福島の原発事故による帰還困難地域を自分の眼で見て考えたこと-じーじの2016東北の旅 | ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人)  

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 2016年5月のブログです

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 5月の連休、少し考えるところがあって、東北3県の沿岸部を車で旅してきました。

 まずは新潟から国道49号で福島のいわきに、そこから国道6号で北上しました。

 有名なJビレッジを過ぎてしばらくすると、帰還困難地域の表示。大熊町から双葉町にかけてのおおよそ30キロ弱ほどの地域がそうでした。

 テレビの報道でだいたいのことはわかったつもりになっていましたが、現地を自分の眼で見ると、その悲惨さは想像を絶していました。 

 国道の両側の商業地域や住宅地域はすべての建物が封鎖をされ、入り口はフェンスで閉鎖されています。もちろん無人で、犬や猫の姿も見当たりません。以前、ここに住んでいた人たちや仕事をしていた人たちの無念さを考えました。 

 また、国道の交差道路には、白い放射能の防護服を着た警備員が通行止めの警戒をしています。

 そんな中で盗難防止のためか、福島県警のパトカーが頻繁に行き来をしています。

 まるで映画に出てくるゴーストタウンを見ているようでしたが、これが「フクシマ」の現実なのでしょう。もっとも、私は国道6号の沿線しか見ていませんので、国道6号の西側を中心に大きく広がっている帰還困難地域では、もっともっと大変な状況が広がっているのではないかと想像をします。

 「フクシマ」で、自分の眼で現実を見ることは、こんなにもこころを揺さぶり、考えさせられるものなのか、と改めて再認識をさせられました。

 その後、さらに岩手県北部まで北上をして、道中の各地で津波の被害地を見ました。どこの湾も例外なく大きな被害を受け、復興工事の最中でした。生活をしている人の姿はまだ少なかったのですが、人々が働いている状況は「フクシマ」より安心できるものがありました。

 賛否両論のある巨大な防潮堤も見ました。安全のためには必要かという思いと、風景を圧倒し、威圧感さえ感じさせるほどのものが本当に必要なのかという思いとで、こころが揺れ動きました。中央や土建屋さんの考えだけでなく、一番に必要としている現地の人たちとの丁寧な話し合いを大切にしていただきたいな、と思いました。

 じーじが家裁の調査官の仕事をしていた時に、先輩から、できるだけ家庭訪問をして、現場の雰囲気を感じることが大切だ、と教えられ、実践をしてきました。たしか、精神科医の中井久夫さんも同じようなことを書いておられましたが、本当にそうだな、とつくづく感じます。

 今回の旅で、テレビの映像などでは納得をせずに、それをとっかかりにして、できるだけ自分で現地に行き、現場の雰囲気を感じることが、自分の考えを深め、こころに響くものを大切にすることだと感じましたし、本当に重要なんだな、とあらためて深く思いました。

 心情的にはつらかったけれども、いろいろな意味で有意義な旅でした。    (2016.5 記)

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 2017年4月の追記です

 村上春樹さんも2015年の秋に行かれたらしいです。

 今回の新作『騎士団長殺し』に東北沿岸の風景描写が出てきます。    (2017.4 記)