きたやまおさむ・よしもとばなな『幻滅と別れ話だけで終わらないライフストーリーの紡ぎ方』2012 | ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人)  

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 2018年のブログです
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 きたやまおさむさんとよしもとばななさん(なぜか、ひらがなです)の対談である『幻滅と別れ話だけで終わらないライフストーリーの紡ぎ方-並んで海を眺める心でいっしょに考える!』(2012・朝日出版社)を再読しました。
 この本は少し前に読んだつもりだったのですが、もう6年が経っていました。
 去年、ある臨床心理士さんがご自身のブログでこの本をほめておられていて、気になっていたのですが、やっと読めました。
 あらためて読んでみて、やはりいい本です。
 東日本大震災の少し後での対談で、お二人の軽妙なお話の中にも、冷静な分析が混じっていて、勉強にもなります。
 いろいろ考えたことがあったのですが、ひとつは日本人の愛の形について。
 きたやまさんが、小津安二郎監督の映画を例にして、日本人は横に並んでいっしょに同じ方向を見ることが愛の形になると指摘されます。
 西洋の男女が見つめあうのとは違う愛の形があるのでは?と述べられていて、おもしろく感じました。
 そして、ともすると、日本では、つるが美しいままで去っていくのを見送ってしまう悲劇の物語になってしまうので、はかなさで終わらずに、すまなさという罪悪感をきちんと感じることが大切、と述べられ、それを受けてばななさんは、つるにずっと生き残ってもらえるようにすることが重要では?と提案をします。
 日本人の甘えや無責任さを鋭くつき、その打開策を考えるお二人のお話はとても参考になります。
 また、きたやまさんが、村上春樹さん(すみません、読み返してみると、村上龍さん、の間違いだったようです(2020.11記))の、普通というのは普通じゃないところを含んでこそ普通、という発言をひいて、正常は異常を含んで初めて正常、と述べています。
 ともすると、異端や異常を排除しがちな日本人の悪いところを指摘していると思いました。
 他にもいろいろと刺激されたところが多々あり、いい本だと思います。
 なお、著者名が漢字でなく、ひらかなのお二人ですが、ここには深い深いわけがあり、それは本書をじっくりと読んでみてください。それもがひとつの日本人論にもなっています。     (2018 記)

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 2020年11月の追記です

 きたやまさんが指摘する、村上龍さんの「普通」は普通じゃないものを含んでいる、という指摘は鋭いと思います。

 じーじは、ただの「普通」もそれなりにすごい、と考えていますが、もっと考えてみようと思います。

 蛇足ですが、じーじの公園カウンセリングは横並びでお話を聴くことが多く、これについても考えてみたいと思いました。      (2020. 11 記)

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 2023年12月の追記です

 日本人は横に並んでいっしょに同じ方向を見ることが愛の形になる、という指摘はすごいですね。

 じーじのカウンセリングは「愛」なのかもしれません(???)。        (2023. 12 記)