撤退後も自己のバリューを残す為に、破壊工作を行わなければならない。

表向きは不特定多数へのノウハウの供与とし、実態は競業者多数による市場の破壊。

いずれにせよ利益を出せる安全策である。

そして、小さく粉砕し、固まりが出来ないように誘導する。


ただそれは、競争力が残っている間にやらねばならない。

もうひと山残しておく。

駆け上がり、頂上から飛び立つ為に。


もしくは差別化を模索している企業への買収を促す事でも良いだろう。

私なら私を買うだろうが、世の中は売りに出されている事に気が付かないらしい。


物品運用の最終段階は関連サイトのセット販売とし、飽くまでモノを売って完結する。


増強のスピードを早める為に散開させている全軍を撤退させ、1点攻略に集中させる。

焦らず急ぐ。

決して待たせる事無く。

私は私の役割を完遂する。

限界を超える超努力を引き出す環境を築け!!

心身がロックオンを掛けるのを促すんだ。

かすれた瞳、真っ白な視界、そして最後はココロだよ。


明日から皆は社員旅行。

タイへ3泊4日5つ星、30名御一行様。

そして、私は居残り組。


微塵も行きたいと思わなかった。

他の事を考えていた。

毎年異なる国へ連れて行ってもらえるのは有り難いと思ったけれど、もう純粋にそれを喜べなくなっていた。

子供の頃に欲しかったおもちゃが、今では全く興味の対象とならないのと同じように。


私は落ち着いて、ほんの僅かでも先に詰めていく。

そして、私のカタワレが参加している事は、なおの事私を安心させる。




彼が入院していないから、彼女の運んでくる幸せの恩恵をもろに受けている。

家族全員のこの穏やかな日々は彼がいない事に起因する。

彼の言葉を1つだけ覚えている。

「俺はまだ死ぬのは嫌だ。」だ。

その時、嫌だから生きるのだと私は心の中で笑い飛ばした。

二度と無い程に蔑みながら。

もうすぐ五体満足で帰って来る。

そして、それが家族全員をヒステリックにさせる事を彼は知らない。

殊、援助する方にはたまったものじゃない。


ずれた人格者というものは人間では無いと思う。

必ず平穏の中に隔離する。


ある決断に向かっている。

全てが私をそこに運んでいるようだ。

もうすぐ辿り着く。

自分の意志がそこに含まれているかどうかさえ解らない流れ。


この会社にいる事は私の目標を遠ざけたのかも知れないけれど、ここにいなかったとしたら、とうに諦めていただろうと得意先へ向かう足取りの中でふと感じる。

人間とは自分の思っているよりは安易な存在であるだろうから。


苦しい時をここで過ごした事は、今になって思えば、良くも悪くも無かったのかも知れない。

ただ、心の奥底では未だ野心は持ち続けていて、人には言えないような馬鹿らしい生活スタイルを築けないかとまだ考えている。


可能性を見つける事は私にとって得意な事なのだけれども、その私がこれ程までに考えても答えが出ないのは、ただそれが難解であるからだけでは無く、そもそもの可能性すら存在していないからなのかも知れない。

ある一瞬、瞬間的に可能性を生み出す事が逆に自分の感覚を麻痺させているようにさえ思う。


自分で風を起こしほんの一時でも風に乗る事が出来るようになってからは怯える事は無くなったが、今度はそれが時間を浪費する事に繋がっていないかと新しい不安も生まれてきた。


我々はもうそんなに若くは無い。

次のステップに向かわねばならない。


この国にいると生死の問題がリアルさを失ってしまうけれども、本来生きるか死ぬかなんてものは極めてリアルな事例だと思う。

幸せになるかならないかと同じくらいに。


真剣になるんだ。

環境の変化に伴い多くのけじめを付けていく。

自己のキャパを越えて、詰め込まぬように。

そしてまた溢れてしまう事を快くも思う。


すっきりさせる時が来た。


ただそうだからそうするのである。

他に理由もない。


多くの事象に感謝する。

もう半年以上も出会ってはいなかった売れまくりの風。

今はもう伸びないけれど、それでもただただ懐かしかった。

そして、兵隊はその風に乗って続々と帰還を続ける。

そしてこう言う。

「まだまだやれる。」と。


段階的とは言え、大軍をごく短期間に一斉に前線より引き上げるのは極めて厄介である。

その為、私はこれを別れの風と捉え、僅かな精兵を繰り出すに留める。

最後にまた風に出会えて良かった。


今が一番穏やかである。

自己表現の熱い衝動は、自分の心を公的にデモンストレーション出来るまで安定して発達した。

さぁ、「古い池」に回帰しよう。



4が3になり2となって、残す所1となった。

3度も撤退戦を繰り返し、その度に良い仕組みとなったのは矛盾しているかも知れない。

最早業務上の目標は無く、リベンジを図る為の材料にも乏しい。

強いて言うならば、「友達以上恋人未満のお客さん」をもう少し作りたいと思う事であろうか。

強固な関係というものはそれ自体で心地良いものだ。

また、1人残らず帰還させるというのはとても遣り甲斐があって充実感のあるシゴトでもある。

初めから最後まで負けなかったが、勝ちもしなかった。

勝ち負けなど全く意識していなかったらしい。

見えない所に電話線が引きたかったのだ。

それが私がどんな状況でもやろうとする事なのだろう。

あと300人。

その頃が丁度時期だ。

備える準備は終わり、ただ、眺めるのみである。

かなり長い間人が集まらなかった。

それは何年もの間だったろう。

細木数子の言う「大殺界」は先月終わったらしい。

そしてそんなものがあるというのは、それが終わってから知った。

彼女という人間も話す事も全く信じてはいないが、星回りというのはあるのかも知れない。

我々にとって最も厄介な問題が近いうちに終結するのに合わせているかの如く、人の流れが変わってきた。

そしてそれに伴って周りの環境も変化していく。

存在するものが変わらなくても、周囲の流れが変わると、それはまた別の意味になる。

あるラインを超えると皿回しと同じように、あまり手を加えなくてもその勢いは止まらない。

今、変わり続ける流れを興味深く眺めている。


そしてそれは恐らく私にとって良い事であろう。

強く感じる。




何が良くて何が悪いかなんてものは、選択する時点では解るはずも無い。

最も高度な生き方は人生に身を委ねる事であろう。

そしてそれは成されるがままとは対極にあるはずである。