15万年前という数字につい反応してしまう。

 核廃棄物は、放射能が安全な状態になるまで10万年ないし15万年間保管する必要があるといわれていて、フィンランド・オンカロでの様子を描いた映画『10万年後の安全』を観て以来、その数字が気になっているのだ。

小泉元首相は、この映画を観て脱原発に転じたともいわれている。

 

 ちょっと前に話題になった「サピエンス全史-文明の構造と人類の幸福-」(コヴァル・ノア・ハラリ)を今、読んでいるんだけど、そこにいきなり15万年前をイメージする記述が出てきた。その部分を抜粋する。

 

 歴史の道筋は、3つの重要な革命が決めた。約7万年前に歴史を始動させた認知革命、約1万2000年前に歴史の流れを加速させた農業革命、そしてわずか500年前に始まった科学革命だ。

 

 火の恩恵にあずかってはいたものの、15万年前の人類は、以前として取るに足りない生き物だった・・・あらゆる種を合計しても、インドネシアの島々からイベリア半島までの範囲に暮らす人類の総数は、まだせいぜい100万程度で、生態系のレーダー上でぽつんと光る点でしかなかった。

 

 サピエンスは15万年前にはすでに東アフリカで暮らしていたものの、地球上のそれ以外の場所に侵出して他の人類種を絶滅に追い込み始めたのは、7万年ほど前になってからのことだった。それまでの8万年間、太古のサピエンスは外見が私たちにそっくりで、脳も同じぐらい大きかったとはいえ、他の人類種に対して、これといった強みを持たず、特に精巧な道具も作らず、格別な偉業は何一つ達成しなかった。

 

※250万年前ほど前からアフリカでホモ(ヒト)属が進化したが、ホモ属には、ホモ・ネアンデルターレンシス、ホモ・エレクトス、ホモ・ソロエンシス、ホモ・フローレシエンシス、ホモ・ルドルフェンシスというような多くの種類(科)があり、そのうち今の人類に繋がるホモ・サピエンスは20万年前に東アフリカで進化を始めたとのこと。

約200万年前から1万年前ごろまで、この世界にはいくつかの人類種が同時に存在していたのだ・・・10万年前の地球には、少なくとも6つの異なるヒトの種が暮らしていた

つまり、ホモ・サピエンス以外のホモ属は1万年前ぐらいまでに絶滅したということで、その理由ははっきりしないものの、「サピエンスに責めを負わせるべきかどうかはともかく、彼らが新しい土地に到着するたびに、先住の人々はたちまち滅び去った」ということである。

 

 オンカロで、放射性廃棄物を保管する場所に、危険なものが埋まっているという標識を立てるべきかどうかを悩んでたのは当然なんだな。今の言葉が15万年後の人(?)たちに伝わるわけがないもんね。

 原発を作り続けるということがどういうことか、こういうことからも想像して欲しい。