先日、9月8日のソーラーサーキットの家 構造見学会にお越しいただいたお客様より 質問を頂きました。
福崎のお客様です。
地元のFCイシンホーム㈱で 地熱を利用した、熱交換換気システム 断熱素材にこだわった住宅があるのですが ソーラーサーキットの家とは少し違うとは思いましたが どうでしょうか?
というご質問です。
他工法との違いを説明する場合に 私が特に注意して心掛けたい点は 「誹謗中傷をしない!」ということです。
消費者の立場に立って 「良いものはいい。」と評価し、改善してほしいところは「改善して欲しい」と注文をつけようと思います。
ご質問のお答えするにあたり
以下のHPを参考にさせて頂きました。
イシンホーム住宅研究会WEB 新テクノロジー
http://www.ishinhome.co.jp/eco-i/point01.htmlECO-Iという 標準仕様の家に5つの装備をつけてグレードアップ住宅です。
普段イシンホームでは建築されていない住宅のようで、環境サミット記念で各店舗3棟限定で作ってみようという試みのようです。
太陽光発電や、エコ給湯は、設備(装備)をつけたというイメージが湧きやすいですが、①断熱素材・地熱利用 ②換気システム、③断熱エコサッシ、となると違いがわかりにくいと思います。
では順に解説いたします。
《①断熱素材 地熱利用について》
断熱材は、正式に何を使っているのか明記してありません。
グラスウールの1.3倍の性能の断熱材を使って断熱していると説明書にあります。
壁断熱については、板状ではない繊維系の断熱素材を柱の太さいっぱいにつめているものと考えられます。
天井断熱については、板状ではない繊維系の断熱素材を200mm入れてあると説明されています。
また特筆すべきなのは断熱材の外側には 壁、天井ともにふく射熱を反射する素材を使っている点です。
外反射断熱という説明ですが、簡単に言えば銀紙(タイべックシルバー)のような素材を使っているのでしょう。
銀紙のようなシートを使うと鏡のように熱も反射してくれて、内部への熱の侵入を遮断してくれるのです。
断熱性能高めるだけでなく、それに加え遮熱性能を高めた住宅です。
また、柱の外側にエコ断熱パネルを使うことで耐力壁を増やすと同時に気密性能にも配慮したことが伺えます。
さらに分析を進めてみます。
下の図を見たところ、外断熱工法ではなく、柱と柱の間に断熱材を詰める充填断熱工法です。
ということは、柱の部分には断熱材が入りません。
「柱が断熱材だ・・・」とおっしゃる方がたまにいらっしゃいます。
確かに、鉄などに比べると木材は断熱性が高いです。
ログハウスのように断面寸法が大きい木材を使って住宅を建てた場合なら、無断熱材で住宅建築することも可能です。
しかし、一般の建築に使われる105mmや120mmの柱では、断熱材に比べれば1/3~1/4程の断熱性しかありません。
ということは、住宅全体で見た場合、充填断熱工法では約20%部分が断熱材を入れることができない計算になります。
外断熱工法を比べた場合の断熱性能の差が出てしまいます。
ちなみに 断熱材が入らない柱部分を 熱橋(ねつきょう)または、断熱欠損といいます。
また、下図では、内部結露対策として、エコ断熱ウォールのことが説明されています。
説明によると
「透湿性と断熱性能に優れたECO-iウォールで壁体内結露を防ぐ」
「水蒸気(湿気)しか通さない透湿性の優れた外反射断熱で家全体を包む。」
「優れた断熱性で壁体内結露を少なくし、さらに高い透湿性で湿気を外に排出」
とあります。
その通りの説明だと思います。
しかし、結露点が断熱材を過ぎたところにある外張断熱工法と比べた場合 この充填断熱工法は結露点が断熱材の中にあるので 寒い冬場 室内の湿気た空気が 壁体内に侵入して、断熱材の中で結露し その結果 断熱性の低下 構造耐力の劣化は避けられないものと考えられます。
構造用合板代わりに使われているエコ断熱パネルに関してですが、これを使うことで「気密施工ができる」といううたい文句です。
できれば、どのくらいの気密性能がでるのか数値で示して頂けると消費者にわかりやすいと思います。
自動車の場合でも「燃費がいい・・・」と言う場合は、かならず 燃費リッター○○kmと数値をあげるはずですから。
《②換気システムについて》
熱交換換気システムが採用されていることが説明されています。
しかも、「アレルノン吸気フィルター」で花粉の99.8%を除去してくれるという説明です。フィルターのお手入れを毎週行う場合でも 換気扇が床下のお手入れしやすい位置にあるので便利です。
素晴らしい話がならんでいます。
しかし、これは住宅の性能の話ではなく、換気扇そのものの性能の話ばかりです。
換気扇で家の中の汚れた空気がきれいに入れ替わるためには もう一つ重要な要素があることをご存じでしょうか。
私が3月に書いてブログの中でもお話したことなのですが、計画換気が確実に行われるためには、高気密の住宅であることが条件になってきます。
気密性能は長期的に見たらC=1.0以下が理想です。
いくら性能のよい換気扇を設置しても、住宅の基本性能が不足していると いい換気扇の能力が発揮できないのです。
「気密」と「計画換気」の密接な関係 田中3月のブログはこちら→
http://ameblo.jp/recom/entry-10077400618.html
車で言えば、高出力のいいエンジンを積んでも
それに見合った高性能のブレーキ と
高い運動性能にびくともしないボディ・シャーシー
がないと、十分な性能を発揮できない・・・
これと同じ理屈なんですね。
《③断熱エコサッシについて》
結露を抑えてカビや腐食を防ぎます。また、冷暖房がよく効き家計を節約しますと 説明されています。
また、LOW-E複層ガラスを使った場合には従来ガラスより3倍の断熱性能があることも説明されています。
高気密・高断熱の住宅である程度性能が高くなってくると、内外の熱の出入りは 住宅の開口部 つまり窓からの熱の出入りが60%~70%にもなります。
ということは、最終的には開口部(窓)の断熱性能アップが欠かせません。
窓の断熱性のアップは消費者が想像する以上にお金がかかります。
ここで紹介されているサッシは 「断熱エコサッシ」と呼ばれていますが室外側はアルミ で 室内側に樹脂(プラスチック)にされた樹脂複合サッシというサッシに分類されます。
アルミサッシ業界が作った樹脂複合サッシの宣伝広告によると、樹脂(プラスチック)はアルミの熱伝導率の1/1000なので、外部の熱や冷気を遮断する効果が高いとされています。
そうであるならば、外側も樹脂(プラスチック)でサッシを作った方が断熱性が高いのでは・・・
その通りなんです。
内側だけでなく、外側も樹脂で作ったサッシの方が断熱性が高いことがデータでも実証されています。
ただし、日本ではまだ内側・外側の両方が樹脂のサッシは生産量が少なく割高です。
そのため、樹脂複合サッシが多く用いられます。
ちなみにソーラーサーキットの家では、 標準で内・外両方が樹脂のサッシを採用しています。
また、ソーラーサーキットの家でもLOW-Eガラスはオプション対応で、西日対策などで必要個所に使用して頂いております。
ソーラーサーキットのサッシの説明はこちら→
http://ameblo.jp/recom/entry-10086052008.html
《まとめ》
イシンホームの「ECO-I 家造り」の特徴は、研究会というだけあって、世の中にある 断熱・遮熱・気密・換気・発電などの設備をふんだんに使って 自分たちが作ってきた基本のローコスト住宅を限りなくスペックアップしようという試みだと思います。
「最先端の部品を使ってここまでできる」という感じでしょうか。
知識・意欲・熱意に頭が下がる思いです。
設備グレードに関して言えば部分的には、ECO-Iの方が優れているところがある位です。
しかし、いかんせん 基本の住宅がローコスト住宅であることが災いして 構造的な仕組みでエコな住宅にするのではなく、後付けの設備でエコな住宅にしている印象です。
基本の仕組みで快適でかつエコな住宅にしている「ソーラーサーキット家」とは家造りの発想・構造的な仕組みや生まれが異なります。
基本の仕組みで上回る「ソーラーサーキットの家」でもし、これだけの設備を搭載してスペックアップしたらそれはそれは究極的に快適で、エコな住宅になるでしょう。
もちろんそれは、ものすごくコストのかかる住宅になってしまいます。
それはあたかも普及乗用車をチューンナップしてさらにオプションを付けて最高度の車に仕上げた場合と
セルシオのように生まれが高級な乗用車をベースにチューンナップしてさらにオプションをつけて最高度の車に仕上げた場合 に例えることができます。
「ソーラーサーキットの家」の家造りの特徴は 構造の仕組みから 断熱性・気密性を高めるようにしています。
また、人間が苦手とするのは急激な温度変化であることに着目して、発想として、建物を熱容量の大きい建築物とすることを目標にしています。
熱容量の大きい住宅のメリットは簡単に言えば熱しにくく冷めにくい性格をもつ住宅です。
外気が急に温度が上昇しても、
室内はゆっくりと温度上昇する住宅
逆に急に温度が下降しても、
室内はゆっくりと温度が下がっていく住宅
です。
マンションなどのコンクリート建築物に比べ、個人の住宅は外気に面する表面積が多く、また木材・鉄骨などの熱容量の小さい材料で建築されることが多いので 外気の温度変化に大きな影響を受けてしまいます。
そのために、建物が外気に接する部分 ”外皮”といいますがをしっかりつくって外皮の外の外部環境と外皮の中の室内環境をしっかり区分しようと考えたのです。
この外皮のラインが断熱ラインであり、気密ラインでもあります。
外皮を作る時にもっとも大事なのが 基礎までしっかり外皮で包むことです。
基礎はご存じの通り 鉄筋コンクリートの塊です。
コンクリートは空気に比べると1480倍の熱容量をもっており、正に熱しにくく、冷めにくい性質をもっています。
基礎のコンクリートは地面の中に300mm~330mm埋まっており、「夏はひんやりした冷熱」を貯え、「冬は ほっこりとした地熱」を貯えています。
この人間にとって非常に都合のよい基礎コンクリートの地熱をもっとも効率よく利用するためには基礎の外側から断熱する必要があるのです。
基礎を断熱しないということは、基礎コンクリートという保温剤、保冷剤を断熱せずに利用しているのと
同じことなのです。
地熱を利用しています・・・このような工法が増えてきていますが、せっかく利用しようとしている地熱が逃げないように基礎を断熱するという考え方はまだまだ少数派です。
何故基礎の外断熱をしないのか。
基礎コンクリートを断熱するためには、高度な知識と高い技術を要します。
ソーラーサーキットの家では、この基礎コンクリートを外側から断熱材を張ることでしっかり外皮をつくって 言わば”クーラーボックス”のような状態の家をつくります。
ちなみに基礎背筋は2階建の2重背筋 コンクリートスラブ厚み230mmと通常の住宅基礎の2倍のコンクリートを使用しています。
そして そうして作ったクーラーボックスの中に 夏は22℃~25℃の保冷剤ともいえる基礎コンクリートがあり、冬は15℃~17℃の保温剤ともいえる基礎コンクリートが入っているのです。
その結果 どのようなことが起こるのか。
住宅の素の性能は
全く冷房や暖房を入れない状態における
住宅内部の温度(自然室温)で
知ることができます。
ソーラーサーキットの家の夏の自然室温が
何故快適なのかを詳しく知りたい方はこちら→
http://ameblo.jp/recom/entry-10079279711.html
http://ameblo.jp/recom/entry-10079521664.html
冬の自然室温が何故快適なのか詳しく知りたい方はこちら→
http://ameblo.jp/recom/entry-10078775647.htmlお客様より さらなる質問がありました。
ユニバーサルホームの「天然床冷暖房基礎」
と
外壁ALC50mm厚みはどうでしょうか?
「天然床冷暖房基礎」とは・・・
地熱を利用する考え方はソーラーサーキットと同じといえますが、基礎が外断熱されていないために 基礎が外気に触れてしまっています。
一般住宅よりもちろん暖かいですが、基礎外断熱された住宅に比べるとその効果は限定的だと考えられます。
地熱を利用するとおおよそ左のような床下温度になります。
概念的には おおよそあっていますが、冬を通しての温度データがあればその性能の信ぴょう性がでると思います。
盛夏の8月や 厳冬期の2月のデータが欲しいところです。
ユニバーサルホームさんは高気密・高断熱の家ではなくて、地熱の利用する住宅のようなので自然室温状態ではどのくらいの室温なのかが気になります。
《ALC50mm厚について》
ALCとはAutoclaved Light-weight Concrete(軽量気泡コンクリート)の略です。
手で触った感じは「軽石」に似た感じでしょうか。
ALCの製品としては、旭化成のヘーベルパワーボードが有名です。
ハウスメーカーのヘーベルハウスでは厚さ75mmのALCを使って建築して他社工法との差別化を図っています。
ALCの特徴は防音性能と断熱性能。断熱だけでなく遮熱・耐熱性能もあるので火災保険の等級もB等級とワンランク上になっています。
ただし、軽量気泡コンクリートといっても外壁材としてはかなり重いランクに位置するので、75mm厚は重量鉄骨構造のヘーベルハウスのみが施工可能です。
ヘーベルハウスは建物全体がかなり重い建物になるので、基礎もその過重に耐えるべく巨大化しています。
耐火性能が必要な都市中心部への建築には向きますが郊外の住宅地向けの住宅としては少ないようです。
ユニバーサルホームは木造住宅なので、最大50mm厚のヘーベル版を使っています。
もちろん50mmでも断熱性・耐火性能は一般外壁材より優れており火災保険の等級はB等級を受けられます。
ただし、外壁が重いデメリットがあり長期的には外壁が垂れ下がることがないか・・・ということもあります。
後、デザインのバリエーションが少ないので、デザインに凝りたい方には不満が残るかもしれません。
ソーラーサーキットの家では、断熱性は外張り断熱したSCフォームの断熱性で十分と考えており外壁材による断熱性能のアップはあまり考えていません。
なぜなら、外張り断熱の家でALCを使うとより外壁材が垂れ下がる心配が大きくなるからです。
もし お客様がALCの外壁材を希望される場合は、外壁を固定する下地のビスのピッチを密にすることで強度をアップさせて垂れ下がり防止措置をしますので、ご安心ください。
RECOM㈱
代表取締役 田中勇一
RECOMweb http://www.recom.ne.jp/




