グッゲンビュール・クレイグ(山中康裕監訳)『老愚者考-現代の神話についての考察』2007・新曜社 | ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人)  

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 2019年のブログです

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 本棚を眺めていたら、「老」とか「愚」とかいうじーじにぴったりの文字(?)が目に飛び込んできて、思わず手に取ってしまいました。

 よく見ると、じーじがユング派の中で一番好きなA・グッゲンビュール・クレイグさん。

  『心理療法の光と影』や『結婚の深層』などという名著があります。

 そして、訳者があの山中康裕さん。

 これは読まずにはすませられません。

 久しぶりに再読をしました。

 付箋やアンダーラインで賑やかですが、例によって、あまり記憶がありません。

 新鮮な気持ちで読みました。

 副題にあるように、現代社会に見られるさまざまな神話について検討しています。

 平等神話や進歩神話、教育神話などなど、いくつかの神話を丁寧に検討し、その意味と功罪を論じます。

 どれもが、ある時期のスローガンとしては大切な概念なのですが、今の世の中に見られるようにそれらが一面的になってしまうと硬直化してしまい、弊害が大きくなってしまいます。

 グッゲンビュール・クレイグさんは神話の一面化、硬直化の弊害を警告し、柔軟で矛盾に富んだ豊かな存在であることを提唱します。

 一方で、科学より神話の中から生きるために大切なものが出てくる、とも述べられ、神話の大切さを説かれます。

 そして、人間が最後に直面する老いの問題を論じます。

 グッゲンビュール・クレイグさんは、ユング派がいう老賢者の神話がやはり世俗化してしまい、それより老愚者のほうがいいのではないか、と主張されます。

 何もせずに、いるだけで意味のある老愚者、の勧めです。

 なかなか意味の深いお話で、参考になります。

 じーじも老愚者をめざして、さらに勉強をしていこうと思いました。               (2019. 10 記)

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