半分人間で半分魚の映画2本のレビュー。
(長くなったので2回に分けます)
まずは『ゆれる人魚』
こちらはポーランドの映画で、2人の人魚姉妹の物語。
現代版『人魚姫』のダークファンタジーver.って感じ。
この人魚は美しいというよりも、とてもリアルでヌメヌメしていて実に魚臭そうw
(実際、ナイトクラブのオーナー?は「生臭い匂いはどこからするのか?」と店内を嗅ぎまわって2人の人魚にたどり着く)
左:妹ゴールデン
右:姉シルバー
陸に上がった人魚は普通に人間の足が生えていて、水をかけると魚の尾に戻るという仕組み。
ナイトクラブのステージで歌ったり踊ったりして、一夜にして人気者に。
※この映画全体を通して、登場人物が皆踊ったり歌ったり、ミュージカル仕立てで面白い(唐突でビックリしたけど。ダメな人はダメかな?私は好き)
姉のシルバーはバンドメンバーの男ミェテクに恋をする。
妹のゴールデンは人間=餌との認識しかないので、それを冷ややかな目で見ている。
(最初、私は姉妹 逆に認識していた。
名前もゴールデンとシルバーだったら単純に姉=ゴールデンって思ってしまうし、
顔立ちも姉の方が化粧っ気がなく幼く見えるので。
原作も末娘(一番下の妹)が王子に恋したんじゃなかったっけ?)
姉シルバーは「人間になりたい」と病院で手術を受ける。
というのも、恋をした相手と交わりたくても その相手ミェテク本人から
「魚にしか見えない(=だからできない)」と言われてしまったから。
自らの尾を切断し人間の下半身を移植し、人間らしくなった姉シルバー(医者の縫合が雑すぎてウケる)。
杖がないと歩けないし、更には美しい声まで失ってしまったのに、ミェテクは心変わりして別の女性と結婚してしまう。
夜が明けるまでにミェテクを殺せば死ななくて済む。
妹のゴールデンは「殺せ」と願う。
ここの姉シルバーの葛藤が素晴らしい。
自分(相手)の命と恋心との狭間で、まさに ゆれる人魚。
歯はギザギザでミェテクの喉元を噛みちぎるモードなのだけれど、
泣きながら やっぱりそれはできないとミェテクとチークダンス(ゆらゆら揺れる・・ダブルミーニング?)をし続ける。
その顔に朝陽が当たり、そして泡となって消えた・・(この泡も思ってたんと違うw 所々演出がおかしい)。
普通ならば、ここでジ・エンド。
だけれど、そうはいかないのが この映画のいいところ。
妹ゴールデンの出番だ
妹が姉の仇とばかりにミェテクの喉を噛みちぎって殺す。
そして悲しい表情を浮かべながら海の中へと消えていくのだ。
ある意味「あ~良かった、スッキリした」と納得のラストシーンだった。
私はやっぱり女だから女目線で見てしまうけれど、あれじゃシルバーが可哀想すぎる。
だって酷いもの、あの男。
さんざん弄んで、簡単に捨てるなんて
ストーリー自体は凄く単純だけれど(基本、原作の『人魚姫』に準じている)所々謎の演出で、好き嫌いが分かれそうな映画でした。
※この予告には誤りがある
人に恋するのは妹× 姉○
人を食べるのは姉× 妹○