ニナ・コルタート(舘直彦監訳)『精神療法家として生き残ること』2007・岩崎学術出版社 | ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人)  

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 たぶん2015年ころのブログです
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 イギリスの精神療法家ニナ・コルタートさんの『精神療法家として生き残ること-精神分析的精神療法の実践』(2007・岩崎学術出版社)を再読しました。
 2010年ころに初めて読んで、今回が2回目。

 いい本なのに、しばらく間が空いてしまいました。
 精神療法家が生き残ること、は最近のじーじの勉強のテーマの一つですが、コルタートさんのこの本がきっかけとなっています。
 生き残ることの大切さは、小児科医で精神分析家だったウィニコットさんが、赤ちゃんに乱暴をされても報復をしないで世話をするお母さんの姿を述べたものですが、その際、ほどよい母親、が重要と説かれています。
 お母さんといえども、完璧な人間はいないわけで、ほどよいお母さん、で十分であり、むしろ、そのことが、赤ちゃんの万能感を壊して、母子関係、二者関係に導くというものです。
 ここで、決して完ぺきではないお母さんは、赤ちゃんから攻撃をされますが、その際に、報復をせずに、生き残ることが大切で、生き残ることで、赤ちゃんがのちに罪悪感を育てることができることになります。
 こういった一連の母子関係が、治療関係でも起こることをウィニコットさんやそれ以降の精神分析家が指摘し、コルタートさんもこの線に沿って、ご自身のケースを丁寧に検討しながら論述をしています。
 また、今回、気づいたのは、フロイトさんと宗教の関係についての指摘で、フロイトさんの宗教、なかんづく、キリスト教への理解の不十分さを指摘し、精神分析がきちんとした宗教とは対立をしないのではないかと述べていて、なかなか刺激的です。
 今後もさらに深く読み込んで、思索と実践を深めていきたいと思いました。      (2015?記)

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 2020年12月の追記です

 攻撃をされても、報復をしないで耐えて生き残ることは親子関係だけでなく、心理療法においても重要なことですが、しかし、なかなか難しいことでもあります。

 じーじなどは未熟なので、すぐ顔に出てしまって、反省をすることが多いです。

 心理療法の大家のみなさんは、そんな時でも、その時のクライエントさんの心情を想像されたり、心的現実を理解をされたりして、生き残るようです。

 じーじはまだまだ修行不足、もっともっと勉強を続けなければなりません。      (2020. 12 記)