世界的には感染症の流行が少し治って景気は回復しつつあるということです。おうち時間が減って動画配信サービスのネットフリックスNetFlix、フールーHuluなどは登録者が一時期よりは減っているようです。景気回復すれば物価もデフレからインフレになります。もちろんそれ以外の要素もあり、世界的なインフレでエネルギー、食糧、電子機器など色んな物やサービスの値段も高くなっていて、海外では10%以上値上がりしている国の方が多いようです。日本でも円安などの影響を受けて値上げの秋といわれています。が、日本はもともと国として輸入頼みだったので原油や小麦など輸入の比率が高い重要品目では、物価変動を抑える仕組みがありました。そのため、この既存の仕組みを活用してインフレを抑制できているようです。

 

  無料のDTMソフト/DAW ソフトは品質が上がっている

 

 

そんな中、コンピューターの音楽制作ソフトウェア、 DTM ソフト /DAW ソフトに関してはフリー、つまり無料のものがあるので、DTM 初心者の方にもありがたいですよね。

 

当サイトではメーカーの問い合わせサポートがない無料のDTMソフトは推奨していませんが、そうは言っても「使いこなせるかどうか不安。。。」という方の中には「とりあえず無料で『歌ってみた』を始めたい、最低限のことができればいい」という人も少なくないでしょう。(それでもオーディオインターフェイスとマイク、ケーブルは購入する必要がありますが)

 

 

以前は無料のDTMソフトというとだいぶトラック数や機能に制限があって、デジタルMTR程度のことしかできなかったイメージでしたが、プレソナス(PreSonus)がStudioOne(スタジオ・ワン)を投入してゲームチェンジャーとなり、iPhoneやiPad用で無料の作曲ソフト・DTMソフトが多く出回るようになってきて、状況が変わってきたようです。無料のDTMソフトの機能も大幅に向上して、無料のDTMソフトで制作したものがTikTokやYoutubeで大ヒットする時代になりました。

 

2022年9月末、DTM業界にも新たなニュースが相次いで流れました。無料のプロツールズ、ProTools IntroのリリースとプレソナスStudioOneのバージョンアップです。

 

 

 

無料のプロツールズ ProTools Intro(イントロ) 

 

 

Protools Intro(プロツールズ・イントロ)

(引用元:Avid.com)

 

 

以前は Protools First という名前だった protools の無料版。バージョンアップが面倒だったのか、いつの間にか配信停止されてしまいましたが、 Protools Intro(プロツールズ・イントロ)という名前になってリリースされました。すでにココから無料ダウンロードしてインストール可能です。

 

 

MIDI機能、MIDI音源、サンプルループ集も 

 

 

 

 

オーディオ編集やミキシングはもちろん、MIDI機能もあり、シンプルですが癖がないのでDTM初心者が打ち込みを勉強するのにおすすめです。MIDI音源としてバーチャルインストゥルメントのAIR Expand2(エクスパンド2)が含まれています。このExpand2、2500もの音色を内蔵しています。

 

さらにドラムのリズムパターンなどもオーディオファイルとしてネットで探してウンロードしてくる代わりに使えるAvid Loopmastersサンプルパックも付属しています。

 

iLokが不要になった

以前は純正オーディオインターフェイスが正規ユーザー認証の役割を果たしたこともありましたが、2022年現在、基本的にProToolsのユーザー認証にはiLok(アイロック)という物理的なUSBドングルを購入して、そこに認証情報を入れる必要があります。このiLok、8000円ぐらいしていたので、DAW初心者の方にはDTMを始める際のネックになっていました。

 

有償ProToolsのトライアル版という位置づけ

しかし、ProTools IntroではこのiLokが不要になり、ハードディスク認証となりました。有料ProTools2022.9のトライアル版という扱いになり、トライアル期間終了までは有料ProToolsの機能を丸ごと使うことができます。トライアル期間終了後は、ProToolsIntroの制約が加えられるようになり、

 

 

オーディオ・トラック(ステレオ/モノ)× 8
インストゥルメント・トラック × 8
MIDIトラック × 8
Auxトラック(ルーティング・フォルダと共有)× 4
マスター・トラック × 1
ルーティング・フォルダ(Auxトラックと共有)× 4
ベーシック・フォルダ × 2000

(引用元:Avid.com

に制限されます。そのため、上記トラック数を超えてしまったプロジェクトファイルをトライアル期間終了後も使用するためには、トライアル期間終了前に、上記制限に収まるようトラックをバウンスしたり、小分けのプロジェクトファイルに分割したり、といった退避を行う必要があります。

 

 

 

 

チャンネルストリップを搭載 

 

 

Avid Channel Strip

 

(引用元:Avid.com)

 

ProToolsIntroの機能やプラグインはProToolsFirstの頃とほとんど変わっていないのですが、チャンネルストリップ(Avid Channel Strip)が追加になっています。チャンネルストリップとは、従来の穴と具ミキシングコンソールの1列(1チャンネル)分の機能(HA-コンプ-EQ)を1つのプラグインにまとめたもの。デジデザインDigidesignのデジタルコンソール、システム5(System5)の1チャンネル分をAAXプラグインにしたものなので、従来のEQ III、Dynamics IIIよりも音質やパフォーマンスが向上していると思われます

 

プロツールズを使うメリット

 

ProToolsのメリットは2つ。1つめのメリットは音楽業界標準でプロ御用達ということ。音質・クオリティが信頼できる、というだけでなく、ミックス依頼などでオーディオデータをプロのミキシングエンジニアに渡す際、データのエクスポートなどの作業が必要なく、タイミングがズレるなどのトラブルが防げます。レコーディングスタジオでもプロツールズが多く使われていますから、自宅で作ったデータをスタジオに持っていって、オーバーダビングを行い、そのデータをそのまま自宅に持って帰って、安心して残りの作業を続けることができます。

 

もう一つのメリットは正確な編集機能。うっかりマウスでリージョンを触ってしまっても、スポットモードを使えば録音したタイミングの場所にサンプル単位で正確に戻せます。(音楽制作ではリズムが最も重要です。)

 

有料サブスク版のProToolsもバージョンアップ

 

ProTools11の後からは、有料のプロツールズ自体がサブスクになってきており(永続ライセンス販売が終了)、最新バージョンも「2022.9」という殺風景な表記になっています。この有料版のProTools最新バージョンでは、 ARA 2によるセレモニーメロダイン (Melodyn ピッチ修正ソフト)が統合された、ということです

 

※筆者は音楽制作の作業に使うPCはインターネットに接続していないオフラインにしており、不具合や相性問題が出ることの多いバージョンアップも極力避けています。そのため、最新DTMソフトのレビューなどは事務用のノートパソコンで行っています。

 

仕様 動作環境

 

動作環境はWindowsではWindows 10 (release 21H2)、Windows 11 (release 21H2)。マックではmacOS Mojave (10.14.6)からmacOS Monterey (12.5.1)まで。

 

 

 

プレソナス StudioOne 6リリース

 

(引用元:エムアイセブン StudioOneホームページ

 

PreSonus(プレソナス)の(有料版もありますが)無料DTMソフトStudioOne(スタジオワン)が、バージョン5からバージョン6へアップデートしました。こちらはProTools Introに比べ機能制限が少なく、音質も優秀、エンジニアが使うには小回りが利かない部分もありますが、シンプルながら十二分に使いやすいおすすめのDTM/DAWソフトです。

 

StudioOneバージョン6の新機能

 

 

 

 

新機能も追加になっています。バージョン6では「歌詞トラック(LyricsTrack」「グローバルビデオトラック」が追加になり、映像とオーディオを合わせることができるようになりました。ニュースマートテンプレートで新しい作業を始めるのも1クリック。

 

さらに、カスタマイゼーションエディタ―が追加。たくさんのDTMの機能があっても、実際のところ「自分がよく使う機能」「作業段階によってよく使う機能」って限られてますよね。そんな自分に必要な機能のユーザーインターフェイスを取り出すことができる機能です。作業スピードが大幅に上がりそうですね。

 

細かいですが、エフェクター/プラグインの中にボコーダーも追加されました。

 

StudioOne無料版(Prime プライム)はプレソナスの日本の代理店エムアイセブン(MI7)のホームページからダウンロードできるようになる予定です(近日中)。