プジョーやレーベンブロイなどに使われているライオンのマークが以前から気になっていたので、ちょっと調べてみた。
イングランド、スコットランド、デンマーク、オランダ、ベルギー、ノルウェー、フィンランドなど、ヨーロッパ王家の紋章には百獣の王ライオンが頻出します。
楯の上にいるライオンはたいてい左(デキスター)を向いてそちらへ歩いていますが、正面向きや右側(シニスター)を向いたライオンもいます。また、歩いたり立ったり寝そべったり、冠や剣をつけたりと色々なポーズを取っていますが、これらは紋章学上で決められたパターンに従っているのです。主な呼び名を見ましょう。
・(特定の名称なし)左側(デキスター)を向いた姿
・グァーダント(guardant) 正面を向いた姿
・リグァーダント(reguardant) 右側(シニスター)にふりかえった姿
・スタンタント(stantant) 立ち止まった姿(四足ともに地を踏みしめる)
・パッサント(passant) 歩き姿(左前足を水平やや上に突きだす)
・ランパント(rampant) 左後片足立ち(左後足でふんばり、右後足を前に踏みだし、
左前足は水平に、右前足は上に突きだす)
・セイリャント(salient) 両後足立ち(両後足をそろえ、獲物に飛びかかるように
両前足をのばして突きだす)
・シージャント(sejant) 座った姿(両前足をのばし、腰を地におろす)
・クーシャント(couchant) うずくまった姿(四足と腹を地につける)
これらを組み合わせて、ライオンのポーズを表現します。
たとえば「左へ歩くライオン」はライオン・パッサント(lion passant)です。「正面を向いて左へ歩くライオン」だとライオン・パッサント・グァーダント(lion passant guardant)ですし、「左後片足立ちで右へふりかえるライオン」ならライオン・ランパント・リグァーダント(lion rampant reguardant)と呼びます。
チャージの原則として、頭がデキスター、尾がシニスターを向きますが、例外的にシニスターに頭を向けるライオンも見られます(チェコスロヴァキア)。また、ドイツ系の紋章では、マーシャリングによりA家とB家の紋章を組み合わせるとき、お互いのライオンが向かい合う図形(コンバッタントcombatant)になるように、A家のライオンをシニスター向きに変更する、ということが多かったようです。
なるほど、紋章学的にはそれぞれ意味があるんだね、
ただし、もともと親子でも同一紋章は禁止されていたくらいなので、一定のルールさえ押さえていれば、あとは自由。さらに公共の紋章でさえ、いくつもバージョンがあったりと細部はデザイナーが自由に変えているらしい。
ブランドロゴのイメージとしては、ライオンを犬に変えて、「ドッグ・パッサント」なんていうのも面白そう。