北方謙三『檻』1987・集英社文庫-男にとって大切なものを問うてくる哀しみにみちた小説 | ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人)  

ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人)  

こころと暮らしの困りごと・悩みごと相談で、じーじ臨床心理士が公園カウンセリングや訪問カウンセリングなどを新潟市と北海道東川町(夏期)でやっています。
お問い合わせ、ご予約は、メール yuwa0421family@gmail.com までご連絡ください。

 2021年6月のブログです

       *

 北方謙三さんの『檻』(1987・集英社文庫)を久しぶりに読みました。

 先日、北方さんの『煤煙』を読んでしまい、恐れていたとおりに(?)、北方ワールドにはまってしまいました。

 もっとも、『檻』は北方さんの小説の中でじーじが一番好きな作品。

 忘れん坊のじーじにはめずらしく、まだあらすじをぼんやりと覚えていたので、後に取っておいたのですが、今回、読んでしまいました。

 いい小説です。ラスト、不覚にも久しぶりに泣いてしまいました。

 あらすじは当然書きませんが、感想を書くのもなかなか難しい小説です。

 男の生きかた、男の友情、度胸、暴力、仕事、愛情、などなど。いろんなテーマが内包されています。

 それらが北方さん特有のスピード感のある、かつ、奥深さを伴った文章で表現されます。

 男なら憧れるような登場人物が何人か出てきます。

 アウトロー、刑事の一人も含めて、アウトローの世界です。

 いろんな意味での暴力を否定しませんので、男女差別ではありませんが、女性には少し理解しにくい世界かもしれません。

 言ってみれば、オスの世界。優しい、平和主義の女性は眉をひそめるかもしれません。

 しかし、男の生きざまというやつは、本能に支えられている部分もあるので、きれいごとではすまないのも事実でしょう。

 勁さがあっての優しさなのかもしれません。

 と、まあ、いろんなことを考えさせられる小説です。

 しかし、文句なしにいい小説です。幸せ!  (2021.6 記)