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私はスーパーマン?いや、スパイダーマン?
頭の中で、序曲は進み、トウナイトのメロディーへと流れました。
♪ ツナイト、ツナイト、タララータ、ターラーラー
ああ。英語の歌詞は意味がよくわからないが、流れている。
そして課長は飛んでいる。
夜の摩天楼の谷間を、課長は飛んでいる。誰かが課長の体を捧げるようにしてささえて、猛烈な勢いで、空を飛んでいるのです!
誰?
「・・・課長、おひさしぶりね」
耳元を切り裂く強い風の流れのかなたで、聞き取りにくい声がしました。
「あら、課長じゃなかったかしら」
いや、私は課長というものです。すると、
「重かぞ課長、こら、なにどんくさ、しよっと!だらしなかぞ、しっかりせんか!」
そのように、何者かにどやされ、しかし、課長は猛スピードで空を飛んだのです。
オフィスの輝くビルの渓谷を、飛んでゆくのです。
眼前に、渓谷に立ちふさがる、四角い窓がいっぱいの、垂直なビルの壁。
あ、ぶつかる、ぶつかる!
度肝をぬかれたら、また大きくカーブを描いて、斜め上へと旋回。
「はははは、この、お馬鹿!」
けたたましい声、勝ち誇って、愉快そうに笑ったのですう!
飛び続けると、大きな窓が見え、驚いて目を大きく見開き、口もあんぐり開けた人々が、その窓の中からこちらを見ていたのです。
その窓は、課長がダイブした窓で、驚いてこちらを見ているのは、課長を突き落とした悪党どもです!
「あら、いたわよ、イケメン刑事様が!あそこで、びっくりしていらっしゃるわ。もう、あたしったら、はしたないかしら、課長!」
課長をつかんだ手に、ぎゅうと力がこめられました。
痛い!ばか力だ。
空を飛ぶ勢いだけでものすごいのに、握る力も怪力だ。
「どうなの、課長!」
「どうなの、って・・・あなた、もしや・・・」
「もしや?」
「アカネくん!」
はははは、と、また笑い声。
「そのアカネくんとは、課長にとっての、一体何なの?」
「いつもお世話になっている、私の課の、課員・・・」
「あら、そうなの。いつもお世話だなんて、心にもない。何かお世話したかい、そのアカネが!」
・・・・つづく
追伸
みなさま!!娘の夏休みの宿題で忙殺され、投稿が途絶えがち遅れがちです。すみません・・・
やっと先週、英語が終わり、本日、娘とともに教会ミサにいってまいりました。今週は数学です。再来週は京都旅行なので、なんとしても、今週、がんばらねば!!