小此木啓吾『対象喪失-悲しむということ』1979・中公新書-悲しみをこころから悲しむこと | ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人)  

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 2015年のブログです

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 小此木啓吾さんの『対象喪失-悲しむということ』(1979・中公新書)を久しぶりに読みました。

 たぶん10年ぶりくらいだと思うのですが…。

 なかなか勉強になりました。

 最近,「うらみ」やその解消などについて考えていて,ふと「対象喪失」や「喪」の作業との関係に思い当たって読んでみたのですが,当たり!でした。

 「対象」を喪失するのは人生では当然のことですが,その時に「断念」や「諦め」,「喪」の作業が十分でないと辛いことになりそうです。

 逆説的ですが,「対象喪失」を時間をかけて十分に「悲しむ」ことが大切になります。

 きちんと悲しめないと,うらんだり,すねたり,ねたんだりすることになるようです。

 また,今回,小此木さんが,対象喪失とウィニコットの移行対象との関連を指摘していることに今さらながら初めて気づきました。

 言われてみればもっともなのですが,さらに勉強が必要だと思いました。

 頑張りたいと思います。   (2015.6 記)

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 2022年6月の追記です

 移行対象というのは、ご存じのかたもいらっしゃると思いますが、幼児がいつも大切にしている古い毛布やぬいぐるみのことで、これは心理学的には母親がわりの存在です。

 幼児はさまざまな対象喪失の時に、移行対象の助けを得て、対象喪失の苦痛を乗り越える、と小此木さんは述べています。   (2022.6 記)