『護られなかった者たちへ』 | From Rabbit House

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あの東北を襲った震災から今年で12年。

 

10年という節目の年に、震災を扱った映画が公開された。

 

佐藤健 主演の『護られなかった者たちへ』 (以下、敬称略)

 

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仙台を舞台に、とある変死体が発見される。

 

それは部屋の中にロープで体が固定され動けないようになっており、死因は「餓死」

 

しかも変死体は一体ではなく、別の場所でも見つかるという“連続殺人事件”であった。

 

 

「誰が殺したのか?」「なぜ彼らは、このような方法で殺されなければならなかったのか?」というミステリーの要素もありながら

 

東日本大震災及び、それに まつわる貧困生活保護などがテーマとなった社会派のヒューマンドラマ(映画)となっている。

 

 

 

家族を失い避難所で孤立していた3人が、肩を寄せ合うようになる。

 

その3人とは、不愛想な青年 利根泰久(佐藤健)・まだ小学生のカンちゃん(石井心咲・後に清原果耶※原作の小説では女性ではなく男性)・そして世話好きな老女 遠島けい(倍賞美津子)

 

いつしか、そこに生まれる本当の親子のような・・。

 

まだ避難所で知り合って間もない頃の3人

野良犬のように心を開いていない利根

彼が握り箸なのは、幼少の頃から

施設育ちだったことを物語っている

 

 

震災から数年が経ち、刑務所を出所した利根(佐藤健)は働こうとするものの一旦断られる。

 

罪状は「放火」だった。

 

 

カンちゃん(清原果耶)は成人して福祉保健センターで生活保護の担当をしている。

 

「連続餓死殺人事件」の被害者は、保険福祉センターの三雲(永山瑛太)

 

福祉保健事務所の城之内(緒方直人)であったことから、容疑者が「生活保護」絡みだと絞られる。

 

 

そして、この事件を追う刑事 笘篠(阿部寛)はカンちゃん(清原果耶)と接触をもち

 

かつて避難所で交流のあった利根(佐藤健)保険事務所への放火事件を起こしていたことを知り

 

連続殺人事件の容疑者として指名手配をすることに。

 

果たして、利根(佐藤健)が真犯人なのか?

 

・・・というのがミステリー部分。

 

 

一方で、生活保護の実態も明らかになっていく。

 

(働けないではなく働けるにもかかわらず)働かない威圧感のある声の大きな人間(千原セイジ)には生活保護を受給させる。

 

しかし生活保護を受けてはいるけれど、子どもの よりよい教育のために隠れてパートをしていた

 

母子家庭の母親(内田慈)には給料分の保護費を返還せよという(そういう制度だから仕方がないけれど)

 

 

未曽有の大震災によって行政は財政的に ひっ迫し、できる限り生活保護を受給させないようにと画策されていた。

 

遠島けい(倍賞美津子)もまた、その被害を受けたひとりであった・・・(真相は少し複雑なのだが)

 

 

 

困っている人が声を挙げられない、そんな状況が現在でもある。

 

むしろ、正直で慎ましい人こそ「生活保護を受ける」こと自体をだと感じている。

 

「疎遠な家族に迷惑をかけたくない」「もっと頑張れるんじゃないか?」と頑張り続けて、こと切れる。

 

先日 映画『PLAN75』の感想を書いたが、その主人公 角谷ミチ(倍賞千恵子)も同じく清貧な暮らしぶりであった。

 

 

感染病や戦争などによって世界中が貧困である昨今。

 

世の中は いつだって不条理で、尚且つ こういう状況なので難しくはあるのかもしれないけれども

 

本当に福祉の必要な人たち必要なものが届けられる そんな社会であって欲しいと切に願っている。

 

 

 

最後に・・倍賞美津子さんは さすがですが、連続殺人の三人目の被害者にも なりえた若手政治家(元福祉保健事務所 職員)

 

上崎吉岡秀隆さんも 素晴らしいお芝居をされています(というか、良い役!)

 

清原果耶ちゃんも若手女優のホープだね。

 

 

阿部寛×佐藤健の海でのラストシーンも 胸が熱くなりました。

 

若干、とってつけたような感じでは あったけれど。

 

利根(佐藤健)が助けようとした子が苫篠(阿部寛)の子どもであったのか?は、実のところは分からないけれども

 

少なくとも苫篠は救われたんじゃないかな(人によっては逆恨みされるパターンもあるだろうけど)

 

 

 

この映画は恐らく登場人物 ほぼ全員が震災の、そして国の犠牲者です。

 

皆 疲弊していた。

 

誰が悪いわけでもない。

 

それでも生きていかなきゃいけない!!

 

本当に悲しい物語でした・・。

 

 

予告見たら、また泣けてきた

 

 

瑛太の役が「殺されて当然だ!」ぐらいに すごく憎く思えるんだけど、職務を全うしているだけで それも仕方のないことなんだよね。

 

瑛太は こういう、ちょっと嫌な感じの役 めっちゃハマるよねw (演技が上手いってこと)

 

 

今やっているドラマ『星降る夜に』の伴(ムロツヨシ)も、完全に逆恨みだって本人も解っていても

 

どうしようもない、持って行き場のない感情があるっていうのは よく解る。

 

人を憎む、恨むことでしか平常心を保てない。もちろん犯罪はダメだけど。

 

そんなに強い人間ばかりじゃないから。

 

 

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