一昨年、他界した「中島らも」の「寝ずの番」を含む短編集です。
「寝ずの番」
ある、落語家の師匠が、もうもってあと3日くらいだと医者にいわれた所から話は始まる。
師匠の一番弟子が、
「師匠、なにか心残りはありませんか?したかった事とかなんでもいって下さい」
と尋ねると、師匠が消え入りそうな声で
「そそがみたい」と言う。
「そそ」とは、京都の方の言葉で女性のアソコのことを言うのだが、それを聞いた一門の弟子達は、「どうするかと」頭を付き合わせて相談し始める。
「そそが見たいと言うてはるが、看護婦さんに頼むわけにもいかへんし、そこらを歩いてる子にも頼むわけにいかへん」
そこで白羽の矢がったったのが、2番弟子の嫁。兄弟子に
「お前早う家帰って女房を説得してこい」といわれ、2番弟子は家に帰って嫁を説得にかかる
「なんでやの、奥さんの見せたらええやないの」
「ええか?師匠かて、死ぬ間際に若くて美人な女のそそが見たいに決まってるやろ?」
そそのかされた嫁は、病室で師匠のベットの上にまたがり、師匠の顔の上でスカートをめくる。
兄弟子が、師匠の耳元で「どうでした師匠、そそをお見せしましたが」
師匠は弱々しく首を振って、
「そそやない、そとが見たいと言うたんや」
その3分後に師匠は息をひきとった。
師匠のご遺体を家に運び込み、みんなで線香やらの「寝ずの番」をする。酒が入って奥さんの「無礼講」の声にみんなが、師匠との思い出話に花を咲かせるのだが、「中島らも」節全快で話は進む。
この「寝ずの番」映画にもなっています。師匠に津川雅彦、2番弟子に中井貴一、そそを見せた嫁に木村佳乃。まだ、映画は見た事ありませんが、予告編を見るだけでも十分笑えます。
むかし、美輪さんが「生前、人を笑わせていた人は死んだ時に泣かれる。人を泣かせていた人は死んだ時に笑われる」と言っておられました。
「中島らも」が私にとってそうでしたね。
亡くなったと聞いた時ホントに悲しかったのですが、死因を聞いて「まぁ、らもさんらしい最後だったな・・・」とちょっと笑いました。不謹慎ですが・・・。
この本を読む前の注意:絶対、電車の中や、公共の場で読まないでください。笑いをこらえられなくて周りから白い目で見られます・・・。そして、下ネタ満載ですので、苦手な方はご注意ください。

中島 らも
寝ずの番