ひとつの物語を新たな視点で再構築する。作家的アプローチは無限にあるのだと、あらためて気づかされます。
悲劇の王妃、運命に翻弄されたかわいそうな人……私もアントワネットにそんなステロタイプのイメージを持っていました。彼女の物語の“旨味”は選択の余地や自身で考える力が無かった故の究極の(贅沢)生活からギロチンに至るまでの転落人生のはずです。日本人の村社会根性丸出しの「他人の不幸は蜜の味」的な退廃的な楽しみ方がスタンダードだと思っていました。(ひどい……)
しかし監督は独自の解釈と視点で私が想像できなかった、なおかつ「あり得る」もうひとつのアントワネット像を作り上げたのだと思います。もちろんエンディング付近には、その後に待ち受ける不幸の予感といった気配は感じさせていますけど、この映画では「少し感じさせる」くらいのサジ加減が適しているのでしょう。私、ベルばら(とくにアニメ)が大好きなのですが、この作品は同じくらい好きです。
どれだけ自分の想像や予想をイイ意味で裏切ってくれるか。私が映画を観るときの大切にしているポイントです。フランシス親父がどんな教育をしたかは詳しく知らないけど、誤解されることを恐れず自分の作家性を信じて映画を作り上げる……その強いメンタリティは彼女が育った特殊な環境で育まれたのかもしれません。
ポップな色使いやアイテムのディテール等が取り上げられがちな本作だけど、私には監督の(ある意味での)潔さがフィルムに投影されている感じ……それが一番印象に残りました。
さすがだソフィア姐さん。一生ついて行きます! 迷惑だな……
