昨日は、友人の医師のお誘いで、「あなたは受ける医療をどう選びますか? ~トンデモ医療を見分け、最適医療を患者自身が選択するために~」という集会に参加しました。


 「トンデモ医療」の定義が曖昧ですが、典型的には、末期のがん患者に対して、通常の抗がん剤治療なんかやってもどうせ助からない、今はまだ先進医療にさえ指定されていないが、これこそが最先端、あちこちで奇跡を起こしているなんていって喧伝されながら、実は効果がほとんど実証されておらず、かつとんでもない高額の治療法のことをイメージすればいいでしょう。

 例えば、免疫細胞療法です(免疫療法とは別のものです)。


 そういった治療法をお勧めする医師として名を連ね、週に3日クリニック等に顔を出せば、年3000万円という契約を求められる例は少なくないようです。

これらの治療法の特徴は、抗がん剤治療などと併用でき、副作用がないことで、つまり効果はなく、めちゃくちゃ高いという以外には大きな問題がないため、良心的な医師であっても、週に3日、魂を売って、それで得た金と残りの4日を社会のために使えばいいんじゃないか、と迷うのは責められることではないでしょう。

(友人の言葉を借りれば、「副作用は残された遺族の財産がなくなることだけ」)


 また、患者の側からも、仮に効果が実証されておらず、高額であったとしても、1%の可能性でもあれば、それに賭けてみたいと考えるのは、何ら不思議なことではありません。


 しかし、末期がんを宣告され、藁をも掴む思いの人たちに、まるで金さえ払えば助かると信じ込ませて、財産を投げ打つような選択を強いるとすれば、これは詐欺というしかありません。


 そもそも、これらの治療法を受けて奇跡的に生還した人たちが存在するのは確かですが、その人たちは間違いなく他の治療法も併用しているため、どの治療が効果的だったのかを特定することはできないのです。

  

 懇親会にも参加して、色んな関係者の人たちと話しましたが、皆さん、強い問題意識を持っていて、あちこちで熱い議論が続いていました。

また、法律家の立場からすれば、様々な対策が考えられるような気もしており、今後、少しこの問題に関心を持つことで、役に立てるかもしれないとも思いました。


 それにしても、結局、医師とか弁護士とか、強力なライセンスを持つ人たちは、強力な倫理観が求められるってことだよねー。