そしてRO界に大鉈が振るわれる。
サーバ統合。それは「天に二日無し」という千古の鉄則を体現するものか。RO界も全体の人口が減少の一途を辿り(当たり前の結果と思うが)、サーバ維持費用やら今後の展望やらを踏まえた結果、統合を余儀なくされたのだろうか。
ワタシが生息していたverdandi鯖はnorn鯖と統合し新たにLif鯖となることになった。確かnornは最も新しく設置された鯖だったと記憶している。
という統合に向けてのアナウンスが公式から出された時に、ワタシは一つの事を理解した。この先ROがどういう道筋を辿るかは分からんけど、真っ先に最過疎鯖になるのは自鯖であると。
verdandi鯖は全体で見ても中程度の人口であったが、norn鯖は文字通りの最過疎だったのだ。普通のバランス感覚で考えるなら、他の大規模鯖と統合して、人口格差を最小限に抑えるべきかと思うのだけど、どういう理由か知らんが中規模+最過疎という組み合わせで決定されたのである。
この辺りの運営の意図は今思い返しても謎だけど、敢えて人口の少ない鯖を作って、混雑の少なさをウリにしようなどと考えていたのかもしれないし、本当に何も考えていなかったのかもしれない。
という次第で、終焉を迎える場合にはその先駆けとなることを約束された鯖での活動と相成ったわけである。
気の早い連中は「もうROは終わりだ」などと喚いていたようだが、ワタシはそこまで近視眼的にもなれないので、早くても5年は先の話だと思っていた。そうなる前にワタシ自身がドロップアウトしたわけだが。
さしあたって、ギルド運営する立場で問題となるのは、たまり場重複問題である。サーバ統合の際に、同じ場所にギルドのたまり場があったりすると、大変面倒な事になりそうである。
非対人勢なら共存も考えられるけど、対人勢だった場合には作戦の漏洩やスパイ疑惑など色々と面倒な事が起こる可能性があったし、非対人勢でもあまりに価値観(主に効率面で)が違い過ぎると摩擦が大きいので、避けられるなら重複は避けた方がいいと考えていた。
サーバ統合を目前に控えたある週末、軽い調査をした上で、ワタシは普段は全く開かないギルド会議を行うことにした。
軽い調査とはNorn鯖にキャラを作ってたまり場を確認したことである。四六時中チェックすることは出来ないけど、調べた限りではたまり場として利用されてる気配は無かった。
・・・と言っても、蓋を開けてみるまで正確なところは分からないので、念のためにギルドとしての方針を決めておくことにしたわけだ。
ワタシは争いごとを徹底的に避けたがるタイプなので、もしたまり場が被っていた場合、相手に譲って自分たちは引っ越す事を主張し、メンバーの了承を得ることができた。
どちらがその場所を使うかで揉めるというのは、単に時間とエネルギーの浪費だと考えていたし、共存できるとしても、かつてあったように、ウチに移籍したいなどと言われると困った事になるので。
そういう備えをしておいてなんだけど、結局のところ、たまり場は被っていなかった。プロンテラでも屈指の利便性を誇る位置にある屋内マップだったので、競争率も激しいだろうと予想していたのだが。
一方で、他の状況を見るとそれなりに摩擦はあったらしい。たまり場被りもあったけど、それ以上に多かったのが名前被りだったり、ボス狩りする人々のアレだったり・・・らしい。
ともあれ、幸運にもサーバ統合において発生しうる諸問題は何一つウチのギルドには起きなかったのだ。Lif鯖スタートしては幸先が良い。
問題が起こらないのであれば、サーバ統合はむしろ望むところである。元norn民もいれば、統合を機に復帰してくる人もいるわけで、そういう人を当て込んで新規にメンバー募集をすることにした。
一つだけ気を付けていたのは、ワタシの方から出身鯖を絶対に尋ねないようにしていたことだ。本人が自分から喋る分には構わないけど、ワタシから尋ねてしまうと、元の所属鯖という謎の垣根を相手が持ってしまう気がしたので。みんな等しくLif鯖民でいいと思っていた。
この頃までは、まだワタシは十分にROを楽しんでいたような気がする。そんなワタシの中の何かを圧し折るように、とあるイベントが実装されるのだった。