル・ライジングが起きる日を新年の始まりとしまし
た。
たぶん、それで天文学者が特に限定的に名付けたものと思
います。

 

しかし、’ヘリアカル’という言葉はもともとは、「太陽に関連す
る」とか「太陽の近くで」という意味ですので、別にシリウス以外
の星や星座にあてはめてもよいのでは?と思います。

 

ここからは、シリウス以外にも古代人にとって象徴的なヘリア
カル・ライジングがあったのでは?という推測で進めていきた
いと思います。

 

ここでひとつ定義したいことがあります。

それは、星(星座)が太陽と一緒に昇ったのでは、その星(星
座)はもはや空が明るくて見えないので、「ヘリアカル・ライジ
ングの象徴となる星(星座)は、太陽が昇る前に東の空に出現
して、まるでその後に太陽を引っ張り上げるような位置にある
こと。」ということです。ヘリアカル・ライジングとはそういう位置
関係にあるということをあらかじめ定義したいと思います。

 

●エジプトの神々
今回は古代エジプトの話なので、ここで様々な象徴として現れ
るエジプトの神々について簡単におさらいしましょう。

 

まずは何と言っても有名人は’オシリス’です。大地の神ゲブを
父に、天空の神ヌトを母に持ちます。オリオン星座がその象徴
です。弟のセトに殺されましたが、息子ホルスが復讐した後に
復活し、「ドゥアト」の支配者になったとされます。

 

イシスはオシリスの妹であり妻となります。豊穣の神であり、シリ
ウス星がその象徴です。

 

知恵の神トト(ギリシアではヘルメス)はオシリスの補佐役です。

 

太陽神ラーはハヤブサの頭を持ち、ファラオ(王)が死ぬとホル
スと共に梯子を降ろして「太陽の船」にファラオの霊を招いたと
言われています。ラーは他の神との習合により、「ラー・アトゥム」
や「ラー・ホルアクティ」(鷹の姿)となったりと、ややこしいです。
ファラオ(王)は「ラーの息子」とされていました。

 

●ドゥアトとは
オシリス(オリオン)は復活してドゥアトの支配者となったわけで
すが、ドゥアトとは通説によりますと、ゲブ(大地)とヌト(天空)に
よって支えられた世界に対する地下の世界であり、太陽神ラー
は「太陽船」で毎晩ここを通って朝に地上に出るとされています。

 

死者はここに来て、「真実と正義の象徴である羽根」を使って
計量されるという、何ともオトロシイ場所のようですが、「神々が
住む所」でもあります。

 

一方で、ドゥアトは天空のある領域を示しているという考え方も
あります。

 

知恵の神トト(ヘルメス)の著作とされる「ヘルメス古文書集」の
なかの一節に、門弟に語った言葉、

 

「知らないのか、エジプトは天界のイメージだということを?天
界を支配する全ての力とその働きが、地上つまりエジプトに移
されていることを?」(「創世の守護神」より)

 

とあります。

 

また、埋葬テキストの一つ「ドゥアトにあるものの書」のなかに、
「ドゥアトの隠された場所」という天空の領域を地上に再現する
よう指示した箇所があります。

 

エジプト学者のセリム・ハッサンはピラミッド・テキストの解釈で、
「ドゥアトは黄泉の国を示し、天空に存在していた。」また、「ドゥ
アトは夜明け前の薄明りが起こる東の空の領域のことだろう。」
と述べています。

 

ピラミッド・テキストは古王国時代の最も古い思想を受け継い
だものです。その650節には、「ドゥアトは、あなたをオリオンの
住む場所へ案内する・・・。」とあります。

 

古代エジプトの神話は、独特の二重性を持っていると言われ
ます。

 

つまり、古代エジプト人はドゥアトを地下世界と、天空のオリオン
座の2つの領域にダブらせて見ていたのではないかと思われま
す。

 

ジャーナリストのグラハム・ハンコックと、建築家のロバート・ボー
ヴァルは、共著『創世の守護神』の中で、エジプトのギザ・ネクロ
ポリスにあるピラミッド群と大スフィンクスはナイル川も含めて、
天空の世界を地上に映したものだと述べています。

 

●ホルアクティとは
前述しましたが、太陽神ラー(太陽円盤)はまず、最高神アトゥム
と習合してラー・アトゥムとなりましたが「アトゥム」は、ライオン=
スフィンクスに似た姿です。スフィンクスの名前の由来も「アトゥ
ムの生きた姿のイメージ」という意味からきています。

 

そして、ホルス神(鷹の姿で、ファラオ王の化身)と習合し、
「アトゥム・ラー・ホルアクティ」となります。

 

ホルアクティの意味は「地平線のホルス」です。すると、「ラー・
ホルアクティ」とは、「地平線上にあるホルス王と合体した太陽
神(円盤)」となります。

 

つまり、「ホルアクティ」とは夜明けの東の空の、ある領域を表し
ていると言えます。

 

では、その領域にある星座は何でしょうか?

 

大スフィンクスの前脚の間にある、トトメス四世の石碑には、スフィ
ンクスのことを「アトゥム・ホル・エン・アケト(アケトはギザはヘリオ
ポリスの西の地平線を表す)」と書いています。

 

「ホル・エン・アケト」は、「地平線にいるホルス」という意味です。

エジプト学者のセリム・ハッサンは、この石碑が、大スフィンクス
のことを「ホルアクティ」と呼んでいると指摘しています。

 

これは、ホルアクティ=スフィンクスということで、その天空上で
の象徴は「しし座」ということを指しているのではないでしょうか?

 

●ドゥアトからホルアクティへの旅
古代エジプトの再生崇拝では、シリウスが夏至の日の70日前
から、「復活の儀式」を行います。これは死者をミイラ化するの
に必要な防腐保存処理を必要とする日数でもあります。

 

この日から、太陽=ホルス(王)が母イシス(シリウス)の子宮の
中で、復活のための準備を行う期間です。

 

天空上での位置は、おうし座の角の辺り。そこから「太陽の帆
船」に乗り、天の川を東へ渡ります。行き先はしし座(ホルアク
ティ)の心臓部です。

 

’ピラミッド時代’のこの旅を以下にシミュします。

          ※太陽(赤丸)の動きを10日間隔で表示しています

 

●歳差運動による視位置の変化
歳差運動とは、地球の地軸がまるでコマが回転しながら首を
振るようにゆっくりと向きを変えるもので、約26000年で1回転
しています。

 

この現象を発見したのは、歴史学上では紀元前2世紀のギリシ
ャの天文学者ヒッパルコスとされていますが、エジプト学者で考
古天文学者のジェーン・B・セラーズは研究の中で、「歴史時代
以前のエジプト人たちが、少なくとも紀元前7300年に歳差運動
のゆっくりとした動きを記録していた。」と結論付けています。

 

星が見える位置は、この歳差運動によって現代と古代では、
ガラッと変わってきます。また、季節ごとに見える星座も変わり
ます。春分点は2160年でひとつの星座を移動していきます。


当然、オリオン座やシリウス、天の川の高度や姿勢も変わります。

 

今回のシミュレーションは、エジプトが舞台ですので計算の観
測地緯度経度をエジプトのギザ(東経31°13′北緯30°1′)
に設定して行います。(天の川の表示はありません。天の川は
オリオン座の東<左側>を流れていますので想像をお願いし
ます。)

 

まず、ギザ台地での現代のクリスマスの夜半に見える南の地
平線を表示します。

 

        ※注:高くなるほど、星の位置が水平方向に拡がって表示されます。


オリオンもシリウスも高度は40°以上で高くて見えやすい位置
です。


●最初の時
『創世の守護神』では、前述の「ドゥアトからホルアクティへの旅」は、
「最初の時」へ時間を遡るメタファーとして、ピラミッド時代に時計を
合わせて広報したものでは?との見方を示しています。

 

その「最初の時」とは、紀元前10500年の春分の日の夜明けである

と述べています。


その時に天上世界と地上世界が一致するのだそうです。

 

それは、まさに夜明け前の特別な瞬間=ヘリアカル・ライジング!

 

以下にその推測図を表示します。

上図は現代のしし座のヘリアカル・ライジングで、秋分の日の

夜明け前です。

下図が、紀元前10500年の春分の日のしし座ヘリアカル

・ライジングです。ギザ台地の大スフィンクスがまさに水平に横

たわっているようです。

 

そして、その時のオリオン座(オシリス)の見え方は、

かなり高度が低く、オリオンがこの低高度から上昇を始めるとき

とも言えます。

 

このヘリアカル・ライジングは、しし座だけでなく、その時に南中

していたオリオン座とセットであるというところが特徴でもあります。

 

もしかしたら、この瞬間が人類共通の無意識の奥底に元型

として、記憶されているのかも知れません!!

 

 

※このテーマの記事は、都合により
 「です・ます調」で投稿しております。

 


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