梅棹忠夫『実戦・世界言語紀行』1992・岩波新書-言葉を通して世界を見る | ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人)  

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 2019年のブログです

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 先日、梅棹さんの『モゴール族探検記』を読んで面白かったので、さらに本棚で梅棹さんの本を探してみたところ、『実戦・世界言語紀行』(1992・岩波新書)が見つかりました(梅棹さんの名著『知的生産の技術』も学生時代に読んで、どこかにあるはずなのですが、例によって(?)迷子になっていて、現在、捜索中です)。
 この本はまったく記憶になく(梅棹さん、ごめんなさい)、たまたま幸運にも見つけられたのですが、当然、中身も記憶がなくなっていました。
 しかし、今回、読んでみると、これがすごく面白い!
 梅棹さんが民族学者として、世界各地の民族をフィールドワークした時に、その民族の言葉を覚えた体験とフィールドワークでその言葉を使った体験などが、とても興味深く述べられています。
 そのフィールドワークで身に付けた言葉は、まだ学生時代の朝鮮語から始まって、チベット語、モンゴル語、ペルシャ語、スワヒリ語、スペイン語、フランス語、などなど、数十種類にのぼるほどのものすごい数になります。
 そして、フィールドワークの対象がめずらしい民族になると、習得する言葉もすごくめずらしい言葉になり、例えば、モゴール族のモゴール語やミクロネシアの各島々の言葉、アフリカの各部族の言葉、などなど、大変な数です。
 さらに、梅棹さんは世界共通語のエスペラントもしゃべれるということで、もうすごい!としか言いようがありません。
 もっとも、これだけの言葉をしゃべれるにはこつがあって、梅棹さんのモットーは日常会話ができる程度でよいとの割り切りがあります。
 あくまでも民族学のフィードワークに必要なレベルを目指して学習し、場合によっては1か月で習得ができるといいます。
 いくら京大出の秀才とはいえ、すばらしい能力です。
 語学もまったくだめなじーじにはうらやましい限りで、今ごろになってフロイトさんをドイツ語で読んでみたいと思っても、あとの祭りです(若い時には、語学の重要性はわからずに、面倒くさいなとばかり思いがちですが、やはり若いうちに少し頑張っておいたほうがいいかもしれません)。
 年寄りにも、若い人にも、興味をかき立てるいい本だと思います。      (2019.1 記)