話し合いの結果、ワタシはギルドマスターとして引き継ぐことになってしまったが、もちろん簡単に決まったわけではない。
細かい説明は端折るけど、対人戦をやるギルドにおいてマスターのキャラがWIZ系というのは致命的なのである。今は知らんが当時にあっては、チェイサー、チャンピオン辺りの職業がマスターに適していた。・・・と教えてもらっていたワタシは、そのことを理由に最初は拒んだ。
が、ああじゃこうじゃ言いながら紆余曲折・周章狼狽の末にこうなった。
しかし、コレは今振り返っても難問である。
たかがゲームと言ってしまえば、それで終わる問題であるとも言えるが、より問題なのは画面の向こうにいる人々がリアルな人間であるという事実だ。
「もう知~らねー」と言って投げだす、、、というのはワタシの性格上出来そうもない。これがオフラインのゲームならおそらく電源切ってそれっきりだったはずだ。
全然すんなりギルド生活を満喫できないどころか、プレイ開始3か月程でギルマスになってしまったことを考えれば、運が悪いという見方もあろうが、悲しいかなそういう発想があることを理解はできても、ワタシはそれを実感しにくいタチだ。
そんなワタシだったが、出会いの運に恵まれていた。
まず、サブマスターのAさんが引き続き留まって運営の色々をサポートしてくれた。Aさんは責任のようなものを感じていたのだろう。とても真面目な人だったので。
どころか、伝手を辿って新たなメンバー達を連れてきてくれた。支援職をメインにする方々だったが、この事は重要である。
やたらと強いキャラをたくさん持ってる夫婦もいた。ROはゲーム内システムで結婚ができるのだ。旦那の方は無口だったが、ワタシとはウマが合った。後に戦場で敵同士として再会することになるが、今はそのことはいい。嫁の方はものすごく面倒見の良い人だった。
こういう人々の協力のおかげで、どうにかマスター稼業をやりつつ、色々な狩場の事や立ち回り、テクニックなんかを教わっていった。
嫁(ワタシのではないぞ)さんは、生徒のテクニックを見極めるのが大変上手く、ちょっと練習すれば上手い事立ち回れるようになる難易度の狩場を選定してくれた。教師役として稀有な存在なのではなかろうかと思ったりした。この方のおかげでWIZプリペア狩りのイロハを覚えたりもした。
伝手を頼って同盟を組んでGvGに参加したりもした。少しずつROの事が分かっていく時期だった。何より貴重だったのは、ワタシの中に自分のやりたいギルド像が見えてきたことだ。
つまるところ、ROがどういうゲームかを知らねば、理想のギルド像など生まれるはずもない。ワタシの場合は順番が逆になってしまったが、これは仕方ない。
どこのギルドマスターも抱えたであろう、メンバーのログイン率やらメンバー同士の問題やら、そういったお定まりの悩みもあるにはあったが、概ね順調であったと思う。
しかし、やはり人間の集団を運営するというのは一筋縄ではいかない。もうそういうバッドイベントは要らない!というワタシの声とは無関係に不幸な出来事は襲い来るのだ。
Aさんが引退することになった。