2019年のブログです
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大平健さんの『診療室にきた赤ずきん-物語療法の世界』(1994・早川書房)を再読しました。
この本も久しぶり、本棚の隅に隠れていたのを見つけてしまいました。
何種類かの付箋とアンダーラインがあって、少しだけ内容にも記憶がありましたが、今回もなぜか(?)新鮮な気持ちで読めました。
今回、印象に残ったことを一つ、二つ。
一つめは、ねむり姫の童話。
不登校になった真面目な女の子に、大平さんさんはねむり姫の童話をお話します。
いろいろあって、女の子はしばらく休学し、その後、登校を再開します。
大平さんは、親にできることの限界を指摘し、子どもは親から自立する時、外からやってくる他人の助けが必要になることを説明します。
二つめは、三年ねたろうの童話。
ひきこもりになってしまった青年に、大平さんは三年ねたろうの童話をお話します。
人が新しい人生を生きるためには、時に内省の時期が必要と説明します。
こんな調子で、いろいろな童話がお話しされます。
加えて、大切だと思われたことは、患者さんが安心できる物語を提示することの大切さ。
適切な物語を、少しのユーモアを交えて提示できる時に、患者さんは物語を納得して、新しい生きる力を獲得できるようです。
そして、安心できる物語、それは患者さんだけでなく、周囲の者や治療者までにも力を与えてくれるようです。 (2019.5 記)