赤鮫が行く!!今回のインタビューは『いぬ』で衝撃的なデビューをしました“柏木ハルコ”先生です!! 『いぬ』以外にも映画化された『ブラブラバンバン』や、闘牛を扱った『も~れつバンビ』などの作品を描かれている"柏木ハルコ”先生が3月31日発売の週刊ビッグコミックスピリッツ18号(小学館)にて新連載健康で文化的な最低限度の生活』をスタートしました! そんな“柏木ハルコ”先生に噛みつきます!! 今週のビッグコミックスピリッツはももいろクローバーZと一緒に6番目のメンバーのように新作の主役の“義経えみる”ちゃんが表紙に登場しています!


今日はインタビュー受けて頂きましてありがとうございます。 さっそくなのですが、3月31日発売のビッグコミックスピリッツでスタートした新連載『健康で文化的な最低限度の生活』についてお話しをお聞きしたいのですが。
柏木ハルコ先生(以下 柏木)――簡単に説明するとなんですけど、新卒で福祉事務所の生活課に配属された“義経えみる”と言う女の子が主人公で、生活保護に関する難題を前に奮闘する姿を描く漫画なんです。

凄くデリケートな題材を選ばれたんですね。 取材なども大変じゃなかったですか?
柏木――そうなんです、取材も生活保護を受けてる方と公務員側の方からお話を聞くんですけど、取材前では予想してなかったいろんなケースなどがあったりして勉強になってます。実は2年ぐらい前から取材をしていまして、いろんな人に会ってお話を聞けば聞くほど簡単に描けることではないなとわかってきて…。

受ける側と出す側でのギャップとかもありそうですもんね。
柏木――はい、はじめて知ることばかりで、いろんな事情があるし、凄い苦労して生きてる方がいらっしゃるんだなと思いました。

僕も福祉系の仕事に携わっているので今回の作品は凄く興味深い題材です。
柏木――私もいろいろ勉強するようになって、いろんな方向から社会を見るようになりましたね、それまで意識してなかったところにいたので。

1話を読ませて頂いたんですが、難しい題材にも関わらず柏木先生の絵のタッチだからだと思うんですがすんなり入っていけました。 それと現場の空気感が凄くリアルで。 僕は介護職なのでちょっと違うんですが、生活調査や役所の人に問い合わせたりする場に何度か立ち会ったりしたことがあるんですが、あのやるせないというか、なんとも言えない感じがものすごく伝わってくるんですよ。 本当に面白いです。

柏木――ありがとうございます。シリアスな内容をあまり重くなりすぎないように
、そのへんの加減を取りながら描いていきたいと思っています。

本当はもっと聞きたいのですが、まだ始まったばかりなので、これから楽しみにしてます。 ここからは先生についてお聞きしたいのですが…、すいません、いきなり聞きにくい質問なんですけど、何かのインタビューで先生はイライラしたら物を投げると読んだんですけど。 しかも火のついたストーブを投げたことがあるとか(笑)
柏木――ああ~、このぐらいの距離ですよ(1mぐらい)(笑) 今は全然ないですけど、週刊連載で忙しかったときは物をよく壊しましたね、椅子を折ったり、筆を洗う墨の混じった水の瓶を編集さんが出て行った後、壁に向かって「うぇ~っ」って投げつけたこともあります。

距離は関係無いかと思うんですが(笑)
柏木――ちなみに今の担当さんには暴力は振るってません一度も(笑)  暴力というか自分の持ち物を壊すだけなんで。

ストレスが溜まると爆発するみたいな感じですか?
柏木――ん~、そうですね。 やっぱりすっきりするんですよね。 かなり前なんですけど、漫画を描く机の向こう側に編集さんが座っていて、その机をキレて「ガ~ン」と倒したときは凄いビックリしてました。 すっごい重い机だったんで(笑)

あとが大変だったんじゃないですか?
柏木――そうなんですよ、筆洗う瓶やインクがあるからそれをぶちまけてしまいまして、絨毯に染みをいっぱい作っちゃって。 でも、それするときは締め切り直前とかで時間が無くてどうにもならないうときにするんで、それでちょっと冷静になったりするんです。 今はそこまで締切ギリギリではないので、そういうことは無くなりました(笑)

すいません、それが1番気になってまして。 ここからは普通の質問に行かせてもらいます(笑) 先生はいつごろから漫画を描き始めました?
柏木――中高校生のときはブラスバンド部に入っていたので、たま~に絵を描く程度だったんですけど、大学ではアニメーションサークルに入ってて、アニメって大勢で作るんですけど、大勢だと人間関係もいろいろ大変で、そういうのもあったので一人で好きなもの描きたいと思って20歳ぐらいから本格的に描きだしました。

漫画家になるためにどんなことをしましたか?
柏木――まずは持ち込みました。 私はアシスタント経験無いので、せっせせっせ描いて持ち込みしました。

デビューのいきさつを教えて下さい。
柏木――あの当時は新人増刊の本とかが発行されてて、それに載った作品を人気投票して1位になるとヤングサンデー本誌で掲載できるんですけど、デビューはその新人増刊の本で、そのときは2位だったので本誌デビューできなかったんです。そのあとに『いぬ』の原形みたいなネームを描いて編集さんに見てもらったら「これは良いんじゃないかな」と言われてヤングサンデーでの連載が決まりました。

『いぬ』
のコミックスのあとがきに、本当はエッチな漫画じゃ無いのを描きたかったと描いてたんですけど。
柏木――そうなんですよ。 あの当時って“遊人”さんと“山口かつみ”さんがちょっとエッチ系の漫画連載してまして、どちらかの連載が終わったとこだったので担当さんに「エロ系があまりないから描いたら載るかもよ」って言われたので、じゃあ描いてみるかと思って、“山本直樹”さんが好きだったんでそんな感じにしようとも思ったんですけど…

山本直樹先生って透明感のある漫画ですよね。
柏木――そうなんです。 でも、私には上手く描けなくて、それで開き直って『いぬ』を描いてみたら本誌デビューに繋がりました。 それまでは自分の作風を模索してたんですけど、『いぬ』を描いてその後の人生の方向性が決まった感じです。

『いぬ』を読んだ時に凄い衝撃を受けたんですけど、『いぬ』のアイデアはどっから出てきたんですか?
柏木――『いぬ』の主人公の女の子は恋愛感情と性欲を分けて考えていましたよね。 そういう女の子は沢山いるだろうと思って描いてたんです。 恋愛とセックスってセットに考えるじゃないですか、そうじゃないのを描きたかったんです。 男女に限らず若いときっていろいろ経験して遊びたいし恋愛感情もあるのに気持ちと体が統合されてなかったりすると思うんです。

でも男の考え方ってだいたいは中島君ですよね。(エッチしたらその子は彼女で自分の物と思っちゃう)
柏木――凄い真面目な男友達とかも「この女の子(いぬの主役の高木さん)はおかしい! こんなことは女の子は思わないはずだ!」みたいなことを言われて、男女観の意識のギャップがはっきり出てきたりしました(笑)

この年になってわかったんですけど、実際に高木さんの感情はリアルだったんだなと。
柏木――エロ漫画描くと売れると思ったから描いたんでしょ?っていう人とかもいたんですけど、自分はそういうつもりはなくて、自分の中から出てきたテーマで真面目に描いてました。

彼氏と付き合ってるのに性欲に負けて中島君とやっちゃったりしたりしてましたけど、高木さんの心の揺れ動く描写がリアルでした。
柏木――凄く悩みながら描いてはいまして、そのとき付き合ってた彼氏も最初は「おもしろい、おもしろい」って言ってくれてたんですが、中島君を犬扱いになってからは「冷静に読めないから感想は無理…」とか言われて「だよね~」って(笑)

その彼氏さんのお気持ち凄く分かります(笑) ちょっと話は変わりますが、今までで担当さんに言われてショックな言葉とかありましたか?
柏木――ショックとは違うかもしれないんですが、私、言われたら苦手なことがあって、「あなたはこういうのを描いてればいいんだ」とか自分の型にはめてくる人が苦手なんです。 たとえば農業の漫画をやりたいんですと言った時に「農業の楽しさとかも伝えていければ良いですね」とか話が広がる人はいいんですけど、「あなたはそんなの描けないでしょ」とか、自由な発想を阻害すると言うんですかね、そういう枠とか型にはめてこようとする発言が苦手です。

言われて嬉しかったことはありますか?
柏木――やっぱり「面白い」と言われるのに尽きますよね。 それ以外にも発想が上手く噛み合って打ち合わせとかで異常にノリノリになるときがあって「これヤバいんじゃ無い、おもしろすぎるよ」「どうしよう時代変えちゃうかもよ」みたいなことをお互い言いあって波長が合ったときは気持が上がりますね。

わかります、そう言うときってテンション上がりますし、楽しいですよね!先生は色んなところに取材をよく行かれてるみたいなんですが、闘牛の漫画の『も~れつバンビ』の取材も大変だったと聞いたのですがどんな風に大変だったんですか?
柏木――1番は取材対象の闘牛関係の人と知り合いになるまでが大変だったんです。 闘牛って沖縄や石垣島、宇和島、新潟など何カ所かで行われていて、それぞれの魅力、それぞれの面白さがあるんですけど、いろんな文献を調べたら徳之島の闘牛が圧倒的に熱くて、漫画にしたら一番面白いなと思ったんですよ。 それで誰も知り合いもいないのにとりあえず行ったんですけど、なかなか渡りが付けられなくて。

よそ者が入って行きづらいんですね。
柏木――何の準備もなくいきなり行った上に、私自身結構人見知りするので(笑) それで郷土史家の人のところに訪ねて行ったら、ちょうど明日の闘牛大会の前祝いがあるというので連れて行ってもらって、そこで一気に大勢の人と知り合うことが出来ました。 さらに地元の新聞記者さんを紹介していただいて、その方が凄い親切にしてくれて、たくさんの人と牛のところへ案内してもらいました。 
『鬼虫』のときは薩摩硫黄島の山に登って行く途中でちっちゃい噴火があって灰がざんざん降ってくる中を登って体力的にはキツかったり。 取材はいろいろ大変なんですが、した方が漫画にリアリティーが出るんで、全部取材して良かったな~と思います。

『ブラブラバンバン』は実際に先生がブラスバンド部でしたし、取材で体験した実体験が漫画にかなり活かされてるんですね。 あっ、『ブラブラバンバン』の芹生百合子もそうなんですが、先生の描く女性は丸みがあって僕は大好きなんです、なにか描くこだわりはあるんですか?
柏木――ありがとうございます、雑誌のグラビアとかよく見るんですけど、“篠崎愛”ちゃんとか見て可愛いな~とか、割とそういう影響受けてると思います。

先生自身もポヨンとしてる女の子が好きなんですね。
柏木――“篠崎愛”ちゃんや“井上和香”ちゃんみたいなポヨンとしたのが好きで、カッコイイ系の女性も好きなんですけど、自分が描くとなんとなくポヨンとしちゃいますね(笑)

カッコイイと言えば『失恋日記』のレスリングの女の子の話も好きなんです。
柏木――はいはいはい、あれなんですが、冒頭でお風呂の中でしゃべってるじゃないですか。 実は私が健康センターでお風呂に入ってる時に実際に聞いた話なんです。 体育会系の女の子2人が「いま何食べたい?」「牛丼っすかね」「違うな、コーラだ」(笑)それを聞いて可愛いんですけどおかしくておかしくて、絶対いつか描く!!と思って、体育会系の女の子って大好きなんですよ。 そこに自分の妄想をプラスして、ひたむきで間違った方向に凄い努力している感じとか、本人は必死なんですけど恋愛も不器用だったり、カワイイ感じを出しました。

お話を考えてて、ネームとかで詰まってしまったときの打開策はどうされてますか?
柏木――今でしたら人や編集さんに相談するんですけど、週刊のときは歩きながら考えてました。 今だから言えるんですけど、夜中1時から3時ぐらいまでずーと歩いてましたね、近所の人には変な人だと思われてたでしょうね(笑) ポケットにメモ入れてて思いついたら描いての繰り返しでしたね。

今までで違う道を選択した方が良かったかなと思ったことはありますか?
柏木――漫画家を選んだ道は間違ってたのかなと思ってた時期もあって、30代後半ぐらいまで漫画で犠牲にしたものが沢山あって、非常に後悔もしました。 それまでは漫画さえ成功すればいいって思ってたんだと思います。 最近やっと色んなことに気付けたので、これからは周囲の人も大事にしていきたいと思ってます。 でも女の人って30代後半、あっ、女の人に限んないかな、こんな生き方で良かったのかなって時が来ますよね。

凄く分かります、僕もそれでかなり悩んだこともあるので。でもそういうことすら気付けない人も沢山いると思いますが、先生は気付けたので良かったんじゃないでしょうか。 偉そうにすいません。 最後に先生から漫画家になりたい人にアドバイスをお願いします。
柏木――適性は人れぞれにあると思うので、自分の内面を見つめて掘り下げた方が良い人と、いろんな人に意見聞いた方が良い人と色いろいるので、自分の持ってるものを活かせる方向を見つけるのが大事だと思います。 あとは沢山編集さんに会うことですね、相性が良い人、悪い人もあると思うので、なるべく多くの編集さんと会って自分を引き出してくれたり、話の波長の合う編集さんと出会うことだと思いますよ!

今日は新連載も始まったばかりでお忙しいのに時間を取って頂きましてありがとうございました。
柏木――いえいえ、こちらこそありがとうございました。 もう、物は投げたりしないのでそのことは忘れて下さいね(笑) ちょっとタイトルは長いですが「健康で文化的な最低限度の生活」よろしくお願いします。



柏木ハルコ先生は、ご自身の漫画に出てくるキャラのように柔らかい感じの凄く可愛い先生でした。 健康で文化的な最低限度の生活』の第2話は4月7日発売の週刊ビッグコミックスピリッツにてお楽しみに!!


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