映画「なぜ君は総理大臣になれないのか」を有楽町で鑑賞。
 17年にわたる取材の成果を編み上げた力作。
 麻生太郎や安倍晋三といった世襲はもちろん、小池百合子などともまったく違うタイプの代議士なのは知っていたが、世代も近くキャリアも似ている細野豪志や玉木雄一郎とも異質な政治家であることが、この作品を通してよくわかる。
 作品後半に民進党を離党してみんなの党の推薦を受けて玉木と並んで記者会見を開いたときの両者の表情の違いは、何よりも雄弁に政治家の質の違いを物語っている。

 つまり離党結党の際に起きる同僚や支持者支援者のハレーションに対して割り切って、というか自分がこれから行うことだけ考えて動く冷静な玉木に対して、最後まで割り切れない表情で煩悶する小川のコントラストははっきりしている。小川の方が情緒的なのだ。

 生前の安倍晋太郎が息子の晋三を政治家にすることに反対だった理由は「情けに薄いから」というのは有名な話だが、そういう意味ではよほど小川の方が総理大臣に向いていると思う。
 そして私が勝手にクライマックス認定しているのが、友人である慶應義塾大学教授の井手栄策による激励スピーチのシーン。ここで彼は小川のポスター写真、表情に触れるのだけど、愚直な小川の一面がクローズアップされ非常に盛り上がる。そしてそれと同時にそのような不器用なメンタリティーで政治の世界でやっていけるのか、勝手に不安になったりもする。
 こんな代議士に内閣で活躍してほしいが、きっとつぶされてしまう、とも想像できてしまう。
 作品タイトルは小川に向けて問いかけているようで、じつは矛先は我々だというまとまりで、非常に考えさせられる。都知事選前に観れてよかった。
 小川淳也は17年経ってもあまり印象が変わらないが、可愛らしいヤングマダムだった嫁はんが、かなり老けた外観になったのを見て「ずいぶん苦労させたな、おい」などと余計なお世話をやきたくなるのだった。あぁ、くたびれてはいるものの美人さんであることに変わりはないが。