村上春樹 『騎士団長殺し』(第1部・第2部)2017・新潮社-その1・哀しみとユーモアと | ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人)  

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 2017年春のブログです

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 村上春樹さんの 『騎士団長殺し』(第1部・第2部)(2017・新潮社)を読みました。
 これからも読後感や印象がどんどん変化すると予想するのですが、第1報をとりあえず書いてみます。
 まずは、とてもおもしろかったです。
 じーじのこころの準備不足のせいか、エンジンのかかるのが少し遅かったのですが、途中から物語に引き込まれて、3日間で読んでしまいました(もったいない!)。
 テーマは重層的で深いです。
 あまり詳しくは書きませんが、善と悪、戦争、人殺し、死者と対象喪失、こころから哀しむこと、信ずること、その他もろもろ。
 偶然でしょうが、対象喪失とこころから哀しむことのテーマが出てきました(と、いっても、じーじがそう感じているだけで、普遍的なものとはいえないのかもしれませんが…、最近、そのようなことを考えているじーじにとっては、意味のある偶然です)。
 まだ読んでないかたも多いと思いますので、あらすじもあえて書きません(もっとも、村上さんの小説の場合、あらすじよりは、何を感じるか、のほうが大切な気がしますが…)。
 印象としては、ねじまき鳥と海辺のカフカの延長線上にあるような感じで、深く、重い内容ですが、カフカに出てくるホシノくんのユーモアのようなものにところどころ包まれているような印象を受けます。
 深く、重い物語を少しのユーモアが救ってくれるかのようです。
 われわれの人生は死や哀しみを避けられないものですが、しかし、ユーモアや信ずるということによってなんとか生き残っていけるのかもしれません。
 さらに、読みこんでいきたいと思います。    (2017.3 記)

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 2023年6月の追記です

 哀しみや別れや死は人生において避けられないですが、それを受け容れるためには、少しのゆとりやユーモアなどが大切なのでしょうね。

 そうすることで、逃げることなく、人生のわからないことにも耐えて、生きていけるのかもしれません。

 そして、それがこころの成熟ということなのかもしれませんね。    (2023.6 記)