食通の間で今一番の話題のレストランが6月中旬に西麻布交差点近くにオープンしたばかりのアルギュロス(Argyros)。
ミシュラン掲載店を含む多数の飲食店をプロデュースする塩谷茂樹氏と、フランスの星付きレストランなどで修業を積み、帰国後はサンパウ東京店のエグゼクティブシェフなどを歴任した岡崎陽介シェフによる「東京最幸の食体験」をコンセプトにしたジャンルを超えたコンテンポラリーキュイジーヌフレンチ。
グルメな友人たちが早々に足を運び絶賛していたので、早速行ってきました。
六本木駅からタクシーで向かい、かなり早く着いてしまったのですが、なんとすでにお店の前で塩谷氏が待っていらっしゃり感激。
照明を落としたシックな店内はカウンター8席のみ。これぞ隠れ家的レストラン。塩谷氏、岡崎氏のほかに和食のシェフとジョエルロブションで10年の経験を積んだパティシエールの4人体制。8人に対して4名とは贅沢ですよね。(しかもこの日は2組だったのでひとりにつきひとりみたいなw)
店名の「アルギュロス」はギリシア語で「銀」を意味し、「慢心せずいつも金メダルを追い求める店にしたい」との想いが込められていて、カウンターはなんと本物の銀製!
ショープレートの色もシルバーで統一。
おしぼり置きと店名入りカトラリーレストがセットになった台は特注、とこだわりが詰まっています。
Les collections de saison
お料理はおまかせコース1種類のみ(36300円)、18時一斉スタートの1回制です。
ドリンクはアルコールペアリングでお願いしました。
まずはボランジェからスタート。

今夜の始まりの1品〈ガザミ〉

ガザミ(ワタリガニ)のコンソメは旨味しっかりで優しい味わい。後半は塩漬けの内子で味変するという、最初からなんとも贅沢なスタート。内子だけ味見してみたけど、これだけでもお酒が飲めます


次の食材、千葉県いすみ市大原漁港から届いた450g級の天然黒鮑を見せてくれました。食材は実際に足を運び、信頼のおける全国の生産者から毎日届く最高の食材を使用しているそう。


冷たいクロケット〈大原産天然黒鮑 黄ワイン〉
ヴァンジョーヌで蒸した黒鮑を肝と和え、上からパン粉と蕎麦の実のローストをふりかけクロケット風に仕立てます。ソースは酢橘のエスプーマとサフランソースの2種類。

鮑がとても柔らかく極上の美味しさ。濃厚な肝和えにパン粉や蕎麦の実の食感がいいアクセント
ソースは蒸し暑い夜だったので、さっぱりした酢橘のエスプーマの方が好みでした。

みむろ杉 木桶菩提酛2022
ヴァンジョーヌで蒸しているのでヴァンジョーヌが出てくるのかな?と思ったら(←素人考え)、冷酒が登場。肝和えと日本酒はやはり合いますね。
天城黒豚の旨煮
〈金子畜産天城黒豚、南国フルーツ、タイバジル〉

Lyra Gewurztraminer 2022 Nals Margreid
中華やエスニックにゲヴェルツトラミネールは合いますね。
フラワーボックスのように敷き詰められた華やかなハーブやお花は広島梶谷農園から仕入れたもの。

15種類の草花を1つづつきれいに盛り付けていきます。私は苦手なのでパクチーの花は除いてもらいました。白くてかわいかったけど、食べた友人曰く小さいけどパクチーの風味は強めだったそう


スッポンとハーブ〈長崎のスッポン、広島梶谷農園のサラダ〉
下に隠れているスッポンの煮凝りをドレッシング代わりにたっぷりのハーブやエディブルフラワーをいただく意外性とオリジナリティが溢れる1品。食べるごとに口に入る組み合わせが違うので一口ごとに味わいが違うのが楽しく、コリンキーのコリっとした食感がとてもいいアクセントに。見た目は華やか、味わいはとても繊細でとても気に入ったお料理。

Vecchio Samperi Perpetuo Marco De Bartoli
マルサラと同じブドウ品種グリッロを使用しソレラ方式で酸化的熟成をした極辛口のワイン。苦みがハーブとリンクするのでとこちらを選んだそう。複雑なアロマで美味。
自家製ライ麦パン

湯種製法で3日かけて作ったパンは皮はカリッと、中はもっちり食感。発酵バターにジャージークリームを混ぜたバターも美味。パン好きとしてはガンガン食べたいけど、お料理が食べられなくなりそうなのでぐっと我慢。

西麻布の吉川晃司(と呼ばれるw)は和食のシェフ。

極上シマアジ
〈五島列島は梨鮮魚店からシマアジ、千葉不動丸の蛤〉
目の前で蜆、蛤、小魚から取った出汁をかけて


ほぼレアなシマアジは藁焼きの香りがふわり。処理をしっかりした蛤は雑味がなくクリアな旨味が濃厚で、今まで食べた中で最高の美味しさ。ブルターニュのアーティチョークのフリットも美味。奥深い絶品スープはパンで最後まできれいにいただきました。

Soalheiro Granit
アルバリーニョのミネラル感、潮ぽさが蛤とリンク。
とても大きな雲丹が登場し、テーブルが沸きます。

ガスパチョ〈西瓜、トマト、ゆきやぎ、純菜〉

茹で時間わずか18秒の日本一細いそうめん、西瓜とトマトのガスパチョに濃厚な紫雲丹、さっぱりした穂紫蘇とぷるっとした食感が楽しい純菜が加わり、涼やかで爽やかな1品。こちらはすっきりなジャスミン茶とライチのノンアルカクテルを合わせて。

時不知〈小西鮮魚店より日高産時不知、福島小椋さんの椎茸〉
福島の菌床椎茸のピュレ、野菜のブイヨンとレモンの爽やかなソース、ディルオイルでいただく時不知はミキュイに仕上げられふわふわ。ミキュイ好きなんです~


Meursault Vieilles Vignes 2019 Domaine Sylvain Dussort
大好きなムルソーが出てきて嬉しい。
京都辻農園の白子筍
ちょうど先日テレビで見たばかりでした!


いぶさな牛炭火焼
〈宮崎より和牛の中の和牛、京都辻農園の白子筍〉
いぶさな牛は純血種3つのうちの1つ。ソース、和歌山のぶどう山椒、五島列島のひとしお、マダガスカルの黒胡椒とともに。

炭火の香りがよく、完璧な火入れのお肉はしっとりふわふわ、赤身らしい旨味が濃厚。特にぶどう山椒をつけていただくのがこの好みでした。つけあわせの白子筍も柔らかく甘味があり美味しかった。

もう1つのつけあわせ

新たまねぎのピュレの上にはトリュフ。

そのまま食べたり、お肉と一緒に食べたり。

Reserve de la Comtesse 2014
お肉が終わり、デザートかなと思っていると目の前でなにやら4つが火にかけられ。。。

ケランチム風ご飯
コース外の1品・韓国風TKGが登場!
コース外の1品・韓国風TKGが登場!

ブランド卵のトップランを使用した熱々のふわふわの卵の下にはヤングコーンとご飯。ベースはスッポン出汁で、自家製ハリッサも入っています。フレンチの最後にアジア系の味はなんとなくほっと落ち着きますね。しかし、バーガー、そうめん、ケランチムと炭水化物が多くて、かなり苦しい。

大石早生のシャーベット
生のフルーツよりも美味しく!を目指しているというだけあって、実と皮の美味しさが凝縮されたような濃厚な風味とほどよい酸味が激旨。これ、毎日食べたい!

目の前で仕上げていくデザート。繊細です。

旬の素材で作る菓子
〈宮崎マンゴー、フィナンシェ、紅茶〉


濃厚な宮崎マンゴーの旨味とジャージークリームで作ったパンナコッタ。一口でも大満足な美味しさ(もっとあったらもっと嬉しいけど
)


フィナンシェにアールグレーのムース、キャラメリゼしたマンゴー、ホワイトチョコ、フランボワーズのソース、フェンネル。メレンゲがいいアクセントになり、複雑な味わい、食感、香りが楽しめます。コースのお料理の余韻を壊さないクオリティの高いデザートで、最後まで大満足。

デザートを食べ終えると、なぜかティッシュボックスが目の前に置かれました。え?!

ひとくち小菓子
〈4つのお楽しみ〉
グリオットチェリーのムース、カヌレ・ド・ボルドー、パッションフルーツのマカロン、抹茶のガナッシュ

広島梶谷農園のフレッシュハーブをその場でブレンド。尖ったものがなく、まろやかで柔らかい風味でとても美味しい。これなら毎日飲みたいな。

とろりとしたチェリームース、爽やかなパッションフルーツのマカロン、口に入れた途端ぷちっと弾ける抹茶のガナッシュ、

そして焼きたての温かい外側のガリっとした食感がとてもいいカヌレで、小菓子も質が高い!

お土産に金子畜産伝城黒豚を使ったロースハムと野菜のピクルスをいただきました。お土産があるって嬉しいですね。

全国の最高の厳選食材を使い、様々なジャンルのエッセンスを織り込みながら、根底に和も感じる繊細で洗練されたオリジナリティの高いフレンチで、最幸の食体験でした

間延びせず2時間で終わるよう心掛けているそうで、食べ終えるとちょうど20時。この時間なら余裕で2軒目にも行けますね(腹パンだけど
)

この日のラインナップ。

アルギュロス
港区西麻布1-12-6 ダイアンクレストビル1F
03-6459-2820