1.段差を少なくする歩き方をする
人が大勢入っている山域や、荒れているところでは、木や石の階段があったり、岩や木の根でごつごつになったりして、一歩一歩の高さが「えいやっ」とばかりに力を入れないと上がっていけないところがあります。
「えいやっ」は駄目です。
基本的には、1段上の高さに上がるには、概ね20cm程度になるような足の置き場を探して、ちょこまかと歩きます。
でないと、足の筋肉(特に大腿四頭筋)あたりが段々プルプルしてきて、最後には足が上がらなくなったりします。
ただし、やっかいなのは、登山道保護・高山植物などの植生保護のために階段を作っている場所。
むやみに山道以外のところに脚を置けません。そこで、トレッキングポール(ダブルストック)の出番です。こういう場所では、落差を埋められないので、足だけに頼らず、腕の力で押し上げると良い。
あと、私自身は、丹沢の罰ゲームのような木の階段(塔の岳の大倉尾根、花立手前の階段)とかでは、縦杭と横板に片足や両足を置きながら登ることも多いです。ただし、バランスが崩れるようならばやめた方が良いし、縦杭使うのはむしろ、下記2のフラットフッティングのためだったりします。
2.フラットフッティングを心掛ける
非常にシンプル。かかとから着地したり(蹴りだした脚)、つま先だけで踏ん張る(土踏まずから前のみ)ようなことをしない、こと。
これは、登りでは比較的簡単です。
が、下りで非常に難しくなります。
意識してつま先を先に出して、前に体重をかけるようにしないと、斜面に対してフラットな足運びになりません。これは結構、怖いです。
スキー・スノーボードをやる人は、斜面に対して身体を垂直方向に立てようとすると、斜度がきつくなるほど、ほぼ崖に突っ込んでいくような感覚になることを体験していると思います。40°とかの斜面はスキーではほぼ崖に見えるはずです。
何で怖いかというと、前にのめる姿勢になると、次第にスピードがついていくし、そこを抑え込もうとすると筋力が必要になるからです。
急斜面を1時間も下っていると足がプルプルしてくるのが分かります。
よって、ここでもポールの出番。また、筋肉が硬直しきる前に立ち休みを入れるべき。
下りでフラットな足運びをしないと、踵から踏み込む感じになり、いわゆる「腰が引けている」状態になります。
一歩滑ったら転倒です。
以前雪の丹沢で、もんどりうって後ろに倒れたことがあります。ザックの背面にツェルトをばさっと入れていたのでクッションになり、惨事にはなりませんでした。 が、倒れるときは映画のスローモーションのように青空が見えて、非常に怖かったです。
3.上昇方向に自分がどの位のペースで1時間あたりに高度を稼げるのか把握する
平地では1里4km1時間が相場。
じゃあ、縦方向(登山での登り。上昇方向)に400m上がるとその斜度(角度)は何度か?
底辺=a、高さ=b、としたときの、斜度(角度)=θは、
θ=tan^-1*b/aで、このページで計算すると、、、
http://keisan.casio.jp/exec/system/1161228774
5°ちょっと
(400:4000=1:10 ∴a=10、b=1で、上記ページで計算してみると)
じゃあ、それなりの山で普通の斜面(20°くらい)の400m上昇に対する水平移動方向は何mか?
斜度θ=20、高さb=400、底辺=aは、
a=b/tanθで、このページで計算すると、、、
http://keisan.casio.jp/exec/system/1177477195
1,100m弱。
よって。
概ねの公式として、、、
1)平地で1里1時間で歩ける人が、斜度のある山でも十分な筋力と体力があるという前提ならば
2)アプローチなどの緩い斜度(5°くらい)では、垂直方向400m、水平方向4kmを移動するのに1時間
3)一般の登り山道(斜度20°くらい。不整地)では、垂直方向400m、水平方向1km移動するのに1時間
のペースで歩く、というのが正解。
よく、登山の実力を測ったりするのに、
「登り400mを1時間で、継続的に終日歩けること」
とか、
「登山ガイドブック・登山地図のルート標準タイムで、何時間何分」
と書いているのは、概ねこの計算が前提になっている筈です。自分がいくつか計算した結果では。
「登り400mを1時間で、継続的に終日歩けること」
トンでもない。
これは私的にはかなりの健脚の人のスピードです。
3時間程度までならば、わたくしもこのペースで歩けます。
しかし、5、6時間となってくると概ね垂直方向300m/1時間が関の山です(休憩時間は当然除く)。
よって、3時間程度の山でも、垂直方向300m/時間を目安にしています。
このペースは自分でいろいろなコースを歩いて、後から2.5万分の一地図で振り返って、累積踏破標高差や、水平方向移動距離などを、把握しないと、何時まで経ってもビギナーを脱出できません。
これが分かると、計画時の地図読みで「どこまででどのくらいの時間が掛かる」などが見えてくるのでペース配分ができてバテないのです。
このペースを把握するには、、、
1.登り始めたかな?程度の傾斜(5°)では、歩くスピードを控えめにして、垂直方向移動に意識を向ける
2.普通の登りになったら(20°)、平地の1/4のスピードに歩くスピードを落とす
3.それ以上の登りや、その中間の登りの場合は、普段のスピードの1/2にしたり、1/6にしてみたりいろいろ試す
ことで自分のペースとリズムをつかむ必要があります。
ところがビギナーにとってこれが至難の業で、斜度変化に合わせて歩くスピードを変えている人は、ほとんど見かけません。
これができればもうベテランの域です。
よって、
「登りかな?と思ったら、普段の2/3位で歩いてみる」
「それでも、息がはずみ始めたら、さらに2/3にしてみる」
などで、「息のはずまないスピードで歩くこと」で試していくのが良いです。
経験を積むとそのうち自分のペースが分かってきます。
4.山の歩き方を身に付ける (二本重心で歩く : ナンバ歩きする)
猟師や山屋さん、山の中で動き回る人は、歩き方をみれば素人かベテランか一発で分かると言います。
わたくしが思うに、フラットフッティングとかだけじゃなく、歩き時の体重移動のさせ方と、体捌きに出てくるのだと思います。
素人に毛の生えた程度のワタクシでも、ああこの人は山に慣れてないな、力任せに(若さに任せて)登っているな、と見ていてわかるから。
基本は、2本の線の上を体重移動させる、が重要です。
平地で、かつ西洋伝来の綺麗とされる歩き方や走り方では、一本の線の上を流れるように重心を水平移動させる、のが良しとされていると思います。極端な例がスーパーモデルのファッションショーでの歩き。
山の歩きはこれと異なり、二本の線の上を左右の足で別々に重心を置いて歩いていく。かつ斜度が上がってきたら、ややガニ股気味に歩く。
実はこれ、普通の「右足が前に出たら、左手が前。左足が前に出たら、右手が前」という西洋の行進流の歩きだと非常に歩きにくい。
よって、ナンバ歩きをすることになる。
ただ、一般によく言われている、
「ナンバ歩きとは、右足が前に出たら右手を前に、左足が前に出たら左手を前に、する日本古来の武士の歩き方である」
というのは、全くの誤りなので、信用してはいけません。
やってみると分かるが、こんな不自然な動きで、歩きから走りにつなげるなんて不可能です。
ナンバ歩きには思い入れがあるので、また別の機会に書きます。
続く。。。



