加賀恭一郎は日本橋署の刑事である。
着任したての彼が追うのは、日本橋の片隅で起きた一つの殺人事件。
人形町に散りばめられた事件の鍵を一つづつ拾い上げ、真実へと結び付けていく加賀。
彼に出会い、救われた人形町の人々はこう思うのだそうだ。
どうしてこんなところで燻っているのだろう、と。
『新参者』
東野圭吾さんの『新参者』を読みました。
「加賀恭一郎シリーズ」の八作目にあたる本作の舞台は、江戸の情緒残る東京日本橋・人形町。
一冊通じて加賀が追う事件は、同じく日本橋・小伝馬町で起きた殺人事件です。
しかし、そこに張り巡らされたのは、大切な人を守るための謎たち。
加賀はその謎を解き明かすため、毎日のように人形町へと繰り出します。
―事件によって心が傷付けられた人がいるのなら、その人だって被害者だ
そういう被害者を救う手だてを探しだすのも刑事の役目です―
各章で加賀が追うものは、一件本筋の事件とは関係ない小さな謎のように思えます。
しかし、それを一つづつ解決し、事件で傷付いた人々を救いだす中で
連鎖するように着実に真犯人に迫っていきます。
小説の構成が上手いのか、各章が同時進行で進んでいるところも面白いです。
数年前にテレビドラマ化もされました。
実際の刑事の仕事に近いものが描けていると評判にもなりました。
ぼくもドラマを観て、人形町に興味を持ったたちです。
東京に出掛ける際には毎回必ず人形町へ寄り、人形焼を買って頬張る。
今では人形焼はぼくの好物です。
ただ、ぼくの歩く人形町はドラマのそれとは違い賑わいはなく、
それが毎回の如く雨だからなのか否かは未だに謎のままです。