沢木耕太郎『246』2014・新潮文庫-2歳の娘さんとおとなへのお話たち | ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人)  

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 沢木耕太郎さんの『246』(2014・新潮文庫)を再読しました。
 以前読んだ時に、いい本だな、と思った記憶があったのですが、今回、読んでみると、すごく面白くて、そして、いい本でした。
 すごく面白い理由の一つは、沢木さんが当時2歳の娘さんが寝る前にしてあげるお話のせい。
 読んでいて、とてもほのぼのします。
 ここでは沢木さんは童話作家(?)。
 ノンフィクション作家としてより才能があるかもしれません(冗談です。沢木さん、ごめんなさい)。
 本書は、1986年1月から9月までの沢木さんの日記風エッセイ。
 1986年というのは、沢木さんの『深夜特急』が出た年で、そのことがまず書かれています。
 ちなみに、246、とは国道246号線のことで、当時、沢木さんの仕事場があった場所だそうです。
 沢木さんが、自宅から仕事場に行こうとすると、娘さんが、いかないで、と言って、沢木さんが仕事を休んでしまうシーンもあり、微笑ましいです。
 とっても面白いお話、興味深いお話、真面目に考えさせられるお話と、結構厚めの文庫本は中身が充実していますが、じーじが個人的に面白かったのは、みつばち農家を取材したお話。
 福音館書店の『たくさんのふしぎ』という本に『ハチヤさんの旅』(のちに1987年5月号として掲載)というお話を書く仕事の取材で、みつばち農家に同行するのですが、ある時、小さな女の子がいる農家さんのご希望で沢木さんの2歳の娘さんも一緒に行くというできごとがあり、案の定、とんでもないドタバタ劇になってしまいます。
 しかし、それもある程度想定をしての父子での取材旅(?)は、とっても楽しいお話でした。
 そして、そこで取材がかち合ったテレビ局クルーの過剰演出をさらりと批判する沢木さんもなかなか素敵です。
 いろんなことを考えさせられ、また、楽しくなれる、いい本です。      (2018. 12 記)