沢木耕太郎『深夜特急3-インド・ネパール』1994・新潮文庫-ひとり旅を読む | ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人)  

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 2018年のブログです
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 沢木耕太郎さんの『深夜特急3-インド・ネパール』(1994・新潮文庫)を再読しました。
 先日、ロンドンに着いた第6巻を読んだ後、次はどこに行こうか(?)どっちを読もうか、と迷いましたが、結局、第3巻の本書を読むことにしました。
 沢木さんのインドの旅は、忘れっぽいじーじでも、なんか悲惨な印象が薄っすらと残っていて、やや敬遠していたのですが、ネパールの旅に興味があって読んでしまいました。
 読んでみると、やっぱりインドの旅はかなり悲惨で、しかし、それを冷静に描写する沢木さんのすごさを感じました。
 インドの悲惨さの中で、唯一、希望が感じられたのが、アシュラムという孤児院の存在。
 日本からボランティアで来ていた大学生らとのインドの子どもたち相手の生活は、その地の自然の美しさとともに印象深いものでした。
 希望を失い、無感動になっている子どもたちが、だんだんと子どもらしくなる姿は感動的です。
 特に、小さな女の子が、小さな髪飾りを見て、生き生きとして感情を取り戻していくさまは素晴らしいものがありました。
 おとなが逆に子どもに、大切なものを教えられるところがすごいですし、それを文章にできる沢木さんの感受性がすばらしいと思いました。
 一方、ネパールは予想どおり、日本に似て、インドに比べると温和な土地のようですが、あまり大きなできごとはなく、通過します。
 そして、再度のインド、やはり強烈です。
 しかし、病気で倒れ、宿がなく、やむなく安宿の女性用の部屋で寝ていた時のできごとは美しいです。
 沢木さんを心配したフランス女性が静かに眠るために向こうのベッドで洋服を脱ぐ場面は、映画を観るように美しい描写で、じーじでもその想像の美しさに息をのんでしまいました。
 旅はやはりハプニングがあるから面白いですよね(もっとも、じーじのひとり旅では、財布を落とすような事件はあっても、美しい女性との思い出などはまったく起こりませんが…)。
 また、旅に出たくなりました。
 その前に、第2巻を読まねばなりません。
 そして、行方不明の第1巻を探さねばなりません。
 年を取っても、結構忙しいじーじの毎日です。      (2018.11 記)