日本学術会議。名前だけは微かに知っていた程度の人です。

 

 

 この学術会議の会員の任命を総理が拒否した事が、中々ホットな話題のようで。

 

 いろんな人が色々な事を言ってるのがニュースの見出しから分かるのですが、自分で調べて考える方が性に合ってるのでそれをしようと思った。

 

 

 問題になってるのはこの2つらしい。

 

1.総理に任命拒否権はあるのか無いのか

  →法解釈・手続きの問題

2.日本学術会議そのものの有効性・妥当性

  →組織そのものの問題

 

 

 一緒くたに捉える節も見受けられるけど、あくまで独立した2つの問題ですね。

 

 2に問題があるからといって1が正当化されるわけでもなければ、1を正当化したからといって2に問題無しとなるわけじゃないから。

 

 そんで、菅さんの任命拒否問題は1に関わる問題なので、2は扱いません。1が決着した後、もしくは並行してやればいいと思う。

 

 というわけで、手続きが正当かを考えてみることにする。

 

 

 

 まずは、日本学術会議とは何なのかを調べる。名前しか知らないのでここから始まる辺りは酷いと我ながら思う。

 

 

 こういう時、必ず原典を当たることにしている。この場合は日本学術会議法。

 

・内閣総理大臣の所轄である

 所管でなく所轄という言葉を選んでるけど、その理由は分からず

 

・経費は国庫負担

 そら総理の所轄なら当然だわな

 

・独立して職務を行う

 この場合内閣総理大臣から独立してという意味か。他に独立する対象がないからね。つまり、組織上は総理にぶらさがっているけど、日本学術会議は独自の動きで職務を遂行せよと言う意味。

 

・政府の諮問機関

 科学に関するあれこれを政府から諮問される。なるほど、総理から独立していなければ諮問の意味が無いからの。

 

・政府に科学に関する方策について勧告できる

 これも独立してるからこそ可能。といっても法的拘束力は無いだろう。

 

 

 条文読んでるだけで色々分かってきて面白い。

 

 

で、

 

・第7条 会員は第十七条の規定による推薦に基づいて、内閣総理大臣が任命する。

 

 これが今回の本丸か。17条はこれ↓。

 

第17条 日本学術会議は、規則で定めるところにより、優れた研究又は業績がある科学者のうちから会員の候補者を選考し、内閣府令で定めるところにより、内閣総理大臣に推薦する ものとする。

 

 内閣府令を見てみたけど、特に重要な事柄は書いてなかった。学術会議の規則は、推薦等に基づいて候補者名簿を作成し、総会の承認を得て内閣総理大臣に推薦するという流れを定めてる。

 

 

 この7条と17条を素直に読むと、

 

・学術会議は実績等に応じて候補者を推薦し、その推薦に基づいて総理が任命する…となる。

 

 総理に拒否権があるとは読めない。が、無いとも言い切れないか。う~ん?

 

 これが「任命できる」なら拒否権も内包しそうだけど、「任命する」だと拒否権が無いと捉えられるように思える。

 

 こう考える理由は、法3条の「独立」という部分も大きい。当たり前だけど、総理が拒否できる=人事を左右できる状態は「独立」してるとは言えないので。

 

 条文を解釈していくと、総理の任命拒否権は法3条の規定によって否定されるとするのが妥当か。

 

 ただ、決定的というわけでもない気がしている。というのは、やはり「推薦に基づいて任命する」という極めてシンプルな書きぶりのせいだ。

 

 

 

 う~ん・・・

 

 

ちょっと切り口を変えないとダメだなこれ。

とりあえず保留。

 

もうちょっと学術会議そのものの役割を見ていく。やはり原典すなわち「日本学術会議憲章」を見てみる。

 

 前文に興味深いことが書いてある。

 

1949 年に創設された当初の日本学術会議では、会員の選出は《立候補・公選制度》によっていた。1984 年の『日本学術会議法』の一部改正は会員の選出制度を学協会による《推薦制度》に改 めて、日本学術会議と学協会との連携関係を組織的に強化した

 

 ふむ。創設当初は科学者・研究者の投票で選ぶ制度だったが、1984年の法改正で総理への推薦制に変わったとのこと。これは要チェック。何がしかの国会審議の記録が残ってるはず。

 

 憲章本文の方は「心得」的な内容だったので、特にここで問題になるようなアレはなかった。むしろ前文の方が今回は重要ですね。

 

 

 次に、日本学術会議規則に目を移す。36条の「日本学術会議協力学術研究団体」がちょっと面白い。wikiや学術会議のHPで詳細を見てみると、日頃ニュースとかで耳にする「〇〇学会」というのは、この条文に基づいて指定を受けた存在とのこと。

 

 学会、学会って漠然と言ってたけど、こういう定義があったのね。これは新発見。ともあれ指定を受ける事で、後援を受けたりできるそうな。

 

 何らかのイベントを主催した経験のある人なら分かると思うけど、著名な存在の後援を受けられるって色々な面で有利なんですよね。広告取るにしろ何にしろ。有名であることにある種のステータスや保険の機能があるからね。

 

 

 とりあえず、次は公選制から推薦制に切り替わった辺りの事を調べんとだ。

 

 

つづく んじゃないかな?