この事を話さない日は無いくらいに問題になっておりますが。

 

 今まではニュースやらを斜め読みする程度だったけど、ここいらで一度真剣に考えてみようと。

 

 

 まず、先ほど改正案が閣議決定されたという報道があったけど、これは閣法を衆参両院に法律案を提出するための手続きであって、改正案を議決したわけじゃない。

 

 …という当たり前の事を枕詞にしたのは、ツイッター見てたら意外と勘違いして捉えてる人が多かったため。こういう時に事実を把握しないままに徒に騒いでも大抵はロクな事にならないので、冷静になりたい。

 

 

 そんで、与野党のインフルエンザ特措法改正に対するスタンスは大別すると4つあるみたい。

 

1.与党と立憲(枝野さん達

 「既存のインフル特措法はあくまで特別措置なので、コロナウイルスにも適用できるよう改正しよう。市民の権利制限?限定的だから大丈夫だよ」

 

2.野党の一部

 「前々から言うようにインフル特措法を適用すればいい。改正?必要無いだろ」

 

3.野党のさらに一部

 「特措法改正して国会の承認を要件化するなど民主的統制を入れろ」

 

4.共産党とか

 「ってゆーか、そもそも特措法自体に反対なんだが」

 

これらがそれぞれ単純に賛否を語れるものではない事が、問題の把握を難しくしている。てゆっか難しい。

 

 

 初めに、特別措置法をコロナに発効させる必要があるのか無いのか?これは「ある」としか言いようが無さそう。現状だと自治体や行政が何かの判断をしようにも法的根拠が存在しない(事になっている)ので、業者に要請するにも何にしても決定がいちいち遅くなる。例えば公共交通機関に運行自粛やらの制限を課そうにも根拠が無いんじゃ協力をお願いする以上の事はできない。法的根拠があれば根拠をもって要請できるし、補償の可能性を考えることだっていずれは出来るだろう。ともかく、根拠が無いのではその辺がどうにもならない。

 

 行政組織内での決裁を取ることにも難儀しそうな気がする。法的根拠が無いということは、全ての判断責任を役人個人が背負うということなので、判断ミスを恐れて留保するケースも続発しそうな。法的根拠を与えないと彼らの行動が不安から鈍化してしまう。鈍化してしまえば、結局割を食うのは市民。

 

従って

 

4.共産党とか

 「ってゆーか、そもそも特措法自体に反対なんだが」

 

これには賛同できない。

 

 

 

 次に、「特別措置法を改正するか否か」。これはどちらが正しいのだろうか? 結論を言えば、改正するしかないと思われ。

 

 理由の一つは、国民が選んだ政権が「このままでは適用できない」と解釈しているから。

 在野世論や野党の主張がどうであろうが、判断する権限を持った彼らがそう判断してる以上、これはもうどうにも動かない。なにせ現政権は選挙によって国民の信任を得た事になっている。

 

 

 

 二つ目の理由は、間違っても現行のインフル特別措置法をそのまま適用させるわけにはいかないから。

 

 とてもたくさん見かけた意見なのだけど、「現行法をコロナに適用しろ」ってのは、よくよく噛み砕いてみると「現行の特措法はコロナを対象に明確には含んでいないけど、インフルエンザ"等"の解釈に盛り込ませることで適用させろ」ってことになる。

 

 インフル特措法は、元々緊急事態宣言の発令を32条で規定しているので、それを踏まえてさらに噛み砕くと、「政権の判断のみに基づいて、緊急事態宣言の発令=市民の権利を制限できる法律を運用しろ」ということになる。

 

 これは絶対に実現させてはいけないモノで、こんな前例を作るってのは今後への悪影響が大きすぎる。法の類推解釈というのはままある事だけど、それを市民の権利を制限可能な法律でやっていいのかという問題ですね。

 

 であるから、

 

2.野党の一部

 「前々から言うようにインフル特措法を適用すればいい。改正?必要無いだろ」

 

これは論外。全ての主張の中で一番やってはいけないモノだと思う。

 

 

 

 

で、この2つの主張が議論に値するモノとして残る。

 

1.与党と立憲(枝野さん達

 「既存のインフル特措法はあくまで特別措置なので、コロナウイルスにも適用できるよう改正しよう。市民の権利制限?限定的だから大丈夫だよ」

 

3.野党のさらに一部

 「特措法改正して国会の承認を要件化するなど民主的統制を入れろ」

 

 

 

 そうなると問題になるのは、どのような改正が必要かだ。個人的にもっともシンパシーを感じてるのは3.の主張で、これを如何に充実させるかが大事なのだと思っている。

 

 例えば国会の議決を要するとか。事前・事後については判断が難しい。なにしろ緊急事態ともなれば、事前承認を取る猶予が無い事も考えられる。法律は未来に渡って運用されるものだから、今だけを見て作るわけにもいかない。いずれにしろ、民主的な統制の必要から考えれば国会の関与は不可欠に思える。

 

 あとは緊急事態宣言の期間と延長手続き、それに宣言の政局利用の防止かな。期間の長さは現行だと2年だけど、これを長過ぎるとする向きもある。

 

 未来の事を考えれば未知のナニカによるパンデミックもあり得るので、ワタシには長すぎるかどうかは判断つかないんだけど、延長手続きと、終息時の手続きについてはきちんと定めるべきと思っている。

 

 政局利用の防止というのは、現行法の対策本部長は内閣総理大臣があたるのだけど、法16条以下の規定では総理に事故があった場合の代理について定めているだけで、その気になれば緊急事態を理由に総理の任期を伸ばす事も不可能ではない。

 

 流石に何の制限も無いと悪用できてしまうので、緊急事態宣言の発令が総辞職や解散を妨げるものではないという規定くらいは必要だと思っている。

 

 

 

 要するに

 

3.野党のさらに一部

 「特措法改正して国会の承認を要件化するなど民主的統制を入れろ」

 

 これが最も妥当で、如何にして改正案にこれを盛り込めるかどうかが焦点なんじゃないかなと。

 

 政権側から改正案審議を言い出したのを、これ幸いと乗っかって必要な改正を飲ませるくらいの事ができる政治家がいればいいのだけど。

 

 

そんなことを考えてみた。