承前
マーレの軍事技術が進歩してることを、ウーリは知りようが無い。
そして壁内の誰もが、マーレが100年の沈黙を破って侵攻を開始した理由が「燃料確保」にあるとは想像もしていない。
それでもウーリが、この世界(壁内国家の事と思う)は滅ぶと断言している。彼の主観からこの断言を引き出すには、やはりどうしたって、始祖の巨人の力が既に失われていなければならない。
100年前の移住を成功させ、その後の均衡を保つ原動力になったのが始祖の巨人の力なので、それを失った以上、いずれは巨人に押し切られるのは分かっていたはず。
そして、それを知りうるのは初代王の記憶を継承したものだけ。
だから、初代王の記憶を引き継いだ者は何もしなかったし、語らなかった。いや、何も出来なかった。こう考えれば、レイス家の継承者が何もしてこなかった事も説明はつくと思う。
3 ユミルのルーツ
まぁ、この仮説が正しかった場合(大丈夫、万に一つもあるまい。ワタシの仮説が当ることなど)、あまりにも壁内人類に希望が無さ過ぎるので、これを打開するための方法も考えてみる。
まず、僅かに残された希望が2つある。
1.始祖の巨人の力は現にエレンが宿している
2.まだユミルは生きている
ユミルは普通の巨人としてパラディ島を彷徨っていたらしい。その期間、なんと60年程度。
まず、ユミルはマーレの生まれではないと推測される。ユミル・フリッツの名前を生まれた子につける親はマーレにはいないだろう。現実世界でヒトラーと名付けるようなものだから。
(それでも、この名前を付ける可能性はあるが 後述)
この場合、ユミルは「楽園送り」されたわけではない。壁内で生まれて、何らかの理由で外に追放されたか、或いはマーレでも壁内でもない別の場所から来たのか。
この別の場所というのは、マーレが存在する以上、十分にあり得ること。マーレが燃料を求めて軍事力強化を図るのは、壁内のフリッツ王政以外にも敵国があるからと考えるほうが妥当。
「鰊」を"にしん"と読めた事から、東洋の出身なのかもしれないと思うけど、これは単に紙面の表記上、漢字を使っただけかもしれないので、妄想の域を出ない。
どっちにしても、まだ作中に登場もしてない第三勢力の事を考えても仕方ない。
反証。ユミルはライナー達の故郷に連れて行かれれば、「自分はまず助からない」と考えていた。これは"ユミル・フリッツ"の民族浄化の実態と、それが現在のマーレにどう影響を及ぼしたかを知っているから。壁内で生まれ育ったなら、この知識を得ようが無い以上、少なくとも生まれは壁内ではない。
また、ユミルという名はエルディア復権派の象徴として与えられた可能性もある。表向きには別名を使っていたが、真の名はユミルというのはありそう。彼女が「ユミル」という名を捨てない事に拘りを示す場面もあったし。
大胆に想像すれば、エルディア復権派を援助していたフクロウなる人物の血族かもしれないし、控えめに想像してもダイナ・フリッツの血族という線はあるかも。
そして、もしダイナの血族であったなら、それはもう大変な事である。
ワタシの仮説(笑)によって既に滅ぼされたと思しき正統なるフリッツ王家ではあるが、実は生き残りが存在する事になるので。
ダイナはフリッツ王家の人間で、仮に存命していれば、年のころは40過ぎか(生存はしてないと思う。どころか、ワタシはカルラを食った巨人がダイナという露悪趣味全開の想像までしている)
ユミルは60年間彷徨っており、肉体年齢が止まっていたことを考えると、現在の実年齢は75際程度。これは叔母と姪と言って通用する幅だと思う。
ユミルとダイナが血族だとすると、ユミルにもフリッツ王家の血が流れている事になる。
壁内に逃れたフリッツ王家は断絶し、マーレに残ったものもダイナの家が最後の血筋。
ところが、真の始祖の巨人の力を継承できる最後の器が残っていることに・・・なる、、、かもしれない。
壁内国家の人間はなんとしてもユミルを奪還すべきだと思うぞ。
どんどん妄想が酷いことになってきた。