『ギャングース』 | From Rabbit House

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昨日の流れを受けて、映画『ギャングース』(ギャング+マングース(=毒蛇に立ち向かうもの)の造語)です。

 

要は「毒には毒をもって制す」ということ。

 

 

元々は漫画が原作で、フィクションでありながらもルポライターの取材に基づく原案により、

 

ストーリーは別として比較的ノンフィクションに近い作品となっているようです。

 

 

主演は高杉真宙(サイケ)・加藤諒(カズキ)・渡辺大知(タケオ)の三人(原作ではカズキが主役)

 

渡辺大知をはじめ、MIYAVI・金子ノブアキ・般若など多くのミュージシャンが出演している点も音楽ファンにはポイント高いところ(渡辺大知・金子ノブアキは俳優としての顔の方が一般的には有名かな)

 

映画『ギャングース』

MIYAVI・金子ノブアキ クランクアップコメント

 

 

少年院を出ても身分証も作れず、住む所働く場所もない三人組が

 

犯罪組織の(オレオレ詐欺などで得た)収益金のみを狙って盗む“タタキ”という方法で金を得て、その日暮らしの生活をしています。

 

 

この三人は少年院に入ってはいたけれど根っからのワルというわけではなく、

 

親から虐待されたり捨てられたり友人から騙されたりした結果、入らざるをえなかったというような経緯があります。

 

 

もう本当に底辺の底の底のどん底の生活。

 

数百円の牛丼がごちそう(数十万、数百万盗んでも、道具屋(=犯罪者の情報+タタキに必要な道具を用意してくれる。林遣都が演じている)に大幅に搾取されるから)

見ていて辛い。

 

 

けれど特にカズキ(一番、過酷な幼少期を過ごしている)は明るくポジティブなムードメーカーで、タケオちゃんも いつもニコニコしていて あまり悲壮感は感じられません。

 

なぜなら「今までの生活(幼少期・少年院時代)が あまりに辛すぎた」から。

三人でいる今の方が何もなくても幸せだから。

仲間が財産だから。

 

泣ける。

(実際は泣いてませんw そこまで感動的なシーンではなかった。なんかツッコミどころも多く、展開が急すぎて)

 

 

少年院時代の知り合い(半グレ)にバッタリ出会い、ボコボコにされ貯めたお金も全て巻き上げられ、今後上納金まで渡さなければならなくなってしまった三人。

 

「もうこうなったら一か八かヤルしかない・・」ということで最凶半グレ組織「六龍天」(オーナーはMIYAVI演じる安達)の金を叩く計画を立てるのです。

 

わー、怖い。

最近、バッドエンドの映画をよく観るので「主人公だからって死なないなんて限らない」から、ヤバイ結末(拷問されて皆殺し)しか頭に浮かばない。

 

サイケ同様、心の中で「やめよう、それは やめとこう!」って諭したよw

 

以下ネタバレ

 

 

 

 

 

結果は・・・あっさり安達をやっつけて大金を手にし、めでたしめでたし拍手

 

 

・・・ともならず車のトランクが開いて、せっかく奪ったお金が宙にばらまかれ・・というトホホな展開。

 

結局、底辺は底辺のまま抜け出せない・・ということか。

 

 

 

安達も逮捕後にニュースや週刊誌の記事で幼少期に性的虐待を受けていたという事実が発覚。

 

可哀想な生い立ちではあるけれども、だからといって犯罪に手を染めて良いわけではない。

というのは所詮、綺麗事なんでしょうね。

 

 

実際、主人公らみたいに少年院を出ても その生い立ちゆえ、まともに社会生活を送ることができなければ「仕方のないこと」なのかもしれない。

 

もちろん犯罪は100%悪いことだと解っています。

 

 

主人公も犯罪者だけれど、半グレから盗んでいるから義賊なのかも。

 

(詐欺師に詐欺をはたらくクロサギ的な。

原作ではカズキは半グレから盗んだお金を児童養護施設に寄付している。

 

ただ半グレたちが騙し取っているお金も悪徳政治家などからではなく弱者である高齢者等からだからなぁ。

カズキがいくら良いことをしても元をただせば一般人のお金なので、それを横取りしたただの犯罪者でしかない)

 

 

 

普通に家を借りられて住む所があって、毎日普通に会社に行って働いて給料を貰える。

 

我々が当たり前だと思っている、そんな当たり前の生活をしたくてもできない彼らの現状は、なんとかしなければいけない(社会復帰できる環境を整えないといけない)んでしょうね。

 

とは言っても、やっぱり少年院や刑務所などを出たと聞けば、無条件に「怖い、関わりたくない」と思うのも防衛本能だし。

 

こういう問題は根深いものがあります。

 

 

 

ラストシーンは牛丼を食べる三人がいる定食屋の外観をどんどん引いてズームアウトしていく。

 

店の前を多くの人たちが行き交う、そんな映像で終わります。

 

 

三人に寄り添って観ていたのに急に現実に引き戻されるような感じ。

 

我々が日常生活を送っているのと隣り合わせで、境遇のせいで こういうどん底で生きる人たちがいるということ。

 

こういった作品で、このような裏の世界があるということも窺い知ることができました。

 

ただただ悲しい。

 

 

 

親からの虐待など、幼少期の過ごし方でその後の人生がまるで変わってしまう。

 

本当に虐待(=親からの愛情を受けられないこと)は罪です。

 

「負の連鎖」に繋がるから。

 

 

虐待を受けていたって貧困だって犯罪に走らない人がほとんどなのかもしれない。

 

しかし一定数の犯罪者には、こういったバックボーンもあることを忘れてはいけないんだと思いました。

 

だからといって許される行為ではない(堂々巡り・・・)。

う~ん・・モヤモヤするもやもや

 

 

ただ単に楽して遊ぶ金欲しさに犯罪を繰り返している輩は「地獄の底に堕ちればいい」と強く思うけれど、

 

そうじゃない主人公三人みたいな人たち(ただ普通の生活を送りたいと願う人間)に なんとか手を差し伸べることはできないんだろうか?

 

うちだったらカズキやタケオちゃんなんかは雇ってあげたいな(サイケは短気でトラブル起こしそうだから、ちょっと無理かな)

 

 

元犯罪者を受け入れてくれる企業があることも知っているけれど、誰も教えてやらないから主人公らは そんなこと知る由もない・・。

 

(中には悪徳企業もあって、そこで働くとしても結局 暴力を受けたり酷い搾取をされたりするのかもしれないけれど。

犯罪者じゃなくても外国人労働者の劣悪な職場環境(長時間労働・低賃金)なんかも問題になっているし。

外国人労働者じゃなくても、今の日本の社畜は皆一緒かな。「貧しい国ニッポン」だな)

 

世知辛いな。

 

映画『ギャングース』presents

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