印象深かったのは姑とマリーの会話シーンです。自己愛が強く、年齢的に古い価値観から開放されない淋しい女性である旦那の母。息子を溺愛していたというよりは、共依存の関係が恒常化して他人の話など耳に入らない気の毒な老人です。こういう業の深いキャラクターを作り上げた俳優とスタッフには驚くばかりです。
 かなりキツいセリフの応酬があるのですが、こういう母親に過保護に育てられると鬱になりやすくなっちゃうのかなぁ……などと思いました。
 シャーロットの美しさは出演作を観れば観るほど確信になっていく感じです。彼女の持つ老いと同居した艶っぽさは唯一無二な感じで、他にこのジャンル(?)の表現に長けた人は思いつきません。どういうことかというと、力の入っていない気が抜けたような表情に色気を感じるのです。とくに口元のシワが見えるような、普通ならメイクで隠すような“老い”……そんな要素を取り込みながら発散するエロティシズム……あえて文章にすると、そういう魅力です。
 夫の失踪後のマリーの動きは、平静を装いつつ狂っていて、その静かな破綻が2部の見どころですね。精神のバランスを保とうとして自衛手段として現実を受け入れないのか、ショックが激しすぎて無意識的に変な行動に走っているのかわかりにくいけれど。
 ただし愛人を作り情事に至ってしまうのは女の情念からしたことだと思います。単純に喪失感から男を求めたのではなく、元々持っていた夫以外の男とのセックスに関する興味とか、別の意味での独占欲とかが引き金のような気がしました。このヴァンサンとの関係はありがちな展開ですが、単純な解釈は危険だと思います。だって「5×2」では、離婚したばかりの夫婦がセックスするためだけにホテルで会う……みたいな生っぽい場面を作り出す監督ですよ。
 状況だけ見たら複雑に感じるけど、自分なりの解釈を考えられるのが楽しいですね。