消費税に関する典型的デマ、人件費を派遣に置き換えると消費税節税で企業が儲かるので、派遣就労を助長 | Red Panda 会のブログ

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こんにちは。雑多なブログですが、一般企業での経理経験(食料品製造・卸と宿泊業)と、ちょっとした税金関係の職務経験を基に、そういう話題のブログも書ければと思ってます。

SNSなどに流布されている消費税デマにはうんざりさせられる。今回も以前当ブログでも取り上げたが、消費税の代表的デマの一つである「人件費を派遣に置き換えると仕入税額控除が出来るので節税になり企業が儲かる。よって派遣就労を助長する」について再度検証する。 


 前ブログの前提条件に人件費を加えて、税込経理で、課税売上:12,345,678円(10%税抜11,223,343円) 課税仕入:9,876,543円(10%税抜8,978,675円) 人件費:1,000,000円とする。消費税額の算出過程は以前のブログに示した通りである。 

 

①通常の人件費(不課税) 

課税売上:12,345,678円-課税仕入:9,876,543円-人件費:1,000,000円-消費税納付額:224,300円=利益:1,244,835円 

 

②派遣に置き換え(課税10%) 

課税売上:12,345,678円-課税仕入:9,876,543円-外注費:1,000,000円-消費税納付額:133,400円=利益:1,335,735円 


 一見すると消費税額が減って利益が増加しているように「見える」が、これは税込経理のレトリック、まやかしである。 税抜経理にすると明らかで、外注費「税込」1,000,000円と言うことは、税抜額は909,090円と言う事になる。要するに元の人件費を約9.1万安く買い叩いた分利益が増えたという話なのである。税抜経理では消費税が損益項目として表れる事はない。 

 安藤らの界隈はこういったレトリックを使いたいが為に、やたらと税込経理で説明してくる。だが、一般的な法人はほぼ税抜経理で記帳していると言って差し支えなかろう。税込経理で記帳しているのなんて本当に個人事業主くらいだろう。元の人件費額を変えずに、派遣に置き換えたとすると③のようになる。 


 ③ 

課税売上:12,345,678円-課税仕入:9,876,543円-外注費:1,100,000円-消費税納付額:124,300円=利益:1,244,835円 


 ご覧のように消費税額は減るが利益は①と変わらない事がお分かり頂けたのではないか。何度も言うが消費税は納付だろうが還付だろうが利益に影響を及ぼさない。消費税の話は常に税抜経理で考えて欲しい。SNS等では税抜経理脳などと煽っているバカもいるが、バカなのは明らかに税込経理脳の方である。


 あともう一つ言っておかねばならないのは、派遣会社からの請求書も見たことがないような阿呆共が②のような例を出すが、基本的にこんな例自体有り得ないのである。下の円グラフは一般的な派遣スタッフの料金の内訳である。派遣スタッフの賃金に加えて、派遣会社の利益や諸費用、会社負担分の社会保険料などが乗った額に消費税が加算され、請求されるのである。 



 つまり例えば、30万円の賃金で雇っていた人を税込同額で派遣スタッフに置き換えるとしたら、その派遣スタッフの賃金は約19万円ほどである。これで同質の労働力を求めると言うのか。極悪非道な話しである。 

逆に言えば同じ30万円の賃金で派遣スタッフに置き換えるならば、派遣会社にはおよそ47万円は支払わなくてはならない。 よって、消費税が人件費を派遣に置き換えるインセンティブになどならないのは明らかである。一般的な企業が派遣社員を使いたいのは、人件費の変動費化という部分を主因と見るべきであろう。 


 繰り返すがこういった下らないデマに基づいた議論はやめろ。今回のケースは控除と言う言葉に引き摺られ過ぎなんだ。もうやめようよ。こんな議論は何も生み出さない。