2019年6月のブログです
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村上春樹さんの 『ダンス・ダンス・ダンス』(上・下)(1991・講談社文庫)を再読しました。
なんとなく、あらすじの一部をぼんやりと覚えているような気がしていたので、再読がしばらくぶりになってしまいましたが、細部はほとんど忘れていたので、例によって(?)、またまたとても新鮮な気分で読んでしまいました。
さきほど、読み終えたばかり、この感情をどう表現したらいいのか、戸惑います。
やはり、すごい小説です。
今まで思っていた以上にすごいです。
読むほどに、生きる経験を積んで読むほどに、うなずけることと不思議さの両方が、哀しみや微笑みや笑いととともに増えていきそうな小説です。
そう、この小説の中で、読者は人生を生き、哀しみ、苦しみ、喜び、そして、死を眺めるのだと思います。
生きることのしんどさ、辛さ、苦しさが描かれます。
そんな中での小さな喜び、楽しさ、スリルが描かれます。
読みながら強く感じるのは、生きることは哀しいですし、少しだけ楽しいこと。
そんなことを感じさせてくれる小説ではないでしょうか。
一方、偽りの幸せを生きる危険や生きたまま死んでいるかのような虚飾の生き方の危なさも描かれます。
真に生きるとはどういうことなのか、子どもからおとなまで、区別なく、村上さんは真摯に描きます。
若者もおとなも深く考えさせられる、いい小説だと思います。 (2019.6 記)