yahooニュースに出ている国交省からの発表を読むと、
管制官は正しく指示したのに、海上保安庁機の機長が間違えたような感じの印象を受けるのですが、
うーーん、たしかに微妙に違う。
No.1とか、余計なことを言わなければよかったのかも・・・
いつもと違う表現をされたら、悩むだろうなあ・・・
別の動画で、実際の音声を書き起こしているものがありました。
英語であれ、日本語であれ、人によって理解する内容が微妙に違うから、
定型表現をちょっとでも変えると、まずいことを起こす可能性があります。
実は、大昔、英語を話すインストラクターの外人さん(現在、有名なYoutuber)が
アイマスクをして立っている人たち(目隠しをした日本人たち)に向かって、
指示通りに体を動かすように英語で指示するのを、自分が通訳したことがあります。
そのインストラクターさんは両手を横に広げながら、
「hands Up and spin」と言ったので、
自分は単純に「両手を上げて、回ってください」と訳したら、
目隠しの人のほとんどが両手を横に広げて回るんじゃなくて、
両手を頭の上まで上げて回転し始めちゃって、
インストラクターが笑い転げちゃったんだよね。
話している相手が見えている状況で聞こえる言葉と、
見えていない状況で聞こえる言葉では、
解釈が違ってしまうんで、訳すときは特に要注意です。
ついでと言っては何ですが、
実際の当時の羽田空港の管制塔と航空機との無線通信内容も動画でアップされておりましたので、
そちらもご覧ください。
根本的な話なんですが、こんな聞き取りにくい無線情報を元にして、
たくさんの人が搭乗している航空機の離着陸の交通整理をするのって、
なんか間違っているような気がします。
せめて滑走路上に、離陸予定の航空機と着陸予定の航空機からはっきり視認できるような電光掲示板を
複数配置して、間違いのないようにしないと、
あんな聞き取りにくい無線の言葉だけで衝突事故を防ぐというのは無理があると思うんだけどねえ。
なお、上の動画の中のマップ上にJA722という識別番号の海上保安庁の機体が表示されないのは、
おそらく、ネットに表示する民間機用システムの方に海上保安庁や防衛省の機体は含まれていないためみたいです。
(2024年1月4日21時14分追記)
どうやら、海上保安庁の機体にトランスポンダーという機体の位置を知らせる機材が装備されていなかったとか、
羽田空港の滑走路の待機位置を示す警告灯が12月27日に故障して、修理されていなかったとか、
管制官と機長の通信だけの問題でもなさそうな感じになってきました。
数種類の原因が重なった複合的なものだったのかもしれません。
国内の主要な空港には、ASR(空港監視レーダー)とASDE(空港面探知レーダー)の2種類で、
周辺の空と地上走行物の監視をしているそうです。
しかも、2010年、福岡空港で同じような重大インシデントが発生したらしく、そのときには、
管制塔側の指示で回避できたということです。
しかも、同じような年末年始の繁忙期シーズンに起きた事件ということで、極めて似た状況だったみたいです。
そうなると、今回の事故は、管制側の仕組みがうまく作用しなかった事例ということになりそうです。
フライトレーダー24というアプリは、
パソコンやスマホに民間航空機が現在どこを飛んでいるかを表示してくれるアプリなんですが、
空港管制の業務としてそのアプリを見ているということはないでしょう。
(逆に、空港業務がそのアプリに依存しているようだったら、そのことの方が問題だと思いますし)
フライトレーダー24に海上保安庁の機体や自衛隊機が表示されないことに問題がある、
というようなことを言う人は何か勘違いされているのではないかと思います。