VP撮影で工場の中で一日過ごした。
以前はVPでいろいろな会社の工場の中での撮影が多かったが、近年は撮影は簡素化されたり、CGが多くなってきていたりして何日も工場の撮影をするような仕事は珍しくなった。
多種多様な工場の中に仕事といえども入れるのは楽しかった。
カメラアシスタントだったり、照明アシスタント・VE・音声・仕事が違えば見えてくる工場の世界も変わってくる。
工場の撮影で多くあるトラブルは撮影しようとすると機械が止まってしまう。
きっと、全国的に撮影あるある話だと思う。
時には撮影が延期になったり、数時間機械の復帰で待ち時間になったり。
機材が安全装置に触ってしまい止まってしまう事もあった。
照明を点けると光量で安全装置が誤操作して止まったり、何かのトラブルがあるのは見越してスケジュールを組む制作さんもいた。
不測の出来事があるから予備日は必ず必要でした。
合羽を着て外に出ると雨がやんでいるようなものかな。
カメラカッパを付けているうちに雨が止むとか。
工場ロケで一緒のなったスタッフは間違いなくすぐに仲良しになれた。
それというのも、工場の機械を傷つけてはいけない、
工場によって安全対策ルールが違う。
撮影する機械は撮影のためにいつもの作業を止めてもらい撮影することが多いので、速やかに必要カットだけを効率よく撮影していく。
などなど、撮影スタッフ全員が気を使い、お互いを監視もしながら最小限の動きで最大限の撮影をすることに神経を集中させるので自然と打ち解けるのも早くなる。
そうした仕事をしたスタッフとは、いつどんな仕事で再会しても仕事がやりやすい。
いろんな工場の社員食堂での食事も楽しみの一つ。
しっかりと量があるし、食事代は安い&経費で出してくれるので腹いっぱい食べられる。
一度だけ、食べられなかったことがある。
食事中に機材を置ける場所がなかった時に、
「食事してくるから機材見ててね。」
の一言で皆さんは食事に行き、交代で誰か来てくれるのかと思ったが、いつまでたっても誰も来ない。
で、午後のスケジュールの時間になって皆さんが帰ってきてそのまま午後の撮影に。
撮影の最後に近づいたころに、
「お昼ご飯なんで食べなかったの?」
って聞かれたのをしっかりと覚えている。
自分が新人の頃の先輩方はこのような、現代っ子では考えられないようなことを経験して一人前になってきた人が多かったのでこの程度はあきらめるしかない。
工場のロケだと服も汚れてしまうこともよくあり、帰りの地下鉄の中を汚れた服できれいなスーツの横に立っていることに罪悪感を感じることもあった。
しかも、Tシャツの前面にはピンチが10個ほどついていたことも。
家に帰って着替えるときに気が付くんですよね、これはしょっちゅうありました。
ピンチだけでなくガムテも付いていたり。
始発の地下鉄に乗り、終電に乗り、始発に乗り、終電に乗るなんてのが繰り返されることもあった。
毎日違う会社で違う現場なのにである。