扉を開けると、黒服(店によって呼び方が変わります。クルー、スタッフと呼んでいるところもあります)が
笑顔で声を掛けてくれます。運がよければ、前のお客さんを送り出した嬢が残ってて、一緒に「いらっしゃいませ」
といってくれます。そういう場合はかなり華やかです。
黒服「いらっしゃいませ。ご指名のほうはございますか?」
私「いや、この店は初めてなので(指名は)ないです」
黒服「ありがとうございます。それでは、こちらのほうへ」と席に案内されます。
「店に来たのが初めてなんていうと、ぼったくられるんじゃないか?適当にあしらわれるんじゃないか?どこも常連客が大事だからな。『初めて』なんて言わない方がいい」と考えた方はいらっしゃると思います。
でも、常連客だって、初めて来て、その後、何回か来店しているから常連客なんですよ。店側からすれば、
「このお客さんも常連客にしたい」と当然考えるはずです。その人の遊びに回せるお金の中でできるだけ多く、長く店に落としてほしいというのが本音でしょう。何度も来てもらえるようにしたいはずですからね。
初めての店に行って『初めて来ました』と言えば、ある程度、人気のある嬢(ただ、ここが難しくて人気のある嬢≠誰がみても可愛い嬢、きれいな嬢ですし、可愛い嬢、きれいな嬢≠自分のタイプという式なんですよね)が来てくれます。間違っても「今日入りました。まだ見習い中です」という嬢はつかないと思います。
「いや、そういう子の方が初々しくていいんだよ」という方は、常連客になってから、ゆっくりとお楽しみください。
指名で「最近入った子」という指名もありかなとは思いますが、「他店からの移籍」というパターンもありますので、必ずしも「キャバ嬢になって日が浅い子」が来るとも限りません。
席についてから、少しの時間は一人です。「早く誰か来いよ」と焦るのではなく、じっくり店内を見回していましょう。どんな雰囲気の店なのか?個人客が多いのか?団体客が多いのか?嬢はどんな服が多いのか?
(まあ、ドレスかスーツが多いです。「コスプレデー」とかクリスマスの時期のサンタさんコスプレの店もありますが・・・)
柿ピーでも食べながら気長に待ちましょう。繰り返しになりますが、初めてのお客さんに好印象を与えるため、店側は可能な限り、早く嬢をつけてくれるはずです。それでも放置時間が長かったら。
(よほど気に入った嬢がいたりするのでなければ二度目は・・・)
お待ちかね!嬢が隣の席に来ました。黒服に連れられてきますので、例えば、「かおりさんです」と紹介されます。(この世界では自分の身内、同じ職場でも「さん」づけなんですね。何故だろう?)
スーツ姿(といっても、かなり胸元が開いたミニなのでひょっとした拍子に・・・)のキレイなお姉様系のかおりさんが目の前に・・・。
かおりさん「隣、失礼しま~す」
私「どうぞ、どうぞ」
かおりさん「かおりです。お名前はなんとおっしゃるんですか?」
私「○○です。漢字はこういう字なんです」
かおりさん「珍しい苗字ですね。初めて聞きました」
私「よく言われるんですよ。かおりさんって名前は漢字なの?それともひらがな?」
かおりさん「(名刺を出しながら)ひらがななんです。どうぞ」
私「俺、漢字大好きでさ・・・。ひらがなの名前見ると漢字にしたくなるんだよね」(事実。もし漢字だったら「いい漢字だね」とほめます)
かおりさん「へえ~。じゃあどういうのがいいんですか?」
しばらく漢字の話で盛り上がる。
かおりさん「何か飲みますか?」
私「じゃあ、焼酎を薄めで作ってもらっていい?」(この作ってもらうっていうのがいいんですよ)
かおりさん「いいですよ。このぐらい?」
私「うん。あ、ちょうどいい感じ」(もし濃すぎたり、薄すぎたりしたらそれは言いましょう)
かおりさん「私も何か飲んでいいですか?別料金になっちゃいますけど・・・」(レディースドリンクは別料金の店だ ったんですな。入口で確認しておくこと)
私「あ、いいよ、いいよ」(「水飲んでろ」と言える方は挙手を)
かおりさん「ありがとうございます。すいませーん」(と黒服を呼んで自分が飲みたいものを注文)
かおりさん「よく飲みに行ったりするんですか?」
私「仕事帰りとか次の日が休みだったら飲みにいくことが多いね。職場では一番若いから飲み会でも結構気を使うし、やっと羽根を伸ばせるって感じかな」(本音)
かおりさん「どんな仕事なんですか?」
私「どんな仕事をやってるように見えます?」(よく聞いてます)
かおりさん「ええ~。IT関係?」
私「いや、俺、PC全然詳しくないんだよ。(・_・;)職業は××だよ」
かおりさん「そうなんですか?休みの日は何してるんですか?」
私「掃除・洗濯。後は読書したり、スポーツ見てたり・・・」
かおりさん「じゃあ、この前のWBC見ました?すごかったですよね!」
私「見てたよ。仕事中だったけど。日本優勝してよかったよ。もっといろいろな国と試合してほしかったけどね」
かおりさん「そうですよね。私、マー君の大ファンなんです!○○さんは野球詳しいんですか?」
私「日本の野球はあまり・・・。でも、マー君は俺も好きだよ。ハンカチよりマー君だね」(これも本音)
かおりさん「そうそう!私もそれ思います」
見事、かおりさんは私の趣味である野球ネタを引き出しました。当然、私はもっとしゃべりたいんです。
しかし、この絶妙のタイミングで、黒服さんが近づいてきて、その席から嬢を別の席に移動させて、新しい嬢をつけます。怒ってはいけません。
店側からすれば、「今のかおりさんは新規のお客さんに気に入ってもらえたかな?ここで移動させても気に入ったのならまた指名するだろう。もし、気に入らなかったら、このお客さんはもう来ないかも・・・。だったら、タイプの違う子をつけてみよう」という考えなのかもしれません。私はそう考えています。
それから、かおりさんが誰かに指名されていて、そこから抜けて自分についていた場合もあります。
その他の誰かの方が常連客ですので、優先度は高めになることもあり、それは仕方ないことです。
自分にもし、指名の嬢がいてほとんどついてくれなかったら不満でしょう?
少しでもついていてほしいから指名するわけです。
このケースでかおりさんが指名客の元に戻るのは会計のときというケースもあります。会計のときは、必ずといっていいほど指名嬢が来ます。延長のチャンスだからということもあります。他の嬢に言われても「今日はこれでもう帰るよ」と言っていても、お気に入りの指名嬢に言われたら「じゃあ、もう少しいようかな
」となるケースがあります。
(単純なものです)
そういう私とかおりさんの仲を引き裂こうとする黒服さんの悪い企みに、スマート(これは重要)に対応する方法が1つだけあります。「場内指名」というものですが、これについては後日、書きたいと思います。
さあ、快く、かおり嬢を送り出してあげましょう!あなたのことが嫌で逃げるわけではありません。
仕方ないんです。仕事なんです。隣の席で飲んでて見ていると、黒服さんに文句を言ったり、嬢に愚痴を言ったりする方がうんざりするほど多いんですが、無意味です。逆効果です。
かおりさん「ごめん。呼ばれちゃった。また是非来てくださいね。野球のこと、もっと教えてほしいし・・・。これ、私のメールアドレスです」(と言って、冒頭で渡してあったけれど、テーブルの上に置きっ放しだった名刺の裏に携帯のメアドを書いている。最近赤外線通信なるものが出回ってますが、個人的にはあれは嫌いです。時間がかかるし、手書きで携帯のアドレスを書いてくれたほうが嬉しい)
私「じゃあね。最近、野球好きって女の子少ないから、俺も楽しかったよ」(どんなネタでも必ず言う)
はい、また柿ピーでも食べて新しい女の子が来るのを待ちましょう!
酔ってくると「どの嬢とどんな会話をした」とか「何番目の嬢が一番気に入ったか」を忘れてしまうこともあるので、名刺を順番どおりにできるようにしまっておきましょう。
それから「焼酎濃すぎたんだけど、言えなかった」という優しいあなた。誰も見てません。水を足しましょう。
(「薄かったけど言えなかった」という方は焼酎足してもいいですが、あのビンの色は目立ちますのでお気をつけて)
ほら、やることは山ほどあるんですよ~。