・地震にも「大丈夫」という意味は

 近年毎年のように大きな地震の被害が報じられています。
震度6強、震度7という強い地震が起こると倒壊家屋も相当数にのぼります。
地震国日本に住宅を建築するのであれば、どこに建てるにせよ もはや地震に対して安全な地域はないといってよいかもしれません。
ここでは「木造住宅の耐震性」をテーマに綴っていこうと思いますが、世間一般の人がイメージする「地震でも大丈夫な家」 の「大丈夫」ということについてもう少し掘り下げて考えてみたいと思います。(実は 大きなギャップがあるので。)

住宅が壊れる場合、その状態により「損傷」「倒壊」に分類されます。
損傷とは住宅の壁が剥がれ落ちたりはしているが、構造躯体そのものには大きな被害が出ていない場合をいいます。
倒壊とは住宅がベシャッとつぶれる現象です。
地震で2階が1階に落ちてきて 押しつぶされている写真などをご覧になったことも多いと思います。あの状態を倒壊といいます。
住宅が倒壊すると、中にいる人は避難する間もなく一瞬で建物に押しつぶされ圧死することになります。
兵庫県南部地震の犠牲者の多くの死因はこの圧死だったそうです。

損傷の場合は損傷箇所を修繕すれば、またもとの生活ができる程度の建物の被害で、そのために圧死する人がいないことが想定されています。
倒壊の場合は、その建物を修繕して住みなおすことはほとんど無理でしょう

ちなみに建築基準法は一瞬で圧死者が出る倒壊をいかに防ぐかを目的で耐震基準を決めています。まず命を守ることを優先しているのです
これは当然のことと言えます。

しかし、一般に地震でも「大丈夫」という説明を受けた時、住宅の建築主であるあなたなら どのレベルの大丈夫を期待するでしょうか?

住宅の倒壊を防ぐことを期待すると同時に、その損傷の度合いも小さいことを期待しませんか?
法律は住宅の倒壊を回避することを主に整備されていますから、まずは法律通りしっかり倒壊を回避する丈夫な建物を設計してもらいましょう。

そしてその次には損傷を小さくすることを目指しましょう。
これには施主の高い意識も必要です。
デザインを重視しすぎて大きな開口部を多くアンバランスに配置すると、倒壊は免れても大きな損傷を受ける住宅になりかねないのです。
地震でも「大丈夫」な住宅の「大丈夫」とは、倒壊に対してか、損傷に対してかを明確に区別して施主が強い関心をもつ必要があります。


RECOM㈱
代表取締役 田中勇一
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