ホウボゥと雨とアスファルト -9ページ目

おっちゃん

「ホウボゥと雨とアスファルト」(第19回)


ねぇどうして
すごくすごく好きなこと
ただ伝えたいだけなのに
ルルルルル
うまく言えないんだろう…

ねぇせめて夢で会いたいと願う
夜に限っていちども
ルルルルル
出てきてはくれないね…



小学校6年の頃、僕はサッカー部員だった。

毎週水曜の夜に、僕を含めたサッカー部員の小学生達十数人が集まってランニングしたり、公園で紅白戦なんかしていた。

その集まりの帰り、特に仲の良かった数人である友達の家によく遊びに行っていた。

友達の家に入ると、いつもうっすらと心地の良い曲が流れている。

奥に入ると、その友達のおっちゃんがパソコンの前に座っている。

曲を流しているのは、おっちゃんだった。



「おっちゃんこれなんて曲なん?」

「これええやろ?ドリカムのLOVE LOVE LOVE や。むっちゃ好きやねん」

「ふーん」




最近、頭の中でこの曲がよく流れる。つい口ずさむ。



おっちゃんにはもう会えないけど、これ聴いて元気にしてるかな??



今日もアスファルトは濡れている

モォジョ

「ホウボゥと雨とアスファルト」(第18回)


「どこにあるんや!?」

台所にも、風呂場にも、ベッドの側にもない。


探しているのは、どんな女でも瞬く間に、イチコロに落としてしまうとゆう、ブゥードゥー魔術が生み出した奇跡のおまじない「モォジョ」。


気晴らしに外へ出てみた。いい天気だ。

空には薄い雲がサラサラと流れ、太陽は空気をまるで、赤ん坊の乗っているゆりかごを揺らすかのように静かに揺らしている。


丁度良い、座布団ぐらいの大きさの石があったので、それへ腰掛けた。そして前へと目線をあげた。


「あれ?こんなところに泥の水たまりが…」

「ん??」

「もしかしてぇ…」


迷うこと無く、手を突っ込んでみた。


ベチャッ。ズブズブ…


腕は肘の上まで泥水につかった。ヒンヤリと冷たい。
そして指の感覚だけを頼りに探る。探る。探る…


コツッと指が何かに触れた。


ドロドロドロ…ベチャッ


取り出してみるとそれはマディー・ウォーターズ

「I've got my mojo working」のレコードだった。


「おっ!!これがモォジョか!?」

中には紙切れが入っていた。泥水がついていて読みにくい。

なになに…




ルイジアナへ下り
俺はモォジョを手に入れた
どうだ?
お前にしか効かない
モォジョを
俺は手に入れたんだぜ



すると、突然「スッ」と目の前が真っ暗になった。


いや、始めから真っ暗闇だったのか。


寝ていた僕には突然の事のように思えた。


外では鈴虫が静かな夜に綺麗な音色を響かせ、時計は深夜12時34分を指している。



これが僕と「モォジョ」との出会いだった。




フゥ~…




前置きが長くなりました。

超ゴキゲンブルースナンバー。これは数あるブルースの中でも間違いなくナンバー1にロックしてる曲だ!


ホウボゥは毎朝、これを聴いて腰をグイングイン回して踊り狂っているとか、いないとか。

それにしても若き日のマディのギグ見たかったなぁ~。古びた木造の箱の中はワイワイガヤガヤ。

テーブルに酒を置く音。
ブギーのステップで鳴り響く床。
そこそこで口喧嘩する声。
シャッフルのリズムに愛を揺らす男女。


そして、マディの歌う泥臭く色気に満ち満ちたブルース。

エレクトリック化され、大音量になったバンドサウンド。


南部からシカゴとゆう都会へと夢描き上ってきた若者達の熱気。


そのすべてがあのシカゴブルースを作りあげたんだろう。



と思うと、興奮のあまり僕の○○がぁ…



ハッ…!



えへん…


今日もアスファルトは濡れてるぜぇ~ッ!

ミーン

「ホウボゥと雨とアスファルト」(第17回)


ミーン ミーン…

なにやら足元ではセミとゆう虫が短い命を燃やしながら、しんみりと泣いている音がする。

辛気臭ぇ、こんなん聴いたら気が滅入っちゃうぜ。

血気盛んな中学時代、ゆる~い、ぬるま湯みたいな曲は大嫌いだった。

なんかこう、かわいいケツをプリプリ振りながら、朝の踊りをビシッと決めて

「さぁ学校行こっ!」

って感じの曲。

有り余りすぎて、ねっとりギラギラと光り輝いていた僕の青春のエネルギーを遮ってしまう、梅雨の雨雲。そんな曲は、太陽の子供の僕にとってまさに天敵だった。

でも太陽だって年は取る。
今日は疲れたし雨雲に頼んで、さぼっちゃえって日もある。

そうこうしてる間に太陽なりに考える時間が増えた。


セミとゆう虫は、なんで泣いてるんだ?って思う様にもなってきた。

もう一度足元で泣いているセミの音を聴いてみた。




ミーン、ミーン…

岡本くん
君がいない
夏はまるで
抜け殻のようだ




「岡本くん」いいね!


って今度ハイロウズに会ったときに言ってみたいと思う。



今日もアスファルトは濡れてるみたい。